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伝説の魔法使いが脳筋だった件  作者: 六分儀・猫茸(ろくぶんぎねこだけ)
一十也=ストーンゴーレム、キープさんになる。
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一十也(イトヤ)瓦礫にたつ。(改)

前世で見事に都市伝説の魔法使いへと昇格した一十也は不幸な事故に遭い異世界に招かれる。


よっしゃー!俺の舞台だ!と勢い込んで飛び込んでみたが・・・・

     なんか・・・この身体思うように動かないんですが?


◆(キャラ名)←視点もしくは寄りで書いて行きます。

 

初投稿です。エターナルストーリーで黒歴史・・・回避・・・ガンバル(笑)

◆ハグレ魔導士ベック・アフドル


 夜半から降り続いた大粒の雨が錆色の混じった赤い尖塔を濡らし、稲妻が今は使われていないと思わしき、古びた要塞を浮かび上がらせる。


 その一角に崩れた屋根を適当に補修した場所が有った。雨粒は雫となって小さな水の流れを作って部屋(と呼べるかは妖しいが)を濡らし、ジメジメした陰鬱な印象を与えるのに一役買っていた。


 所狭しと怪しげな実験器具類が置かれ、石造りの不細工な人型とそのパーツとおぼしきモノが乱雑に片隅に積み上げられ、床には複雑な魔法陣と思わしき紋様が描かれている。


 そんな部屋の主人はベック・アフドル。年齢は判らない。かつては王都で魔道の研究に勤しんでいたれっきとした宮廷魔導士。・・・だった。ベックは優秀であった。優秀であるが故の探求心と知識への欲望の元、禁忌の術にも手を染めていた。

 しかし、この時期の同種の者達は例外なく禁忌の領域に脚を踏み込み掛けていた。表向きは禁忌とされたが裏では公然の秘密として行われ王侯貴族もある程度は目を瞑っていたのだ。優秀であったベックは当然のごとく自然と次期研究所の所長の座を巡っての激しい権力闘争に巻き込まれていた。


 そうしてベックは禁忌の術の行き過ぎた行使と、先代の研究所所長の暗殺未遂の咎で、王都から放逐され流れ流れて前時代の遺跡然とした、かっての要塞に辿り着いたのだった。着の身着のままで放逐されたベックは元々ナイスミドルと言える容貌を誇っていたのだが、長い放浪の間に眉間から伸びる裂傷や痩せこけた頬そして落ち窪んだ目と、とてもナイスガイの範疇からは大きく外れる容姿になり果てていた。しかし復讐の(くら)い光を宿す眼には、魔道ならぬマッドサイエンティストの狂気を確かに孕んでいた。


「復讐してヤル・・・我輩をこのようなザマに追い落とした同僚(あいつら)王侯貴族(くに)に復讐せずには置かない。この命に代えても」そう独り言ち、天に両手を突き上げ宣言した。


瞬間。


 乱雑に補修された天井の隙間から見える黒い雲から、その声に呼応するように稲妻が落ちベックは消し炭になった。彼の突き上げた手にはロッドが固く握られていたのだ。ベックを消し炭にした光は魔法陣を巡りその紋様を妖しく彩り、そこから伸びる一端から石造りの人形へと辿り着いた。


 石造りの人形を稲妻の炎が舐めるように纏わり、この妖しげな炎は石造りの人型さえ燃やしてしまう。そしてそのまま廃墟然とした要塞も三日三晩燃やし尽くして崩れ落ちやがて鎮火した。

 

 それから暫くして廃墟に異変が起こった。マッドな老人が居た辺りの瓦礫がコロコロとひとつふたつ転がっているのだ・・・・やがて、無骨な石の腕がニョキッと生えた。もう一本も生えた。そうして石づくりの四角い頭?が出て来た、あれよあれよと這い出して来たそれは焼け焦げて煤けたゴーレムであった。


 その周りを忙しく飛び回るハエが居る。尋常なハエでは無い。本来頭のあるべき所にマッドな老人のそれが鎮座していた。


「ヤッタ!とうとう成功させた!このワシ。ベックが!!」

「行け!行け!GO!GO!ゴーレムよ」

「行ってワシの恨みを晴らして来るのじゃぁ~」

 

 ベックバエはゴーレムの周りをせわしなく飛び回りながら(けしか)け、煽動しようと躍起になっている。が、当のゴーレムは自分の身体に慣れないのか制御すらままならないようで・・・やがてバランスを崩した拍子に、ベックバエを巻き込んで潰してしまったようだ。頭を掻いて何やら謝っているようにも見えるが後の祭りだ。


 途方に暮れたように立ち尽くす件のゴーレムは、やがて意を決したようにどこへともなく姿を消すのだった。



◆石詰一十也(いしづみいとや)

 

 極々普通の家庭に育ち、極々普通の学生生活を恙無(つつが)く送った一十也青年・・・イヤ中年はごく普通の家庭を・・・築けないでいた。齢30を数える今日この時まで一十也は清く正しい清純無垢な日々を過ごして居たのだ。


 そう彼こそは都市伝説で実しやかに語られる稀有な存在。魔法使い(嘘)なのだ。


 日々仕事のストレスに耐え、捌け口をリセット可能なゲームや漫画やアニメ、ラノべや映画に求め、こと異性関係においては日々を無為に過ごして居た・・・傍目からはそう見えたに違いない。


 しかし彼は稀有な魔法使いだ。その思考が一般ピ-ポーと同じ訳が無い。 曰く「外に出たら金が掛かる」「一人だと少々高く感じても何とかなる、でも彼女とか作ると奢らなきゃ男じゃない・・・よなぁ・・・」「家に籠ってるのが一番だな、ウンウン」男友達が居ない訳じゃない、多く無いだけだ。でもデリケートな話は同性にだって出来ないでいる。初心なのだ。

 

 そんな彼が異世界に召喚された。


 楽しみにしてたVRゲームを手に、年甲斐も無くいそいそと雨上がりの帰路を急いでいた一十也は青天の霹靂に撃たれ絶命してしまったのだ。転生の神とやらとの丁々発止のやり取りや定番チートの交渉をどうやったのかすらさえ今はもう覚えていない。


 気が付いたら視界は闇に包まれていたのだ。暗闇の中無我夢中で腕を振り回した。ガラガラと何かが崩れる音と共に一筋の光を感じた。光がさしたおかげで状況が把握できたのだが、どうやら瓦礫に埋まっているようだった。

 かすかに人の声がするような気がする。あまりにか細い声なので聞き取れないが、応援してくれてるのかな?何故か軽々とまるでユンボのブルドーザーで無造作に掃くように瓦礫が転がり、間もなく自由の身になった。


 いきなり立ち上がったのがいけなかったのか?足元が瓦礫に取られたのか?身体が自由にならない。そのままドシンと尻もちをついた拍子に今まで聞こえていた声もしなくなった。剣呑な言葉の数々だったがきっと励ましてくれていたんだろう。そう思う事にする。

 

 姿なき声の主にお礼を述べ朝日を浴びて瓦礫の上に仁王立ちしていたが・・・・気分はガ@ダム大地にたつと勝手に解釈して変に高揚していたのを覚えている。


 少し恥ずかしい思考に浸りながら四方を眺め、青く澄んだ空を見上げてなんとなく歩み始めていた・・・その尻に一匹のハエが潰されてへばりついていたがやがて乾いて落ちて行くが些細な話。


       しかしこの身体なんか動きづらいな・・・・。


お読み頂いて光栄です 楽しんでいただけたら幸いです。



 ベックが死罪を免れたのはそれまでの貢献と貯えた富を国家へ無条件寄付する事で、罪一等を減じられ放逐とされました。 


 一十也は直ぐに身体の異変に気が付いたハズです。精神状態がマトモなら。なのでこの段階では混乱してて理解が追い付いてないようです。



重複表現などを直しました。 内容は変わってません。

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