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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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32.不登校だ、学校なんて行きません。

みなさん優秀ですね!

試験が終わって2日後、教授達もがんばって結果がすぐに発表されます。

お茶会のお姉さん、980点で合格、推薦GET。

赤毛のお姉さん、820点で合格、推薦GET。

他の4名は1回目700点前半で、4日の再試験もわずかに800点に届きません。

という訳で二人は無事に進学が決まり、元気なお姉さんも無事に卒業して領軍に入ります。5回生の二人は来年こそ合格すると意気込んでいます。5回生の7女ちゃん、2回目の発表、7日に泣き崩れて帰ったままに翌日は不登校です。

そりゃ、泣きたくなるでしょう。

今回、7女の侍女ちゃんは慰めにいけません。再試験で見事合格し、当日に辞退を申し出ています。そんな事情で顔を会わせ辛いのです。

7女ちゃん、どんな結果というと、

1回目が780点、2回目が799点の1点足らず。

完全な自己嫌悪です。

あと1問、返ってきた回答用紙とにらめっこ!

わたしって馬鹿。

どうしてここを間違ったの?

これなら判るでしょう。

何故?

そんな自問自答を繰り返しているのでしょう。

俺ならしばらく学校に出て来られそうもありません。

俺?

聞かないで下さい。

601点。(ぼそっ)

あれだけ勉強したのにマジです。

800点がボーダーラインなら奴隷行きでした。


もう勉強なんてしたくない。

ラッキー、もう授業も出なくていいってさ!

えっ、というか?

姉さんと姉友ちゃんに両腕を取られてクエストに強制参加させられています。

1ヶ月も放置したのが拙かったのか。

朝起きると二人に睨まれて、有無を言わせずに移動です。

欠席届を出してないので俺も不登校扱い。

まぁ、いいか。

しかし?

みなさん、どう見ても遠征装備ですよね。

背負っている荷物がデカイ。

砦に向かう装備じゃありません。

「まずは温泉よ」

「温泉です」

「温泉パワーでレベルアップだ」

「下兄ぃ、どういうこと?」

「俺に聞くな。もう止められない」

下兄が俺から目を逸らす。

「がははは、ドラゴン討伐じゃ」

「いるといいですね」

川を渡って北に向かい、高級果実の『百薬果実』を補充してから西に向かいます。

盆地より北は雪が多くなるので、この時期から行くのは無理らしい。

西は山々が並び立ち、人の侵入を拒んでいるのです。

その山間の先にエルフの里があるらしい。

地図で見ると距離的には非常に近いのですが、8000m級の山が壁になっています。

ぐるっと迂回して行くしかないのです。

「エルフって、いたの?」

「いるぞ。町には絶対に出てこんがな!」

背中に背負っている『百薬果実』はエルフへの土産ものらしい。

「美人の湯があるのよ。この貧弱な体とお別れよ」

「そうです。バインバインになって……ふ、ふ、ふ」

「レベルアップだ」

少女二人と幼女が騒ぐのです。

「私が綺麗になるのが嫌かしら?」

「そんなことはありません」

「美人の湯だって楽しみだね」

「うん、うん、エルフの秘境だから確実よ」

女性陣の暴走は止まりません。

その話をしたのは『竜の咆哮』のリーダーでした。

弓士のグラマザさんは非常に美形。いえいえ、美形を通り越して美人顔です。

昔はもう少し肩も張って筋肉質だったらしくのです。

それがエルフの秘境の温泉に入ると、肌が若返り、肩もなで肩に変わり、筋質が落ちたように見えるのにパワーが上がった。そして、より美しくなってしまったと言うのです。

他のメンバーは何となく、疲れが取れたくらいです。

「一時的にパワーアップもしたぞ」

それを聞いた女性陣。

行かないという選択はありません。

山に入ると魔物の数は減りますが、凶悪な魔物が縄張りを持っています。

あの『竜の咆哮』が討伐より逃亡を選択するような奴です。

「別に逃げた訳じゃないぞ。戦力温存だ。化け物を相手に無傷という訳にはいかん。ドラゴンに出会うまでは戦力を削ぐ訳にいかんだけだ」

そういうことだそうです。

そして、逃げ回っている内にエルフの里に辿り着いたそうです。

3つの合同パーティと言っても戦力が増強されている訳ではありません。

俺らのパーティ『シスターズ』は完全に足手まといですね。

ベンさんとこの『黄昏の蜃気楼』も若手二人も同様です。

行きたがっているのは女性陣であり、彼女らを外すのは無理です。

それで俺が白羽の矢ですか。

「がははは、冒険じゃ」

「悪いな、坊主」

「悪いのは姉さんですから」

後、1ヶ月待てないのかよ。

「1ヶ月も待ったらお婆さんになるでしょうが」

ならねいよ。

糞ぉ、ロクな装備も用意してないのに。

「あんた、今の装備で十分でしょう」

「魔物によっては必要になるかもしれないでしょう」

「がははは、グイベルより強い魔物はおらんかったぞ」

「ほら、大丈夫」

「怪我とかを考えて、薬も用意しないと」

「あんた、治療魔法が使えるでしょう」

「わたしもできます」

「当然、わたしもよ」

「俺もそちらが本業だ」

「薬は十分に持って来ていますよ」

「ほら、大丈夫」

「いざと云う時の為に様々な回復魔法が使える魔道具も揃えるべきなんだよ」

「あんたの腰に杖は、すぐに何でも書き替えられるじゃない」

いらんことを覚えてやがる。

駄目だ。

何を言っても通じない。

姉さんはこれでも我慢してくれたのであろう。

卒業試験が終わるまで待ってくれていたのだ。

失敗は1つ。

「俺はもう自由だ」

そう叫んでしまったことだ。

本当に自由になるハズだったんですよ。

8月の授業は出る必要もなくなり、大会や競技会が成績に関わることもない。

最後だからクラス対抗と武術大会くらいは参加するつもりでした。

他は暇だからクエストを多くするつもりでした。

なのに!

「ベンさん、卒業式には間に合わせて下さいね」

「は、は、は、善処する」

目を見て言って下さい。

卒業できないと大変なことになるんですから!

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