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茶吉の日常

茶吉の花壇

作者: 茶吉

茶吉の家には、花を育てたりめでたりする人がいないため、家の花壇は、雑草が伸び放題だ。クロ美がときどきトイレをしにくる。妻はキャベツのいちばん外側の葉や傷んだリンゴや腐ったバナナをそこに捨てる。その中のバナナの種が根づいたようで、いつの間にかひっそり育ち、やがて立派なバナナの木になって、実をつけた。その実がどんどん育って、1本1本のバナナが、2メートルほどまで成長した。バナナボートくらいの巨大なバナナだ。食べてみたら味は普通のバナナで、でも食べきれない。それが毎日実るのでどうしたものかと考えた。イソスタ映えするので撮影してイソスタにあげたら2万いいねを獲得した。するとテレビや雑誌の取材が来て大騒ぎしてたちまち観光スポットになった。そしたら大願成就とか大器晩成とかのご利益があると誰かが言って話題になって、見物に来る人でこの横丁の道が大渋滞になった。バナナは相変わらず毎日毎日、実るが、食べきれないので、通信販売をしようとおもって宅急便屋さんに聞いてみたら、「大きすぎるので扱えません」とことわられた。運送業者か引越し業者に頼むしかなさそうだ。

農林水産省の役人が来て、食糧問題を解決する答えになるかもしれないから研究するということで、実を1本持って行った。

ヒットラーの軍隊ラストバタリオンが、南極からやってきて、「予言通りこれこそがアダムとイブの禁断の果実だ。ぜひ守らせて欲しい」と警護してくれるというので、警護もいいけど1本あげるから種を取って植えて育てればいいでしょうと一本あげた。トラソプ大統領も守りたいと訪ねて来たので、守るより自分で増やしてくださいと一本あげた。トラソプ大統領は抱き枕のようにバナナを抱えて帰った。

だいぶ遅れて安倍首相からバナナって何ですか?と問い合わせの電話が来たので、日本って情報戦で負けてるなぁと残念に思いつつ、1本送ってあげた。

そうしてバナナを持ち帰った人や国や研究機関などが皆、一斉に茶吉の巨大バナナを植えた。だがその中の一本も育たない。じゃあ挿し木ならどうだろうと枝を折って持って行ったがやはり根が付かないで枯れてしまう。研究所の発表によれば、茶吉の家の花壇の土は絶妙なブレンドなのだそうだ。各研究機関が茶吉の花壇の土をバケツで取りに来て成分を分析しその通りに配合して、その土で育ててみるもやはり育たない。日当たりや海の潮を含んだ湿った空気なども影響しているのだろうか。

それとも、茶吉の花壇は隣の家と隣接しているのだが、隣に住む老夫婦は病院通いが趣味の健康オタクで、健康食品の通販にハマっている。貰いすぎたクスリや古くなったサプリメントや、味覚に合わなかった健康食品を茶吉の花壇に捨てる。それが原因か。

それから、この花壇では、歴代ミケちゃんたちが永遠の眠りについている。

いくつもの要因がありすぎて、絶妙なブレンドを再現しようにも複雑すぎて分からない。

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