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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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23.そろそろ場所を変えないか。

産業もなかったこの城壁町に魔物素材回収という産業が生まれた。ささやかな産業であり、城壁市の経済力を押し上げるほどではない。それでも城壁市の北西と東の近隣には危険な魔物がいなくなった。

そりゃ、魔物が豊富で買い取り価格も高いとなれば、他の地域から冒険者が集まってくる。冒険者の移動が激しくなると大型の魔物は発見されて駆逐される訳です。

「坊主、狩り場をもう少し東に移そうか?」

「ですね」

魔物を減らし過ぎると若手の冒険者に迷惑が掛かりそうです。

背負子を増やしたのは良いのはいいのですが、草原部を超えると1日2往復するのが限界になります。それも草原の浅い場所に限られます。奥地の高い魔物が狩りに行くと2往復が難しくなってきます。

それはそれで効率が悪いというものです。

「これ以上、パーティを増やすのもな」

「がははは、いっそ荷物置きの護衛と輸送のパーティを雇うか」

「効率はよさそうですね」

「そういいと思う。装備も揃えない子にいいボーナスになるわ」

「装備もロクにしていない奴を森の奥に連れてゆくのは感心しないぞ」

「ベンさん固い。ロクにご飯も食べられないあの子達を何とかして上げないと思わないの」

「それは思う。だが、森の奥は別だ」

「ケチ、ケチ、飢えて死んだら一緒じゃない。助けましょうよ」

姉さんは女神ですか?

「ちょっと、あんた何とかしなさい」

「おれ?」

「あんたしかいないでしょう」

「また、無茶をいう」

「いいからやりなさい」

パーティがパーティを雇うのは余り聞いたことがない。しかし、ドクさんが旅した西欧では普通だったらしい。

「でも、グイベルの時に雇ったですよね」

「あれはギルドに依頼した。ギルドのクエストだ」

なるほど、この国ではギルドを噛ませるとできる訳ですか。

「おい、あんまり無茶をするな。また、トンでもないことを考えているんだろ」

「失礼な」

姉さんがベンさんの後ろから睨んでいますよ。

はい、はい、やりますよ。


とりあえず、狩り場を草原の東に変更しました。

「説明しろ」

下兄がご立腹です。

午前中の一度目の狩りを終えて、城壁市の仮置き場へみなさんは荷物を運びで帰っています。

俺は姉さんに頼まれた件を実現する下準備に掛かっています。

下兄と姉さん達は自主練で草原の獲物を狩っています。

草原の獲物はすばしっこいのが多く、連携も悪くないので俺抜きで戦うと意外と苦戦するんですよね。

ベンさんとドクさんがいないと左右からの攻撃にも気を使わないといけないからちょっとした油断が怪我に繋がります。

あっ、油断して姉さんがちょっとした怪我しました。

下兄のフォローはいいけど、自分の背中がガラ空きにしちゃ駄目ですよ。

下兄と姉さんが突出し過ぎ、姉友ちゃんと見習い神官ちゃんも襲われて完全に分断されましたね。

まったく、こっちは草狩りで大変なのに!

ぶつ、ぶつ、ぶつ、とりあえず瞬殺で助けました。

怪我の治療は見習い神官ちゃんと姉友ちゃんが競うように言い争っています。

どっちが治療しても同じなのにね。

下兄が睨んでいます。

何をしているのかと言えば、草原部にある小高い丘の上の草を焼いて、土を削って平地を作っているのです。

「丘を焼いて大文字焼き」

このネタは通じませんね。

削った土は中央に集めてドームを作っておきます。

後で中を抉って、避難所兼荷物の置き場も作っておきましょう。

さらに平地になった場所を丁寧に土魔法で硬化します。

コンクリートほどではありませんが、煉瓦並に固めてゆきます。

土いじりして遊んでいるにしか見えないって。

出来れば、判りますよ。


2月、丘の上に2km四方の立派な平地が完成です。

荷物の置き場に便利がっていただけました。

ちょっとしたミスです。

翌週に行くとゴブリンの巣にされていたのは笑い話ですよ。

今度から蓋をしておきましょう。

平地の真ん中、小高いドームの上に弁当を並べてみんなでお食事です。

「ここは見晴らしがいいので警戒する必要がなくいいわ」

丘の頂上を中心に2km平方の草が刈り取られ、高さ6mのドームの上から魔物が侵入したかどうかも一目で判ります。

みんなが魔物を届けている間にお昼を作って待っているのが日課になっています。

背負子で背負えるのには限りがあるのです。

ここに仮置きしても草原と城壁市を2往復することには変わらないんですよね。

「役に立たないじゃない」

姉が鋭い突っ込みを入れます。

「で、あれは何ですか?」

姉友ちゃんが端の方に4m四方の立方体のブロックを指さしていいます。

いくつか掘り出し中の奴です。

土魔法で固めた地面から掘り出してサイコロのようなブロック石を横一列に積み上げている途中の奴です。

積み木が横に何個か並んでいるようにしか見えません。

「完成すれば判るよ」

「最近、あんた、そればっかね」

説明するのが面倒なだけですよ。

2度目の狩りが終わると、みんなで帰ります。

俺だけ少し遅れて歩きます。

風の刃で木々を切り倒して、適当に積んで行きます。

「あんた、ホントに何やっているの?」

「見晴らしをよくします」

「いい加減にいいなさい」

痛い、痛い、痛い、ほっぺたを引っ張らないで!

「馬車が通れる道を作っているんだよ」

「馬車?」

「荷馬車だよ」

姉さんは首を傾げます。

普通、丘の倉庫と道と言えば、気づかないのか?

ベンさんとドクさんは薄々気が付いているようです。

帰り道はわざわざ遠回りして平坦なルートを選んで貰いましたから、何もしているのかも判っているのでしょう。

そう、未来の道を作っています。

切った材木もまとめて積んで乾燥中です。

材木を何に使うのか?

もう決まっていますよね。

他の冒険者達も何をしているのか不思議がっていますが、飲み屋でベンさん達に聞いても知らないとしか答えません。

ただ、何となく判っているだけですから。

夏までには丁度巧く乾燥してくれるでしょう。


学校も2年目になると慣れました。

今年取得する科目と来年に回す科目の選択が重要なのですが、先輩のアドバイスもあって優先順位も完璧です。

この体、記憶力がいいですね。

魔力は賢者には程遠いのですが、使えなかった前世に比べて不満はありません。

6歳で20km以上も徒歩で冒険クエストとか、10歳並の体力を身に付けていますよ。

えっ?

今日の剣術は体力強化で20kgの鎧を身に纏って、グランド周回で20kmだって?

6回生(10歳)とか、5回生(9歳)とか、楽にクリアーしてるのもいるよ。

5回生の赤毛のお姉さんは何とか完走です。

俺は完全にグロッキーです。

キュアで体力を誤魔化して何とかゴールした時は日も傾きかけていました。

異世界人、体力あり過ぎだろう。

地球人には無理です。

因みに、

こちらの世界の回復魔法はヒールが細胞再生を促進し傷を治し、一方、キュアは体力回復魔法であり、体内の疲労物質を除去する感じみたいです。

賢者のヒールは両方だったハズなのですが、精霊の感性が違うのか?

ヒールがただ傷を治す魔法に変わっていました。

慌ててキュアを原型にキュアの魔法陣を作り直し、併用して使うように変えました。

現在、ヒールとキュアの合体の魔法陣を研究中です。

同じ魔力で効果2倍の奴を………そんな都合のいい魔法は簡単じゃありません。

くそぉ、難しい。

1.5倍くらいは何とかね。

基本原理は一緒なので効果が付帯されてもいいハズなんですよ。

見習い神官ちゃんの魔法陣を解析してよかった。

それまでヒールとキュアが同じだと思っていました。

早目に気がついてよかったです。


週末に再びクエスト。

サイコロブロックを取り出した穴に魔物が落ちていました。

「これがやりたかったのね」

違います。

深さ4mの穴に落ちた魔物が沢山掛かっていました。

上から矢と魔法で攻撃し放題です。

数が減ると、下に降りてちょうどいい練習相手です。

大漁、大漁、午前の狩りがこれで終わりとはこれ如何に?

まぁ、作業が進んでいいんですけどね。

他の冒険者も落とし穴に気づいたらしく、ここを立ち寄る冒険者も増えたそうです。

ウチの所有物じゃないから来るなとも言えません。

好きに狩って下さい。

おい、邪魔はしないで貰いたい。

えっ、キューブブロックを浮遊させて積んでいくのを見て唖然としないでよ。

恥ずかしいでしょう。

設計変更です。

当初の予定は外堀をすべて連結するつもりでしたが、いくつかのブロックに分割することにしました。

隣で狩りをされては邪魔ですよ。

2月末、

草原の丘にあるモノの存在に気づく人も出てきます。

そろそろお茶会で発表しておきましょう。

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