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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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10.マリアが来た。(改)

もうすぐ4歳です。


辛い事を多かったですが、姉さんの恥辱の数々に目を瞑れば、もしかすると3歳は至福の時だったかもしれません。


後になって、そう思うモノなのです。


 ◇◇◇


辺りが明るくなる頃、俺は起き上がって執筆活動にいそしみます。

朝は誰にも邪魔されないので、実にスムーズです。


辺りが騒がしくなると、裏に回って薪割りです。


肉体的なハンデを取り戻す為に準備運動、ランニング、腕立て、懸垂、腹筋などを欠かす訳にもいきません。


写本『マリかの』の増刷は続き、印税で生活も楽になっています。


親父より稼ぐ3歳児って、どうなんだよ?


魔力も順調に伸びてファイラー換算の60発くらいで、普通の魔法士よりマシになってきました。


火の魔法『ファイラーボール』なら6発のみ、戦闘で役に立ちません。


この世界の魔法士はファイラーボール2~3発でも魔法士として活躍しているので、魔法士よりはマシっていう程度です。


この世界では、魔法士が最下位で、魔術士、魔導士、魔法師、魔術師、魔導師とクラス分けされているみたいです。


毎月に回ってくる魔術士を魔術師と勘違いしていたようです。


実にややこしい。


「だからね。アル君、師が付くのは師匠の略であって、魔法協会に登録される事になるのよ」

「実力ではないのですか」

「実力もあるわ。でも、実績が大きくものを言うのよ」


魔法使いのクラスは実力や魔法力で決められるモノではないので、あくまで目安だそうです。


「それより、早く『マリかの』を書き上げましょう。がんばれ!」

「もう少しですから待って下さい」

「もう少しだからがんばりましょう」


あの長かった『マリかの』も、遂に10巻目で完成です。


これで完結です。


本当に図書館に寄贈されているらしく、増刷が続いているので収入面で不満はありません。『マリかの』の写本士は20人になり、一人が3冊ずつ制作し続けるので月に安定的に小金貨18枚を稼いでくれています。


しかし、他にめぼしい作品は見つかっていません。


司馬さんの時代物は有名ですが受けが悪いのです。

氷さんの平安ファンタジーは数冊だけ単行本されました。

殺伐とした時代劇よりのんびりとした作品が好まれるようです。


まぁ、リアルに殺伐とした世界ですからね。


騎士学園恋愛モノは『マリかの』以外は読んでいないんですね。

アニメ化されていなければ、読んでなかったでしょう。


孫子の兵法とかは歴史物扱いで銀貨1枚の収入になりますが、単行本になっても利益は入りません。


執筆活動が終わると、文官さんは嬉しそうに原稿を持って家に帰ってゆくのです。


マリかの愛に脱帽します。


 ◇◇◇


魔力循環から肉体強化へ、さらに鍋の蓋くらいの防御壁を作る練習をします。

防御壁は一瞬で右へ、左へと次々と発現させて魔力制御の練習と精度の向上を目指します。


賢者が最も得意とした魔法の1つなのです。


同じ防御壁でも属性が変わると性質も変わります。


無属性の防御壁は薄い壁のように盾そのものです。

風の防御壁は風が舞って横に逸らす感じになり、

闇の防御壁は物体の勢いを失ってぽとりと落ちます。


無属性が一番使い易いですが、仲間が多い場合などは範囲を広げて風の防御壁の方が便利そうです。


一方、街中では闇の防御壁が被害を出さないで済みそうです。


疲れてきました。


この賢者の知識を欲しがる魔法使いも多そうですが、さすがに賢者の知識を見知らぬ人に預ける気になりません。


この練習している浮遊盾には続きがあり、究極の魔法とは言いませんが接近戦のスペシャライズドの『魔装』へと辿りつくのです。


魔装とは、読んで字の如く魔力を全身に覆って戦うスタイルの1つです。


全属性を持つ防御壁を全身に身に纏い、腕の先に作り出した剣のような鋭い刃は魔人の皮膚すら引き裂く、究極の接近魔法の1つです。


もちろん、俺がそんな魔法が使える訳もありません。


魔力が根本的に足りません。


原理的は拳より小さい防御壁を全身に展開するのと同じなのです。


無属性の小さい防御壁を全身に展開することで『魔装もどき』が完成するのです。


この魔法石、やっぱチートだわ!


羊皮紙のスクロールに魔法陣を書くと一度限りで使えなくなります。

特別な魔物皮を特殊加工して作ったスクロールでも何度か同じ魔法を使用するとボロボロになってしまいます。


スクロールを大量に抱えて旅に出るのは馬鹿者です。


使えません。


魔装ですが、全属性を合わせた魔装の剣は魔王の絶対防御の盾を粉砕しました。


無尽蔵の魔力を持った賢者でも、完全『魔装』で戦える時間は3分間、ウル〇ラマンのカラータイマーと同じです。


無属性の魔装剣でもオリハルコンを引き裂きます。


防御に向かない火の盾を剣に集めた部分魔装で作った剣「炎の魔装剣」として使った事もあるそうです。

何でも青い光を放つ「炎の魔装剣」を聖剣と勘違いした勇者が「賢者が何故、聖剣を使える」と喧嘩になったと、勇者への愚痴を残しているのです。


炎が赤いと言うのは、勘違いのです。


温度が上がると、青白く、最終的に青に変わるのです。


いくら説明しても納得しなかったと、グダグダに勇者をコケにしています。


ともかく、無尽蔵の魔力を持つ賢者でも3分で消耗する燃費の悪さ。


俺の魔力は、雀の涙。


無属性の魔法『魔装もどき』でも、0.1秒も持たないで魔力が枯渇します。


おやすみなさい!


 ◇◇◇


そう言えば、2歳から3歳なって不便なことが1つありましたね。


幼児の頃なら魔力枯渇で意識を失っても2~3時間もすると腹が減って目を覚めてくれます。


しかし、3歳になると気を失ったまま眠ってしまうのです。


4時間から5時間、下手をすると8時間くらい眠っているということがありました。


疲労に応じて眠る深さが変わってくるのです。


という訳で、3時以降にお昼寝で枯渇させるのが厳禁なのです。


目が覚めたらもう夜中、ご飯抜きとか嫌ですよ。


枯渇させるならお昼を食べた後ですね。


教会では下兄がお昼を食べてから1時間くらい教会の奉仕活動をしてから家に帰ってきます。


4月になると6歳になった上兄は親父の手伝いをするようになり、遊び相手がいなくなった分が俺に回って来たのです。


教会から帰ってきた下兄がちゃんばらの相手に俺を起こしてくれてくれるのです。


木刀はあぶないのでスポンジ棒を制作しました。


木も菜種と同じく、潰すと土魔法が使えます。


木を風の魔法で小さく潰して、その木の破片を一旦溶かして樹脂に戻します。


樹脂を取り込むように土魔法で中空の棒を作成して再凝固すると、あら不思議、人工のコルク棒が完成するのです。


最後に豚の腸を被せて強度を増します。


中々に苦労しました。


安全なので姉も参加します。


下兄も姉さんも剣道二段の俺の相手になりません。


ふ、ふ、ふ、武の才能がないのは自覚していますが、大学時代に色々と試しました。


剣道、他にも大東流柔術、中国拳法と居合抜きの道場の門も叩いてみました。


よくもあれだけ体を虐め抜けたと呆れます。


その甲斐もあって、体が動くようになれば、それなりに動けるようになりました。


欠点は体力です。


そう、二人を相手にするには体力足りません。

意地になった姉さんは自分が勝つまで、何度も挑戦するのです。


参った!


「勝った! 勝った! アル弱い」

「姉さんは強いです」

「当然」

「アル、今度は俺と」

「今日は終わり」

「そんなこと言わずに、俺にも勝たせろ」


そもそも肉体強化が使えないと、基礎能力で姉さんに勝てません。


魔力なしで下兄と?

嫌ですよ。

何故か、下兄に負けるのは嫌なんですね。


不満顔の下兄を連れて帰還です。


「どこ行っていたのですか。待っていました」


今日は文官さんがやって来る日ではありませんよね。


「また、上司に怒られたとか」

「毎日、愚痴を言いに来ているみたいな事を言わないで下さい。週に2回しか来てません」


最近は毎日のように原稿を取りにくるのは止めています。

定時が終わる頃になると、そわそわして失敗が多くなるので上司に叱られたんですよ。

で、原稿を取りに来るのは週に1回と命令されたのです。


真夜中まで愚痴を聞かされました。


まぁ、それ以外でも文官さん、気が向くと友達のように気軽くやってきます。


下兄と姉がおみやげを貰って喜んで中に入って行きます。


馴れたものです。


「完成していますよね。もう完成していますよね」


あぁ、『マリかの』の完成を逆算して訪れたみたいですね!


「はい、完成しました」

「「ホントですか!」」


誰?


文官さんの後ろで声を揃える女性が一人います。


「紹介します。天上の人、お目に掛かるのも勿体ない。私が大尊敬するこの方は……」

「そんなに持ち上げないで下さい。もう、お友達でしょう」

「は、は、は、そうでした」


下らん。家でも入るか。


「ちょっと待って下さい。どこに行くのですか」

「家ですが」

「紹介させて下さい」

「さっさとして下さい」

「何をおっしゃいますか、この方がマリア様です。畏れ多くもマリア様なのです」


はあぁ?


時代劇の見過ぎじゃないですか、そもそもこの世界に時代劇なんてありませんけど、聖母マリア様ではないマリア様って誰ですか。


あっ!


俺はマリアというペンネームを持つ作家には足を向けて寝られないのです。


「マリかの好きの?」

「はい、そのマリア様です」


本人らしい。

ここ時代劇らしく「は、は」とするべきか悩んだが、普通に腰を低くして感謝の言葉を述べた。


「マリアさんのお蔭で、沢山の『マリかの』が売れています。ありがとうございます」

「いいえ、私の方こそ感謝です。あの憧れの『マリかの』を読めるなんて信じられないです」


いい人でした。


書き上がった原稿を食い入るように二人が読み続けます。


読み終わっても放心状態が続いたのでしばらく放置しています。


母さん達は遠慮して店の奥で食事を取ってくれます。


出した食事も冷え切って、まだ妄想モードから帰ってくる気配もなく、夜の帳が下りる頃にやっと戻ってきました。


「取りあえず、飯を暖め直しますね」


お腹を空かした二人、食事が終わるまで待ちます。


マリアさんはお礼の代わりに『マリかの』の話を聞きたいというので知る限りのことを話します。


この『マリかの』の作者はいくつかの作品を発表しています。

その内、後二作品ほどを書くことができます。


「是非、書いて下さい。依頼発注します」


依頼発注というのは貴族がよくやる発注であり、完成の出来に関係なく、条件を満たしていれば、報奨金が支払われる依頼の事です。


金貨5枚。


小金貨ではなく、金貨です。(金貨1枚で小金貨30枚です)


『マリかの』の後日談の『マリして』は全5巻。

まったく別ジャンルの『のりのり』は全8巻。


13巻で金貨65枚の大仕事を依頼されました。


マリアさん曰く、自分の作品のあとがきで紹介すると約束してくれましたが、『マリかの』のように売れるかはまったく判らないといいます。


この2作品『マリして』、『のりのり』はまったく無名の作品だからです。


でも、マリアさんは絶対に読みたいし、俺に書いて欲しいと願っています。


そりゃ、金貨5枚なら売れるか売れないかに関係なく書きますよ。


マリアさん、実に好奇心旺盛で、他に書ける作品を聞いてきます。


異世界の人気ノベラーの名称を聞き出せたのは大きいですね。


人気小説のオリジナル、売れるかも?


最後に、それと俺が書ける作品の一覧表を後で渡すことになりました。


第1弾の50作品一覧表、簡単な解説を付けて送ります。


文官さんが仲介をやってくれるそうです。


こうして、マリアさんは帰って行きました。


 ◇◇◇


後日、

マリアさんに送ったハズの一覧表が「花丸3重です」と飛び込んできます。


いつかのデジャブーです。


第1弾の一覧表は20枚くらいでしたよね。


文官さん、また勝手に写して審議会に提出したそうです。


本来3ヶ月掛かる審査が1ヶ月で花丸3重です。


そりゃ、審査する中身ないですからね。


審議官さん、さっそく依頼発注を出してきましたよ。


依頼料は普通の料金で小金貨5枚です。


もちろん、写本の料金は別途に貰えます。


しかも、この依頼一覧表を各市の受付に置いてくれるそうです。


依頼を受けてから書く方が効率的です。


第2弾、第3弾の一覧表も公開してくれると言うのです。


実にありがたい。


無駄弾を撃たないですむので収入も倍以上に伸びそうです。


これから適当に執筆するだけで一生食えていけます。


ラッキー!


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



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