第20話までの人物紹介
主人公:アルフィン・パウパー(岩木正文、〔賢者〕ティル・ラディイル)
魔術士:リーライハン・ビルム、魔法省人材発掘課に所属する魔法士。
文官さん:ティンク・フォン・リトルス(ミリフォ)男爵夫人。
母さん:エミット・パウパー
親父:シュド・パウパー
上兄:ウェアニー・パウパー
下兄:シュタニー・パウパー
姉:アネィサー・パウパー
マリア:マテュティナ・ツー・レムス、人気作家
20話以降
姉友ちゃん:トモ・ウンデキム、教会で知り合った姉の友人
子爵の坊ちゃん:アヒム・ファン・バルテン、2組の同級生
伯爵の三男:アクト・アディ・シハラ伯爵、領主の三男
領主伯爵様:シコヲノ・アディ・シハラ伯爵(城壁市エクシティウム、シハラ領)
ベンさん:ベン・ミュラー、『黄昏の蜃気楼』を率いるリーダー
無口さん:ディーノ・ポビロット、『黄昏の蜃気楼』の盾の戦士
僧侶さん:エリオ・スカラ、『黄昏の蜃気楼』の従者(魔法士)
魔法士さん:スー・レトリット、『黄昏の蜃気楼』の魔法士
蚤の背さん:ジュンガ・ブルート、『黄昏の蜃気楼』の斥候
ひょろさん:パリス・ドォウ、『黄昏の蜃気楼』の戦士
ガリさん:ガロエル・リベロ、『黄昏の蜃気楼』の荷物持ち(戦士見習い)
お茶会のお姉さん:ティナ・ファン・エトホフト子爵、次長の父
お茶会の先輩さん:テール・ハイル、交易省の父
お茶会のリボン先輩:テア・ファン・アルボ、造船部の父
お茶会の淑やかなお姉さん:ラッセ・ファン・イェルツェン、財務局に姉
お茶会の元気な先輩さん:オリビア・アディ・エウレベ、小貴族(準領主、城内俸禄)
お茶会の資料さん(文学のお姉さん):ソニア・ファン・セーヴェル、審議官の娘
お茶会の頑張り屋さん:アンネ・アディ・ソルヘルム、小貴族(準領主、城内俸禄)
お茶会の控えめな先輩:カルラ・ファン・ボック、準会員、企画課の父と母
赤毛のお姉さん:シェリー・フォン・ブラニー爵、剣の学科を選択するお姉さん
姐さん:カーチャ・セクス、アーチャーのお姉さん。
妹ちゃん、妹ズ(1):ハーニャ・セクス、アーチャーのお姉さんの妹。
妹分、妹ズ(2):レーナ・クィーンク、アーチャーのお姉さんの妹の友人。
見習い神官:アンニ・エクレシア、教会の子(捨て子)
シスターのお姉さん:エリカ・エクレシア、教会の子(捨て子)、小さな法の支配者
ドクさん:ドレイク・フォン・クラスライ:『竜の咆哮』のリーダー
盾の戦士さん:シオン・ピンイン :『竜の咆哮』の盾
斥候さん:マオ・チュウイン:『竜の咆哮』の斥候
ランサーさん:リュイ・タリーク :『竜の咆哮』の魔法士
魔法剣士さん:ヤン・セルバ:『竜の咆哮』の魔法士
グラマザさん:ジンユィ・フゥーア :『竜の咆哮』の弓士
元隊長の剣士:シーツー・シァン:『竜の咆哮』のメンバーの師匠
□詳細とその他の設定
〔ネタばれあり、読む場合はご注意を。読まなくても問題ありません〕
◎主人公:アルフィ・パウパー、5歳1月生まれ、城壁市エクシティウムの下町に賢者の知識と中二病の感性の記憶を持つ転生者として生まれる。貧しい靴屋の息子で大好きな母さんの気を引く為にがんばっている。苦手なものは姉さん。魔法と知恵を駆使してがんばって、「平和が一番」を座右の銘にして、人生をまっとうすると誓っている。
●ティル・ラディイル:魔王を討伐した若き賢者、しかし、その代償に若い命を散らせてしまう。ウハウハな人生を目前にして32歳の人生を終えた。
●岩木正文、賢者の記憶を持って生まれた正文はその才能ゆえに母に逃げられて心が折れ、理解ある恋人には裏切られ、本の世界に逃亡した。大学を卒業し商社に入った彼はよき上司、よきご近所さんを装ったが、結局、いい人と止まり、部下の妻の相談に乗り、事故で42歳の人生を終わる。
◎魔術士:リーライハン・ビルム、26歳、20年前に地球から転生してきた先輩で老け顔。魔法省人材発掘課に所属する魔法士で光の魔法『意志疎通』で転生者を導く仕事をしている。
◎文官さん:ティンク・フォン・リトルス(ミリフォ)男爵夫人、27歳。地元の行政府で働いている貴族の奥さん。1児を実家の宿屋に預けて出勤している。『マリかの』の大ファン、アルのよき理解者である。
◎母さん:エミット・パウパー、20歳、第6区に靴屋の妻、アルを含む3男1女を生んだ。転生者は変わった子供が多いと言われるがアルも変わっている。おみやげの花などをいつも持って帰ってくる。自分を恋人のように思っているのだろうか。年増好きにちょっとアルの将来に不安を覚えている。
◎親父:シュド・パウパー、51歳、第6区に靴屋主人。孝行息子のお蔭で皮靴を作るようになって家計が随分と楽になった。アルは自分のことがあまり好きではないようだが、自慢の息子である。兄姉の世話をしてくれ、血を分けた姉妹が大切なのだろう。息子に何もできないが、せめてもう少しがんばって弟か妹を作って喜ばせてやろう。
◎上兄さん:ウェアニー・パウパー、長男、8歳4月生まれ、商業区の靴屋で修行中。自慢の弟のおかげで領主伯爵様の覚えもめでたい。同じ弟子仲間から一目置かれている。弟のアルに負けてられない。がんばろう。
◎下兄:シュタニー・パウパー、次男、7歳5月生まれ、冒険パーティ『シスターズ』のリーダー。片手剣の剣士。ベンさんとドクさんに手解きを受けている。いつかアルに負けない本物のリーダーになる。
◎姉さん:アネィサー・パウパー、長女、6歳2月生まれ、冒険パーティ『シスターズ』の斥候。世話焼き、イタズラ好き、強気、負けん気、弟好き。アルは私のモノ。アルも私が大好き、何だって言うことを聞いてくれる。今日はアルに何をして貰おうかしら。
◎マリア:マテュティナ・ツー・レムス子爵の令嬢、26歳、王国の人気作家。『マリかの』のファンで『マリして』、『のりのり』をアルの依頼発注しているアルの常連様。最近、益々、作家として活動を盛んにしている。インスピレーションが湧くわ。次巻の『マリして』が来てないわよ。催促しなくっちゃ!(1児の母ですよ)
◎姉友ちゃん:トモ・ウンデキム、6歳7月生まれ、教会で知り合った姉の友人。魔法の才能があると言われ、アルに魔法を教えて貰う内にクエストに参加する。はじめてクエストに参加し、家に遅く帰ったトモは姉妹の面倒もみないで遊んでいたと母に叱られたが、薬草の売ったお金を差し出すと、手の平を返すようにクエストに行くことを薦めるようになる。母は4男6女の子沢山で長女と次女は嫁に行き、長男はもう働いている。4女のトモはお弟や妹の面倒を見る必要があるのだが、クエスト以降は3女の役目となった。姓のウンデキムは11番地に住んでいるという意味であり、11区画に住んでいる住人の多くは、ウンデキムを名乗っている。
○子爵の坊ちゃん:アヒム・ファン・バルテン、5歳、2組の同級生、父はオリエント地方出身の子爵家の次男で役人として赴任している貧乏貴族で小金貨10枚の学費なんとか払っているが、20枚は払えそうもない。兄は小さな小領主であり、何とか高等科を卒業できた父は地方の法官貴族として派遣される。小領主などは地元の領地で与える役職がないので地方の法官貴族になることが多い。アヒムは高等科を卒業しないと爵位を失うので、パトロンを見つけて、高等科に行く学費の目途を付けないといけない。
◎伯爵の三男:アクト・アディ・シハラ伯爵、5歳10月生まれ、領主の三男、日本人の一条 阿久斗の記憶を持つ転生者、生まれた時から魔力判定の魔法石が光を放つシハラ伯爵家に生まれた久方振りの魔法才能者であり、領主シコヲノは欲を書いて固定の魔法を施した。日本人は生真面目と聞いており、幼い頃から魔力トレーニングができる転生者は魔法才能が開花し易い。専用の魔法通訳を雇って1歳から英才教育を始めた。アクトはシハラ領における問題を解決する切り札として期待されたのである。しかし、阿久斗の前世は母子家庭の一人っ子であり、小さい頃からお金だけを与えられて我儘に育った。学校の勉強などそっちのけでゲームや漫画に拭け、いじめっ子側に所属して同級生を虐めるなどして遊んだ。中学で中二病を患って、同じ中二病の別グループと対立し、反撃の一撃を加えた所で戦略的撤退、追いかけてくる別グループから逃走中に道路に飛び出して車に跳ねられて命を落とした。1歳の頃は通訳を通じて領主と良く話し、異世界の話で沸き立った。3歳になると体が自由に動くようになり、本格的な英才教育が始まると姿を隠すという体たらくを現す。才能の持ち腐れ、シハラ家の恥と兄妹から罵られるようになる。しかし、アクトは自分の力を過信した。ある日、才能が爆発して大魔法が使えるようになり、皆がひれ伏す。そう信じて疑わなかったが、4歳の夏に一変する。同じ歳の転生者がグイベルを倒したと聞いた。事実は不明だった。しかし、才能の塊と言っても魔物を一人で倒せないアクト、城外クエストで魔物を退治し、実績を積み上げてゆく謎の転生者。アクトに向けられていた期待はもう一人の転生者へと移ってゆくのを感じていた。だからと言って努力しようなどとする訳もない。学校に入って正体を知る。そして、ゆっくりと外堀が埋まってゆくのを感じている。
◎領主伯爵様:シコヲノ・アディ・シハラ伯爵(城壁市エクシティウム、シハラ領)66歳、城壁市エクシティウムはセプテム地方の北の果てにある。300年前に造られた王国で最も新しい城壁市である。城壁市エクシティウムが登場したことで王国の東西貿易は新たなルートを得られた。セプテム川という河川を利用すると、王国の東西経済は一気に活性化する。しかし、それは王都を経由しない交易であり、王都の保守派がそれを毛嫌いしている。そして、シハラ伯爵の寄り親に当たるセプテム地方の大領主であるネロ・アディ・バイエルン侯爵(フランク領)が嫌がっている。王都から発展させよとの命令がきているが3代に渡って、シハラ伯爵は発展を拒んできた。その最大の理由は、領軍の貧弱さにある。魔物を排除して領地を拡大するなど夢のまた夢であった。寄り親のバイエルン侯爵の戦力は期待できない。王都は開発を命令するが、金も兵も貸さない。シハラ伯爵は城壁市エクシティウムを積極的に発展させないことが最も安全と考えていた。しかし、そこに救世主が現れた。60歳を超えて生まれた側室の3男のアクトである。たった一人で戦局を変える大魔導師になる才能を持つ転生者の誕生にシコヲノ領主は喜んだ。北の山に関を作り、北西の開発し、伯爵の忠義の家臣達に領地を与え、小領主にする可能性が生まれてきたのである。だが、その期待は裏切られる。アクトの不真面目さにシコヲノ領主は頭を抱える。そこにもう一人の転生者が現れた。期待はできない。無視もできない。シコヲノ領主はその少年に意識を向けてゆく。
◎ベンさん:ベン・ミュラー、28歳、Cランク戦士『黄昏の蜃気楼』を率いるリーダー、長剣の使い手。オリエントの海岸にある小さな田舎から出て来た冒険者、祖父以前は貴族だったとか、幼い頃から剣を習っていた。オリエントの城壁市で冒険登録し、気のあった仲間とパーティを組んだが、ベテランパーティに騙されて死にそうになる。実際、合同で組んだ別のパーティのメンバーが死んだ。気のいいベンは怒った。しかし、オリエントは商人の町であり、冒険者もその気風に染まっている。騙された奴が悪い。そんな空気を嫌って、北のエクシティウムに拠点を移した。そこで知り合ったのがドクという西方にも旅をしていたベテラン戦士である。弟子入りして様々な技術や技を伝授された。しかし、レベルが上がってくると、冒険をしないベンを仲間達と対立するようになる。結局、パーティは解散され、仲間達はオリエントに戻っていった。ベンが気遅れすることなく、新しい仲間を集った。
○無口さん:ディーノ・ポビロット、22歳、Cランク戦士『黄昏の蜃気楼』の盾の戦士、勇敢で有能な盾の戦士だが剣技がいま一つ。幼い頃に高熱を出してから「うぅぅ、だす」という感じの呂律が巧く回らないようになった。仲間との意志の疎通ができずに仲間から解雇された所をベンに拾われた。ベンは言葉足らずのディーノをいつも気づかってくれる。
○僧侶さん:エリオ・スカラ、27歳、Dランク魔法士『黄昏の蜃気楼』の従者(魔法士)、ベンと同じ村の出身。神官見習いから従者に降りた。従者は神官の世話をする者のことで、旅などでは守り役となる。簡単なヒールとキュアーなどが使えるが魔力量が乏しい。短槍二本を器用に扱って戦う。(二本を繋げて両槍にもする)普段は近くの教会でフリーの従者をしているので冒険ギルドの貢献ポイントが少なく、Dランクに留まっている。
◎魔法士さん:スー・レトリット、19歳、Dランク魔法士『黄昏の蜃気楼』の魔法士。西隣の城壁市から移動してきた冒険者パーティだったが、メンバー4人が再起不能な負傷を追って露頭に迷っていた所をベンに拾われる。火を得意とする駆け出しの魔法士で語尾に「スー」と付けるお銚子者。ほっそりとした体はエルフを彷彿させる。
○蚤の背さん:ジュンガ・ブルート、18歳、Dランク斥候『黄昏の蜃気楼』の斥候。スーと同じパーティに居た。スーと一緒にベンに拾われた。小柄な体、でっぱ歯で猫背が特徴の斥候さん。蚤のように背を丸めるのでアルはそう呼ぶ。獲物はロングナイフに毒針、罠を得意とする。「へへっへ、」と無意味に笑う。斥候として姉さんが凄く世話になっている。
◎ひょろさん:パリス・ドォウ、15歳、Dランク戦士『黄昏の蜃気楼』の戦士。居住区2番地生まれの引退した冒険者の装備を貰えた運の戦士。さらに運よくベンに拾われ、ベンに鍛えてもらってDランクに上がったばかり。体はまだひょろひょろとしている。
○ガリさん:ガロエル・リベロ、14歳、Dランク『黄昏の蜃気楼』の荷物持ち(戦士見習い)、小さい頃から生活クエストだけでDランクに上がった苦労人。ガリガリだがガタイは悪くないので荷物運びとして雇って貰って生活している。最近、ベンに声を掛けられ、見習い戦士兼荷物運びとして仲間に加わった。ベンの食事などの用意もしている
◎お茶会のお姉さん:ティナ・ファン・エトホフト子爵、9歳、次長の父、100年前の初代様が北辰一刀流の剣士の転生者。エトホフト家に異彩を放つ秀才、7歳で飛び級に合格し、8歳で卒業試験を受けたがわずかに届かなかった。5回生で卒業は間違いと言われていた。地元出身の行政府の第2位に当たる次長の父を持つ。市長は王都から派遣されてくるのでこれ以上は出世することはない。本家や他の分家には小領主になった者もいるが、ご先祖の次男はこの地に派遣されてからずっとここを拠点として根を張っている。各部署に親戚や知り合いが多くいる。
○お茶会の先輩さん:テール・ハイル、10歳、交易省の父、300年前に第一開拓者として農民の一族。ハイルの名を領主から受け賜った。一族は大農家、中央区や商業区、歓楽区、港区に根を張っている。テールの実家は第1居住区にあり、父は交易省の下級役人であるが、実家は工房をいくつか経営している。彼女は金が掛かるだけの高等科に進学するつもりがなく、初等科を卒業すると下級官僚に就職し、商人などの妻になるつもりでいる。(高等科は兄弟に任せるつもりである)
○お茶会のリボン先輩:テア・ファン・アルボ爵、10歳、造船部の父、港区の造船所の職員の父(法官貴族)を持つ。大きなリボンが特徴な彼女で6回生のトップ。ティナがいなければ、お茶会の会長としてみんなを指導する立場になっていた。今はティナに任せて学業に集中している。
○お茶会の淑やかなお姉さん:ラッセ・ファン・イェルツェン男爵、10歳、財務局に姉、イェルツェン家の実家であり、家長の兄は王都の福祉課の職員をしている。父は退職し非常勤職員であり、市の財務局に姉が務めている。末っ子ということもあり、大切に育てられて、お淑やかな性格になっている。目立たないが文武両道を実現し、高等科の進学も確実と言われている。
○お茶会の元気さん:オリビア・アディ・エウレベ、9歳、小貴族(準領主、城内俸禄)、兄が領軍の軍団長。300年前に領主に付き従った家臣であり、領内に領地を分けて貰っていた一族である。(実際の統治はやっていない)武家の家系であり、男女に関係なく、軍属になることを義務付けられている。血行のよさそうな褐色の肌、形のいい胸に笑顔が最高の元気印のお姉さんで、オリビアは槍と弓、双剣を得意とする。(地味に盾を持って戦うの嫌だそうだ)学業は中の上であり、高等科に進めるかは微妙である。(高等科に進めない場合は領軍に入る)
○お茶会の資料さん(文学のお姉さん):ソニア・ファン・セーヴェル子爵、8歳、審議官の娘、本家は王都にあるが、審議官として長くこの地にいる。審議官は裁判官のようなものであり、領主、市長、大神官とは別の意味で権力者である。ゆえに行政に口出しできない。ソニアは文学好きな少女であり、異世界文学はジャンル別であったが、アルの登場で興味を持ち始め、カルラをお茶会の会員に昇格させた。
○お茶会の頑張り屋さん:アンネ・アディ・ソルヘルム男爵、8歳、小貴族(準領主、城内俸禄)、8歳、商業区の地主の一人。従妹に鍛冶師。300年前に領主に付き従った家臣であり、領内に領地を分けて貰っていた一族である。領地と言っても小さく、とても報酬だけやってゆける訳もなく、様々な事業に手を広げ、商業区の店の地主として成功している。アンネの父はこの城壁市の代表団の一人として王都で勤務している。彼女は特に才能らしい才能はないが、持前の努力で同回生の上位に食い込んでいる。口癖は「かんばります」だ。
○お茶会の控えめな先輩(ニホン好きなお姉さん?):カルラ・ファン・ボック爵、7歳、準会員、企画課に父と母が共に勤務している。6月に開催されたお茶会のオリエンテーションで入会が認められた新会員であり、3ヶ月が過ぎると会員に昇格する。父は代々貴族名を継ぐだけの法官貴族であり、母は下級役人で課内結婚した。母の実家は中央区で宿屋を経営する。(文官さんの姪に当たる)彼女は誰の影響か知らないが、日本文学をこよなく愛しているニホンマニアな文学少女であり、同じ文学という接点からソニアに誘われてお茶会に参加し、準会員に昇格する。先に入っているアルを先輩と呼び、日本からの転生者であるアルを尊敬するのでアルも困っている。
※城内俸禄:城壁内で上がる年貢の一部を報酬として貰える貴族のこと。
◎赤毛のお姉さん:シェリー・フォン・ブラニー爵、9歳、剣の学科を選択するお姉さん。貧乏貴族、実家は商業区の酒屋(酒造・倉持ち)なのでお金の当てはある。取引先の為に領軍か、高等科に進学を進めている。中に城壁防衛戦で活躍したのがシェリーの祖父であり、領主伯爵から爵の位を頂いた。文武両道で優しいお姉さん、ショートの赤毛がチャームポイントである。
◎姐さん:カーチャ・セクス、19歳、アーチャーのお姉さん。隣の城壁市の6番地に住む娘、2歳から冒険ギルドに登録し、わずかなお金を入れ続け、荷物持ちから冒険者に転向した。そんな彼女に分け前を等分してくれるという若者の冒険者が3人。拠点が城壁市エクシティウムだったので彼女も拠点を移した。そこに妹とその友人が訪ねてくる。しかし、妹の強姦未遂でパーティを脱退したはいいのだけれど、生活クエストでは家に仕送りする分が稼げない。そこに幼い女神が現れて、採取クエストに誘ってくれた。週に1回か、2回だけれども経済的に大きく改善した。何と合同ではなく、合流しないかという誘いに喜んだ。その日を境に橋の下から12番地のドゥオデキムに引っ越すこともできた。
◎妹ちゃん、妹ズ(1):ハーニャ・セクス、12歳、アーチャーのお姉さんの妹。隣の城壁市の6番地に住む娘、何不自由なく教会に行って、織物工房の下働きをして普通に暮らしていた。ある日、織物工房の取引先の60歳の商人が妾に欲しいと言って来た。父と母は大喜び、ハーニャはレーナに相談し、その日の内に冒険者登録し、旅団の世話掛かりのクエストを受けて、姉のいる城壁市エクシティウムに逃げた。姉は快く引き受けてくれた。姉の仲間も優しい人ばかりだった。しかし、ある日に豹変した。襲われた。嫌というのに殴られた。姉が来なければ、傷物にされていた。姉には迷惑を掛けるばかり、家も失って橋の下を寝床に変えた。自分より小さな女の子が声を掛けてきた。小さいけど立派な冒険者、小さいけど合同を組んでちゃんと冒険者をしている。私も変わらないと。そう思った。でも、その弟は神様だった。私は神様に付いてゆきます。
◎妹分、妹ズ(2):レーナ・クィーンク、13歳、アーチャーのお姉さんの妹の友人。隣の城壁市の5番地に住む娘、6歳で冒険ギルドに登録して生活クエストで家にお金を入れていた。12歳になってもランクはFのままでもがんばっていた。奇妙な男が訪ね「そんな値段じゃ売れないよ」と母が怒鳴っていた。どうやら母は私を売る気らしい。逃げたい。でも、逃げるところがない。3人目の男が明日もう一度来ると言って帰っていった。母がにやけた顔をする。お湯で体を洗ってくれた。もう駄目だ。結婚ですらない。家事手伝いでとある家に働きにゆくことになりそうだ。家事だってしたことはない。どんな家事か見えている。2人目の人は歓楽街の女朗の人買いだった。それでも金が合わない。どんな値段で売られるのか。お別れに言いにハーニャに会いにいった。ハーニャも売られるらしい。でも、ハーニャには姉がいた。藁に縋るつもりでハーニャを騙した。明日出発する旅団の世話役のクエストが残っているのか。日も暮れていた。不安だったが急いでいった。運が良かった。すべて巧くいったカーチャさんには迷惑だろうだけど、ここでお金を貯めよう。顔が悪いが追い出されるよりマシだ。そう思ったら露頭に迷った。カーチャを責めたいがさすがにできない。結局、こうなる運命なのかと諦めた。諦めたら女の子に拾われた。男の子が出てきて助かった。もう手放さない絶対に。
◎見習い神官ちゃん:アンニ・エクレシア、6歳、教会の子(捨て子)、捨て子だが3歳で魔法の素養に目覚めたことで見習い神官に昇格した。シスターエリカより杖を貰い、シスターのような、シスターがいう大神官になると決めた。毎日のように魔法を練習したが、魔法の素養もなかった子に抜かれてしまう。やはり、魔物を倒してレベル上げしない為だ。そのパーティに入れて貰ってレベル上げだ。私は大神官になる。
〇シスターのお姉さん:エリカ・エクレシア、25歳(未婚)、神官、教会の子(捨て子)、小さな法の支配者、王都周辺の教会で拾われた。魔法の素養があったので神学校の修道院に行く。修道院、そこは魔が蔓延る魔界であった。貴族はりっぱな神官になる為に穢れない暮らしが待っている。しかし、庶民は常に体罰と共にあった。信仰・食事・礼儀・諸学、どれ1つが欠けても独房行きになる。同じ修道士は独房に行ったまま、帰って来ることはなかった。審議する豚の目(神官)が嫌いであった。欲望に塗れて、胸をじろじろと見る仕草に嫌悪感を抱いた。同じ教会の子は神官を諦めて帰ったというが、城壁市に戻って来たという知らせを聞かない。どこに行ったのか、生きているのか。エリカは運よくそこを通過できた。天女と呼ばれた英才エリカも最果ての小さな教会の神官として派遣された。腹いせとしか思えない。そこは貧しい教会であった。貧しい市であったが、純粋な人が多く、心が癒された。そこに自分と同じような捨て子を拾った。聖母の別名であるアンニと名付けた。可愛がり過ぎた為か、素直な我がままな子に育った。頭は悪くないが思い込みが激しい。魔法の素養もあるので従者にして育てようと思い見習い神官にする。私のように神官、大神官になると言っている。無理だ。独房行きだ。絶対に。どうしましょう。アンニがクエストに行きたいと言った。ドンドン行きなさい。新しい世界を見てきなさい。神官を守る従者(魔法士)もりっぱな職業です。アンニが望むなら牧師(教会を持たない正式でない神官)の称号を上げてもいい。
◎ドクさん:ドレイク・フォン・クラスライ:41歳『竜の咆哮』のリーダー、大剣を使う戦士、ベンの師匠であり、スタイルが似ている。王国周辺の小領主の6男。高等科に進学しなかったので子爵は失われ、父の領主から貰った爵(一代限り)のみを付けている。勉強もせずに冒険に熱中し、お目付け役の元隊長の剣士から様々な知恵と知識を授かった。王国を巡り、仲間が半分になったが西方まで進出し、いつかドラゴンを倒し、ドラゴンバスターの称号を得ることに夢みている。城壁市エクシティウムを拠点に今は聖域を調査している。小ドラゴンバスターの称号を得たベンに理由を聞き、仲間になった。
〇盾の戦士さん:シオン・ピンイン:38歳『竜の咆哮』の盾、(熊のような大男)ドクの村出身の冒険者でドクに声を掛けられて仲間になった。器用さはないが体を使って大盾で仲間を救う頼りがいのある戦士さん。
〇斥候さん:マオ・チュウイン:34歳『竜の咆哮』の斥候、(猫のように素早い)、城壁市でスリをしていた少年であったが、ドクに拾われて斥候として鍛えられた。今では経験を積んでベテランの域に達している。恩義深い。
〇ランサーさん:リュイ・タリーク:39歳『竜の咆哮』の魔法士(ろばのように顔が長い)小柄な癖に丈槍を得意とし、接近戦も熟す魔法士。神槍李書文を思わせるような鋭い槍が「どこが魔法士」と思わせる。小さな巨人ならぬ武人です。魔法は光と風を操る。ドクさんの呑み友達であり、喧嘩友達である。ヒールも熟すのでアークプリンスと呼べる存在かな、そんな職業はないので僧侶かね。
〇魔法剣士さん:ヤン・セルバ:43歳『竜の咆哮』の魔法士(羊のようなおっとりさん)、魔導師に正式にならった炎の魔法全般を使える優秀な魔法士であるが、見た目と違い好奇心が旺盛で、魔導師の古い友人である元隊長の剣士の誘いに乗り、ドクと共に行動する。炎の魔法剣で接近戦も熟すオールマイティーな魔法士である。レベル的には魔術士の域にある。子供は各地に3人くらい、城壁市エクシティウムに2人いるが認知はしていない。親はなくても子は育つという。
◎グラマザさん:ジンユィ・フゥーア:41歳『竜の咆哮』の弓士(くじらのように包容力のある親友)ドクの家に使える執事の息子。幼い頃よりナイフと弓と薬学を教えられた。エルフの里で温泉に浸かってから美形から美人に変わってしまった。冷静な判断はパーティの要、パーティのお母さん「グランドマザー」と呼ばれている。
△元隊長の剣士:シーツー・シァン:88歳『竜の咆哮』のメンバーの師匠(獅子のような鋭い目つき)、王都のAクラスの冒険者と名を馳せたが、寄る年月に勝てずに解散した。そのとき、ドクの祖父に誘われて小領主の隊長に下った。隊長というが小領軍の長である。多くの後継者を育て、祖父が代を譲るとドクの目付役に変わった。ドクは好奇心旺盛な所は冒険者としての資質に富み、役人として真面目さが足りない。ドクの父は冒険者になることを許し、シーツーに可能な限り鍛えてやって欲しいと頼まれた。ドクが拠点としていた城壁市を離れるその日まで教え続けた。
※魔法省が認定する魔法使いのランク:魔法省は魔力や知識量、国家の貢献度に応じてその名称を与える。一般的に上のランクが有能な魔法使いと考えているが、冒険者や他国では仕様が統一されている訳ではない。魔法使いはこれらの総称である。魔法省の一部では、師以上を優秀な人材と考えている。また、冒険者の間では、魔道士以上の魔法使いを仲間にしないとドラゴンと戦えないと呟かれる。
〔魔法士、魔術士、魔道士、魔法師、魔術師、魔道師、賢者、大賢者〕
□世界の名称とその他
◎暦:アルフィンが生まれた年はアニミー歴(新生歴)5138年、アルゴ王国歴1838年です。偶数年は調整日が1日加算され、100年で割り切れる年は加算されない。さらに新生歴が400で割れる年は加算され、後は観測で微調整される。暦は創造神アニミーの名をとってアニミー歴とか、新生歴と言う。
◎爵位:王族の直系一族〔エスク〕、準王族の一族〔ツー〕、領主の一族〔アディ〕、土地なし法官貴族〔フォン〕
◎エクシティウム:人口3万人。領軍300名、貴族500名と従者1500名、冒険者100名程度(最大兵力は2300名と臨時徴集3000名程度)。城壁市エクシティウムが置かれているエクシティウム地方は西に高い山が連なる地形に位置する。緯度も高く、比較的寒冷地となるが、一年中偏西風が吹くこの層に位置している為に、高い山を越えてきたフェーン現象で冬でも雪が降るような寒さにならない。(年に2・3度ほど低気圧が東南から稀に上ってくると、大雨や大雪に見舞われることがある。)緑が深い為に東には広大な魔の森林が存在し、大漁の魔物が徘徊する。北の山は西ほど高くなく、北の山を越えると広い盆地が広がっており、動物・魔物達の楽園となっている。南もまた魔物が多く徘徊する土地であり、魔物楽園に城壁市を築いたと言った方が早い。西には寄り親となるフランク城壁市があり、エクシティウムもその派閥に所属している。東にはオリエント地方が広がり、古くから栄え、高度な文明と貿易で栄えている。城壁市の北から西に流れるセプテム川は大陸最大の河川であり、緩やかな川の流れは、偏西風を使って帆船で川を遡ることができる。ただ、魔物が多い地区なので開発は遅れ、300年前にできた城壁市エクシティウムは、1000人の開拓民によって建てられた「アルゴ王国最後の城壁市」と言われる所以である。100年に一度ほど、『大活性期』と呼ばれる魔物の大量発生する現象が起こる。王国中で起こる為に援軍を期待できない。城壁市は周辺の衛星小領主民を城壁に囲い、その苦難の年を超える。(北のセプテム地方の東方区には、魔物の徘徊が激しく小領主がほとんど存在しない)
※.異世界転生には周期があり、地球は100年単位で地球異世界人が増える接近時期の『最近期』と、まったく来ない離脱時期の『最遠期』を繰り返している。アルフィンが来たのは『最近期』が終わる頃であり、『最近期』が終わてから10年後くらいに『大活性期』を迎えると言われる。また、『最近期(20年くらい)』の始めと終わりに日本人の転生者が増えるという現象もある。
◎世界アニミー:アルフィンが誕生した世界。創造神アニミーが由来。神々と悪魔と神々の眷属と魔族と人族が混在する世界。世界中に魔物が溢れ、その合間に人族が塀を囲って暮らしている。勇者召喚も普通になされて、様々な世界の文化が混在する。アルフィンの住むアルゴ王国では、勇者召喚はされず、代わりに転生者の知恵を自国の発展の為に利用している。銃や大砲、飛行船が混在しながら生活レベルは中世のような生活とアンバランスな様々な力学の上で成り立っている世界である。
◎世界アース:岩木正文がいた地球である。魔法がなく、文化が発展している。神々は姿を隠している。
◎世界ゲルドニア:神々が去っていった世界。魔法があり、人族と魔族が戦っている世界。それは昔、神々の楽園と呼ばれた世界では、神々の禁忌と呼ばれた異種族の交配が盛んになり、異形の人種が多く生まれた。異形の人種は互いに殺しあり、奪いあい、犯しあった。長く人々に恩恵を当てていた神々もその荒廃に目を背け、遂にこの地を捨てて行ったのである。神々が去っても争いは続いた。その様々な怒りや憎しみや恨みは大地深くに眠らせた邪神を目覚めさせた。その邪気は地上まで昇り、一種族を魔族へと変え、魔王が誕生する。魔王は魔族を連れて世界を蹂躙し、100以上のあった国家のほとんどを崩壊させた。残された人族は神々が残した恩恵に縋り、そして、世界に誕生した賢者に導かれて、魔王を討伐し、一時の平和を取り戻している。
普通の城壁市の案内図
普通の国(主な地名入り)
エクシティウムに続く河川と主要道




