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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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33.固定砲台。

高級果実の『百薬果実』の実を取ると西に方向転換します。

何故か、姉が先頭に変わりました。

7歳の女の子を斥候にするのは大人としてどうですか?

しかし、3パーティの中で一番目がよく、耳がいいのは姉さんらしいのです。

「右、7」

正面から右に7度からスチールチーターが現れます。

『アイススピアー』

姉友ちゃんが氷の極細の短槍をすかさず打ち抜きました。

スチールチーター、その他の通りに毛がスチールのように固く、腕や足の毛もナイフのように尖っているので接触するだけで大怪我する手強い魔物です。

大きさは小型と中型の中間くらいで初心者殺しと言って間違いないでしょう。

一撃です。

アイススピアーはアイスの2倍くらいの魔法を消費しますが、魔力量が一気に増えてきた姉友ちゃんなら問題ありません。

魔力制御で練習していますが、魔力圧力がまだ上がらないのでアイスでは中型の魔物毛皮を突き破る程度で終わり、致命傷にならないので新しく用意してしました。

腕に巻いたミサンガのような腕輪に2層の魔法石を仕込んだ奴です。姉友ちゃんに渡すと「あの子ばっかりでズルい」と騒ぐので、見習い神官ちゃんにも1つ渡しました。

9mmの細い氷のスピアーですが、アイスの自重の10倍あり、貫通力も十倍になった訳です。

頭や心臓に当たれば、一撃で倒すこともできるのです。

「やった!」

「ナイス」

姉さんと姉友ちゃんがハイタッチ。

「今度は私よ」

2列目と3列目が交代です。

「左、50。大きい」

草木が揺れて何かが飛び出してくる。姉の声に反射的に見習い神官ちゃんが「それなら」といって魔法陣を手の平の前に3つ生み出す。

穿(うが)て、神の矢、ホーリーアロー」

黒き影に向かって3本の光に矢が放たれます。

グオゥ~オゥ~!

これも凶悪な魔物のバオゥーベアーだ。

ブラディーベアーのように厚い毛皮を持っていないのですが、猫のような機動力と鋼鉄の盾を貫く鋭い爪がやっかいな魔物です。

3本の内、2本が肩と腕を貫いて焼け爛れた穴が毛皮ごと皮膚を抉っています。

相当痛かったのか。

目の色を真っ赤に染めてバーサーク状態へと移行するのです。

右に左に急加速して接近してきます。

ベンさんとドクが前にでようとすると、下兄が手で止めるのです。

「俺達だけでやらして下さい」

仕方ない。

俺が1歩前に出ると、「おまえも手を出すな」と釘を差されます。

「わたしに決めさせてよ」

「判った」

2列目は見習い神官ちゃんのままでいくようです。

下兄が前衛に、その左右に妹ズの二人が槍を構えて、後方援護がアーチャーの姐さんと姉友ちゃんとなります。

姉は遊撃です。

左に回って襲ってくるバオゥーベアーに「やらせないよ」と矢を威嚇し、振り上げた付爪の前に氷の盾が現れて、振り降ろせずに固まった瞬間です。

「えぇ~い」

妹ズの1人の槍が腹を突き、初手はなんと姐さんの妹です。

反対の爪を弾いたのは下兄です。

その影から飛び込んで腹を横に引き裂きながら後方に流れたのが姉さんでした。

素早い。

もう一人の妹ズは槍先を魔物に向けながら後ろに回ります。

「ライト」

見習い神官ちゃんの魔法が魔物の目を奪い。

それを合図に一斉攻撃がはじまります。

一撃を入れるとすぐに後退。代わって姉友ちゃんのアイスの乱れウチが魔物を袋叩きに輪を掛けます。

バオゥーベアーが不利を悟ったのか、逃げ出そうとするのですが、ここぞとばかりに姉さんが肉体強化の魔法でブーストを掛けて後背を激しく襲うのです。

爪を長ナイフで捌きながら膝や膝当たりを引き裂いてゆきます。

姉さんの目が細く笑って、バオゥーベアーが恐怖を覚えたのかのけ反ります。

左右に逃げようとしてベンさんとドクさんがいつの間にか固めており、そこ強行突破する方が危険と感じたのか、下兄の方が安全と感じたのか?

再び、振り返った所で喉元に一撃が入りました。

決まったな!

「やれ!」

「遅いわよ」

見習い神官ちゃんが足元に魔法陣を敷いて、引き金を引くときを待っていました。

「穿て神の業火、レーザービーム」

もちろん、名称は俺です。

姉友ちゃんと見習い神官ちゃんに虫眼鏡で紙の黒い所を焼く理科の実験を見せて、光も集めれば、焼くことができるというお勉強を教えたのです。

「光を集めると焼けるのね」

「そういうこと。光や火や雷(風)は集めると燃やす力になり、闇や水や土は引き裂く力になる」

「これが聖火という奴なのね。私、聖火を覚える」

使っている魔法はホーリーアローと同じ魔法。違うのは足元に引いた魔法陣です。周囲にある魔素を強制的に集めて、体内の魔力を一時的に高める。

一度でファイラー10発分くらいの魔法を消費するのですが、見習い神官ちゃんも1日に60発くらいは撃てるようになっているので、「ここぞ!」という時に使うように言っているのです。

うぉぉぉぉ、90mmの加粒子砲が光の帯となってバオゥーベアーの心臓を貫通します

これはもう戦車砲の威力です。

いやぁ、グイベル戦でファイラーの威力不足を感じて、魔法陣による一時的な魔力強化を考えてみました。姉友ちゃんと見習い神官ちゃんは固定砲台のようにその場に留まって魔力を高める必要があるのが欠点です。ゆっくり高める分だけ、威力の増し増しに成功しました。

その威力にベンさんとドクさんが呆れています。

「なぁ、こっちのお嬢ちゃんも似たような魔法が使えるのか?」

「はい、氷の砲弾が打てますよ」

「よぉ~し、これでドラゴンに近づいた」

「この程度でドラゴンの鱗は貫通しないですよ」

「小僧ならいけそうだ。がははは」

俺は目を逸らした。

レールガン擬きは封印中です。

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