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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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18.嫉妬はスパイスの香り。

ガキン、ガキン、ガキン!

重なる剣が火花を散らしで対峙する二人の間に咲く。

俺は上級生を相手に剣の対決をしている。

もちろん、刃なし剣であり、練習用です。

武術の剣技、半端ない。

舐めていました。

当たったら死ぬよ。

学校では肉体強化の魔法の補助がないのでショートソードが重い。

クソぉ!

殺す気で襲い掛かってきやがる。

これが練習だと。

冒険者の練習場で繰り広げられる生死を掛けた訓練と変わらない。

そりゃ、あちらは一瞬でも気を抜くと死ぬからみんな真剣ですよ。

学園を舐めていました。

前期は手加減してくれていたみたいです。

すみません。

貴族のちゃんばらはどこまで行っても遊びと舐めていました。


1月、武術のオリエンテーションを終えると、片手剣、両手剣、刀、曲刀、双剣、短剣、ナイフ、長剣、短槍、長槍、太刀、斧、ハンマー、戟、弓、投げナイフ、クロスボウ、無手などの戦術に別れて科目を選択します。

8月の武術大会はそれぞれで代表が戦います。

代表になる為にマイナーな学科を選ぶのも1つの手です。

でも、銃がありませんね?

幾つか体験授業を受けて、剣と投げナイフと戦術を選択しました。

短剣とナイフがどう違うの?

剣道の流れでいえば刀ですが、刀は高いんだよ。

無難に剣術を選び、飛び道具にナイフを選びます。

賢者の時も投げナイフだったからです。

無手は止めました。

ただ殴り合っているような授業だったからです。

前世で剣道と柔術と中国拳法(太極拳、八卦掌、蟷螂拳)を学んで武の才能がないと諦めた俺です。

無手はそれほどにお粗末でした。

空手で熊に挑むのは燃えますが、魔物に素手は普通に死にますね。

しかも体も5歳児です。

遠慮します。

4月・5月は夏休みの前に最上級生のクラスに次ぐ、次のクラスまで上がりました。

基本的に5回生、9歳が多いクラスでした。

7月に近づくと最近は練習に熱が入ります。

8月にあると武術大会が連日で行われ、最上級生を倒す最後の機会となるからです。

1年の総決算、学園最強を目指して熱も入るというものです。

ふぅ、疲れた。

「がんばるね」

「一方的にやられています」

「がんばっている。がんばっている」

赤毛のお姉さんが頭を撫でてくれます。

「濡れますよ」

「もう、濡れている」

よく見れば、赤毛のお姉さんを汗びっしょりです。

彼女の剣は細見の剣です。

男子と比べて体力がない女子は少しでもスピードを残す為に細見の剣を使う人が多いようです。

当然、細見の剣で正面から受けると剣が折れてしまうので剣を合わせないように戦います。

俺はショートソードで上級生の攻撃を躱しています。

体格の違う上級生に剣を合わせて戦っているスタイルが異常に映ったのでしょう。

別に剣を合わせている訳ではなりません。

ベンさん直伝の逸らしを実行しているだけです。

剣の横を叩いて力のベクトルを逸らす。

これを実行するには相手の癖を見抜くことが重要だそうです。

本来は魔物対策なんですね。

無くて七癖。

爪先をステップするように前に出すと全体重を乗せて打ってくるとか、狙っている場所に視線を向けるとか、剣を振り降ろすと上体がのけ反るように一度下がろうとする癖があるとか、相手の癖を見抜いて後の先を取るようにしていているのです。

防具の重みで動きが遅く、ショートソードに鋭さもないので成功していませんが、それで体格の小さい俺が上級生と互角に戦っているのはベンさんのお蔭です。

ベンさん直伝の逸らしを教えてあげました。

いやぁ、女の子の連帯感は凄いですね。

剣術を習うのは男子が圧倒的に多く、女子はやはり少ない。

それでも女騎士に憧れる女の子が1割ほどいるのです。

男子に劣るという意味で女子の団結力は強く。

剣術の練習がある午後はお昼を使ってテーブルを囲んで作戦会議が行われます。

まぁ、ほとんど俺が他の生徒の癖を押しているんだけどね。

「ありがとう。ちょっと自信がでてきた」

細見の剣でも剣の横を叩いて軌道を逸らせば、互角に戦えます。

赤毛のお姉さんをはじめ、上位に顔を出してきました。

他の女子の実力も軒並み上がりました。

いい事です。

その分、俺は下位に下がりましたけどね。


今日も剣術の授業がある日です。

いつものように食堂に向かいます。

学園の楽しみは、何と言っても美味しいものをタダでたらふく食べられることです。

「こっち、こっち」

食堂に入ると剣術を選択しているお姉さん達が俺を呼びます。

すでに今日のお薦めがテーブルにずらりと並びます。

小皿にとってみんなでシェアするそうです。

料理を小皿の取ってくれます。

スプーンであーんは恥ずかしいですよ。

お礼をされるようなことはしせいません。

「いっしょにしてもよろしいかしら」

「どうぞ」

声を掛けてきたのがお茶会のお姉さんです。

こっちも先日のお礼だそうです。

何もしていませんよ。

ただ、お茶会に伯爵を呼んだだけです。

伯爵に招待状を出したのもお姉さん。

頼んだのもお姉さん。

船を手配もお姉さん、冒険ギルドと交渉したのもお姉さん、財務局に手を回して冬の予算の予備費を回して貰う算段を付けたのもお姉さん。

しかし、伯爵のGOサインがないと、いつ横やりが入るか判りません。

伯爵の暗黙の了解は必要なのです。

俺は例の要件を伯爵に伝えただけであり、お願いは何もしていません。

公式しているリスト、実は、さすがに拙いと思う公開できないブラックリストがあると伯爵の連れに伝えたのです。そのブラックリストをご覧になって受け取るか、消去するかを決めて欲しい。

偶々、取引場所がお茶会だっただけですよ。

お姉さん、がんばってOK貰いました。

がんばったのはお姉さんです。

という訳で10人テーブルに6人のお姉さんを侍らせて、おいしいお食事です。

見ている人がどう思っているかなんて考えもしませんでした。

「くそぉ、見せ付けやがって」

「「「「絶対に殺す」」」」

知りませんでした。

あ~、死ぬ。

今日も先輩方の武術大会に掛ける熱意が凄すぎます。

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