38.留年するつもりはありません。
エルフが提供してくれた家の藁のベッドは快適です。心からのんびり、ひさしぶりにゆっくり寝られました。今日は日が昇ってからゆっくりと起き出します。
まさか、来るだけで12日も掛かるなんてまったくです。
8月3日に試験の結果を聞き、5日後に合格証書を授与されて終わったと万歳した翌日に拉致されたから長かった。
まぁ、両親はまさかだらけでもう驚いていないでしょう。
お茶会のお姉さん、赤毛のお姉さん、学校のみんなはさぞ心配しているでしょうね。
2組の二人は神輿がいなくなって慌てていることでしょう。
クラス戦はどうなったか?
代表戦の代表が行方不明じゃね。
連絡の一報も入れたいところですが、電話もメールもないこの世界ではどうしようもありません。
ちゃんと帰りますよ。
ドクさんとベンさんも了承済みです。
ドクさんの斥候さんと相談しています。
姉さんですか?
言っていませんよ。
帰るとか言えば、殺されかねません。
ぎりぎりセーフ。
温泉見つかってよかった。
朝くらいはのんびりとお散歩でもします。
帰るのはもう少し日が昇ってからでも大丈夫でしょう。
まだ寝ている男達を放置して俺はエルフの里を観察します。
木造ですが木の上ではありません。
残念です。
ガスも電気も通っていませんが、火も光も魔法がありので問題ありません。
トイレは水洗ですよ。
スゴい?
イエイエ、ただ川の上にトイレが造られているだけです。
文化的なのか、エコなのか?
川は花畑を下って森の中央から大穴にナイヤガラの滝のように落ちています。
穴の深さは3000m級とか。
鍾乳洞と繋がっており、魔物に遭遇せずに帰れるそうです。
なんと、ラッキーと思ったら?
垂直のロッククライミングを3000mとか普通に死ぬよ。
どうやって大穴を上がったり下りたりするんですか。
ペガサスや大鷲に乗るそうです。
北に300kmほど行った場所に巣があるとか。
行かないよ。
でも、薬草を三房ほど、土ごと貰っておきましょう。
散歩を終えて帰ってくると、温泉から帰ってきた3人で出会います。
「おっはよ~う」
誰ですか?
ハイテンションのあいさつは、姉さんに誰かが憑依でもしたのですか?
「しっつれいね」
「おはようございます」
「おはよう」
「おはぁ」
見習い神官ちゃんだけテンションが低いです。
「どうしたの?」
「あんたには関係ないのよ」
ごにょごにょごにょ、姉友ちゃんが説明してくれます。
姉さんと姉友ちゃんは少しだけ胸が大きくなり、見習い神官ちゃんはまったく変化がなかったというか、より小さくなったような気がするらしいのです。
7歳児が何言っているんだよ。
「もうつるぺたとは言わせないわよ」
「同じでしょう」
「うっさい、これは女の子にとって重要な案件なのよ」
あぁ~、そうですか。
もう何もいいません。
「おぉ、これは、これは、三神様のご加護が崇めるとはありがたいことです」
しょうもない事を言っていると、エルフの長老が差し掛かり、姉さん達を崇め奉るのです。
何でも女神アルテミス様、女神アマゾネス様、女神ネクベト様の加護を受けた者が揃うのはめずらしいことらしい。
エルフはみんなアルテミス様の眷属であり、その他の加護を貰うことはないそうです。人族の女性が入ってもほとんどがアルテミス様の加護を受けるそうで、女神アマゾネス様と女神ネクベト様の加護を受けた者を見るのはめずらしいことなのです。
三加護者が揃うのは非常に幸運なことだと言っています。
まぁ、そうなんって感じなんですが!
あぁ、エルフ達に囲まれました。
本物の女神様が来られるんだから拝む必要ないでしょう。
女神様か!
うん、女神アルテミス様は処女の神様で有名だよね。
ギリシャの彫刻ではスレンダーですが、古代小アジアのアルテミス様はコス島やヴェルサイユに飾られるアルテミス様は滋養物、豊穣、生誕の女神で、多くの乳房を持つ巨乳の女神です。
おぉ、気が付いた。
エルフにも巨乳がいるよ。この異世界のエルフはスレンダーと巨乳が混在しています。
姉友ちゃん、どっちになるのか?
そう言えば、アルテミス様は狩猟の女神で意外と武闘派の神様ですよね。
次に、女神アマゾネス様はギリシャ神話で処女神アルテミスを月の女神として祀る一族です。弓を射るのに胸が邪魔なので片方取るとか、男を犯して子を作るというほど勇猛な女傑の一族です。
そんな女神の加護を貰った姉さんにはもう絶対に逆らいません。
胸、おっきいのかな?
胸が邪魔というくらいですから大きいでしょうね~たぶん。
最後に、女神ネクベト様はエジプトで月に象徴した女神でファラオの守護とされています。みんな月に関係するのは何でしょうか。
あぁ、エジプトの女神様って、凄くスレンダーな像が多かったような。
女神様が巨乳なら、その民も巨乳を好み。
女神様がスレンダーなら、その民も貧乳を好む。
その神の加護を受けた見習い神官ちゃん。
憐れに思えてきました。
「なぁ、帰ったら新しい魔道具を買ってやるよ」
「どうしたの急に?」
「そろそろ新しい奴がいるだろう」
「そうね! でも、それならもうくれればいいのに」
「あげたら教会の持ち物にされるだろ」
そう、見習い神官ちゃんの服も下着も杖も全部教会のモノであり、借りているに過ぎないのです。そもそも神官は神に仕える神のモノだそうです。
「ふ、ふ、ふ、いいわ! 一生借りといてあげる」
「お好きなように」
じ~と、姉さんと姉友ちゃんが俺を睨んでいます。
「あんた、今更ぺちゃぱいが好きとか言わないわよね」
「どぅ、どうなのですか!」
何ですか、それ!
ぎゃあぁぁぁあぁぁぁぁ!
大声を上げて宿を飛び出して来たのは、ベンさんとの魔法士さんです。
「ぎゃぁ、大変す。大変なのぉす。助けてす」
俺に縋られても………あれ?
妙に美人に見えます。
目がおかしくなったか?
エルフの村長を見つけた魔法士さんは、今度は村長に縋り付いた。
「これ、どうしましょうす。なんとかならないすか?」
「おぉ、すばらしい胸ですな!」
そうです。魔法士さん、胸デカぁ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ、言わないでぇぇぇぇぇすぅぅぅぅぅ!」
魔法士さんが余り騒ぐからベンさんやドクさん達も出てきました。
何でも温泉の効用だそうです。
アマゾネス様にご加護を頂けたのでエルフから羨しがられています。
男はあまり加護を貰えないそうです。
よかったですね。
「嘘と言って下さいす」
ドクさんの弓士のマザグラさんもアルテミス様の加護を貰っていたそうです。
これで納得です。
姉さん達は魔法士さんの胸を突いて非常に羨ましそうです。
うわぁ、突かれて悶えないで気持ち悪いからさ。
下は男のままとか、これが本当の『男の娘』ですね。
「遊んでないで助けて下さいすぅ~」
無理です。
女神様の加護が解けることを祈って下さい。
「慣れれば、気にならないものだよ」
「さすがにこれは無理す」
ぷるん、ぷるん、ぷるん!
おぉ~、男どもから声が上がる。
巨乳だね!
姐さん、見兼ねて助けを出します。
姐さんの胸当ても使えないほどの巨乳だそうで、タオルをねじって仮の胸当てにしたとか。
姐さんより大きいのか。
「も~う、お婿に行けません。ぐずぅ!」
お嫁なら行けそうですね。




