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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第一部.幼少チートで優雅な(?)ウハウハ編、どこがウハウハなのですか?
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9.魔法の実験、レールガン擬きは封印です。(改)

やっと3歳です。


苦労の末に排泄が自分でできるようになりました。


あの気がつけば、ぐにゃというおしりの感覚は忘れられません。


手が届かないので母さんに拭いて貰う恥辱の日々に終わりを告げ、人間としての1歩を踏み出しましたのです。


まだ、おねしょが課題です。


水分を控えるとか、夢見ですばやく起きるとか、もちろん、魔力枯渇で気絶して放尿するという失態は事態を避ける為に寝る前にトイレにゆきます。


それでも!


ヤバぃ、そう思って起き上がっても放尿は止まらず、偉大な地図を作製することになるのです。


みんなが寝静まっている深夜に起き出して、地図を持って裏の洗い場でシーツを洗い、物干しに浮遊魔法を使って巧くひっかけます。


濡れた布団はファイラーで乾燥です。


火の魔法で燃えるのではないか?


ふ、ふ、ふ、現代知識を持っている俺は火の本質を知っています。


つまり、発熱温度による発火点を超えない限り、燃えることはないのです。


分子を超振動で高速運動する分には発火しない。


名付けて『魔法によるレンジ乾燥』です。


乾燥後の部屋はおしっこ臭くなるので窓を開けて、風の魔法で空気を入れ替えて換気も完了すれば完璧です。


魔力枯渇でベッドに倒れて、もう一度お休みなさい。


みんな、秘密だよ。


 ◇◇◇


魔術士から渡された魔法具は詠唱できないと使えない不良品だったので苦労しました。


えっ、不良品じゃない。


舌足らずの俺が悪い。


うるさいよ。


この魔法石、魔法を流すだけで魔法陣が使えるのですから超レアなアイテムです。


魔術士さん曰く、自分で魔法陣を書けると一人前だそうです。


この魔法石に魔法を流すと魔法陣が展開されますが、横方向から流すと魔法陣が消えてゆきます。横と縦から針に糸を通す感じで魔力流すと魔力点が構築され、それを繋げてゆくと魔法陣を書くことがきます。


ミリ単位以下に細かい作業は大変な技術がいるのですが、事、魔力コントロールに関しては自信があったのです。


賢者は、イメージと魔力コントロールが魔法発動の命だと書かれています。


俺の場合はやんごとない事情で魔力コントロールが磨かれたのです。


そうです。


魔力が少ないから魔法循環と魔力コントロールの練習しかできなかったんだよ。


糞ぉ!


 ◇◇◇


蛍の灯のような魔力でも、1日6回のマインドダウンの代償に2割ほどの増加がみられ、1年も続けると、381924兆倍に膨れ上がります。


凄いだろう!


2歳になった時点でファイラー10発程度のささやかな魔力量です。


それでも月に1割ほどの成長で増えましたから、3歳になった今はファイラー25発分を保有しています。


賢者はほぼ無限の魔力を持っていましたから、それに比べてささやかな魔力です。


とほほほ。


 ◇◇◇


魔力循環と魔法コントロールから手に入る最初の恩恵が肉体強化であり、『細胞ドーピング』とでも言うべき力が手に入ります。


正式には『魔力による核(細胞膜)に働きかける核(細胞)強化プロセス』といい、短縮して『魔力強化』といいます。


どうでもいいですね!


魔力の種類は、光、闇、火、水、風、土とあり、人によって精霊との相性で使える魔法の数が決まってきます。


もちろん、俺は全属性持ちです。


えっへん!


属性がなくても効率が悪くなるだけでまったく使えない訳ではありません。


筆談と翻訳機付き電算機の違い程度です。


桁違いの能力差ですが、努力によって逆転する事もあると賢者は書き残しています。


要するに、電卓より暗算の方が速い人がいるって事でしょう。




この世界の魔法は賢者の世界とはまったく別の進化を遂げています。


具体的に言うと精霊に呼びかける魔力発現が発展しています。


つまり、『詠唱魔法』です。


詠唱を正しく発音できれば、魔力を持っている人なら必ず魔法が発現するのです。


魔力は詠唱の言葉に乗せるだけです。

大規模魔法になるほど魔力量の消費が抑えられ、上級魔法が発達してそうです。

魔術士から貰った初級の本には載っていないので、具体的には判りませんが、おそらく間違いないでしょう。


賢者の魔法ではスピードを優先されています。

イメージに魔力を乗せて発動します。

しかし、大きな魔法になるほど魔法効率が悪くなるのです。


要するに、初級と中級魔法が発達しています。


賢者の魔法は基本的に無詠唱の速射魔法が主流であり、魔法陣を戦闘中に書くというかなり無茶な事をやっています。


しかし、この世界には魔法石による魔法具があります。


魔法石があれば、様々な魔法が使い放題です。


ちょっとしたチートですよ。


このチートを使って、中二病のような夢の兵器を再現してみようと思ったのです。


 ◇◇◇


【超電磁レールガン】


ぴ~ん!


指で弾いた銀貨が空を舞い、弧を描いて落ちてきた所で電磁レールの上を滑らせて音速を超える撃ち出す必殺技です。


ビジュワル的に超カッコいい!


指で弾かれた銀貨が弧を描いて、ゆっくりと落ちてゆきます。


リニアプレートを素通りして地面のぽたりと落ちました。


できるか?<怒>


数秒間で電磁レールなんて作れませんよ。


リニアの基本は、正方向の電磁場と逆方向の電磁場を交互に発生させて進行速度を得る訳です。


電磁極を反転させるタイミングが命なのですが、スーパーコンピュータ並の演算を済ませ、コンマ0.0001秒のタイミングでコントロールする。


いくら平行演算を駆使しても無理です。


コインをズバァんと撃ち出す。


ビジュアル的にやって見たかったんだよ。


くそぉ!<怒>


失敗です。


 ◇◇◇


【荷電子によるレールガン】


原理が簡単、電子を同一方向に走らせて、銀貨をその上で滑らせて加速します。


要するに、電子で銀貨を押し出して加速する方向です。


確かに銀貨は滑って動き出します。


しかし、新幹線並みに加速するのにどんだけ距離がいるの?


途中で魔力が尽きてしまいました。


使えねぇ!


 ◇◇◇


【重力カタパルトによるレールガン】


原理は簡単です。


闇系の重力魔法の超重力で加速します。


闇の盾という魔法があり、超重力で向かってくる物質の慣性をゼロにする魔法を逆に使った魔法です。


放り投げた銀貨が、重力カタパルトの触れた瞬間です。


ずずずずぅ~ぼん!


弧を描いて落ちてきた銀貨が地面に加速されて突き刺さります。


水平に加速された訳ですが、垂直の加速が消えた訳じゃないので水平に打ち出されず、下方向に飛んで行って地面を抉った訳です。


コントロールがめちゃ難しいのです。


さらに槍のような長い物は最悪です。


カタパルトを通過した部分は加速し、通過していない部分がひっぱられて妙な応力が発生してまっすぐに飛びません。


これ?


人間が通ろうとすると、手足が引き千切れるような事が起こりそうです。


危なくて通れません。


そう思った瞬間、閃いたのです。


 ◇◇◇


【加速陣を使ったレールガン】


もう、電磁を使っていないのでレールガンと言えません。


加速陣というのは、その名の通り、通過した速度が垂直方向に2倍になる魔法陣です。


基本は重力カタパルトを同じですが、異世界物体曲線という魔法式を組み込むことで、人間が通過しても問題ないように作っているのです。


異世界物体曲線というのは、『ゲート』の魔法とも呼ばれ、世界と世界を繋ぐ魔法なので世界を跳ぶ魔法なのです。


因みに、賢者は『ゲート』の魔法を完成できていません。

異空間に収納魔法の研究中であり、完成には数十年は掛かるだろうと韜晦したそうです。

魔王を討伐した後、ゆっくり研究するつもりだったようです。


その副産物が『異世界物体曲線魔法』です。

この魔法で、ある問題を解決したのです。


見た目は、最後の足が通過した時点で加速します。


そうなのです。


見た目は飛び込んだ物体の曲面に重力カタパルトが張り付くように変形するようになるのです。


加速陣を何枚通過しても人体に影響しない。


しかも加速陣に対して垂直方向のみに加速してくれるのです。


超便利な魔法です。


そう、ある問題!


馬鹿な勇者は『瞬動』、『縮地』とか使って一瞬で加速します。

そんな勇者を追う為に、賢者が叡智を集めた作った魔法が『加速陣』です。


今の俺では完全に解読できません。


解読できませんが、理論が何となく判っているので、闇の精霊が勝手に翻訳して加速陣の魔法は使えます。


しかし、人間一人を通す魔法陣は大量の魔力を使うので、今の俺には無理です。


ですが、野球のボールくらいが通過できる小さな魔法陣なら浮遊盾と同じ程度の魔力量で形成できます。


取りあえず、2陣で実験します。


そっと石を加速陣に放り込みます。


すば~ん。


菜の花畑の上を石が飛び越えます。


実験は成功です。


では、実用実験に移りましょう。


 ◇◇◇


翌日、家をこっそり抜け出して、道路を渡って倉庫が立ち並ぶ倉庫区に移動します。


その倉庫は空の倉庫がほとんであり、城壁に近い場所には誰も近寄ってきません。


その倉庫と倉庫の間が実験場です。


建物の路地の向こうには林があり、林の先がゴミ集積所になっています。


ゴミ集積所の向こうに城壁があり、林からこっちは完全に死角になるのです。


俺はコインを指で弾き、ほぼ着地点当たりに加速陣を1cm間隔に15陣展開します。


レールガンのような高度な演算も必要ない、加速器のような大量の魔力も必要ない。


一瞬で10陣が展開でき、ちょっと無理をすれば、19、20陣でも可能です。

時間を掛ければ、25、30、40陣でもできるハズです。


できるよね?


たぶん。


小さな加速陣は浮遊盾と同じで、ファイラーの半分以下で発動できます。


ゆっくり落ちてきた銀貨が、腕の前に並べた加速陣に触れた瞬間、閃光が走ります。


落下してくる銀貨は直進方向に対して秒速20cmで移動しており、桜の花びらを落ちる速度より速く、歩くより遅い速度です。


・歩く速度は時速4km、秒速で110cmです。

・秒速5cmが桜の落ちる速度です。


最初の加速陣を通過すると、時速に換算すると、秒速40cmへ加速し、時速に換算すると1.44kmです。


0陣;時速0.72km、

1陣;加速1.44km、

2陣;加速2.88km、

3陣;加速5.76km、

4陣;加速11.52km、

5陣;加速23.04km、

6陣;加速46.08km、

7陣;加速92.16km、

8陣;加速184.32km、

9陣;加速368.64km、

10陣;加速737.28km、

11陣;加速1474.56km、

12陣;加速2949.12km、

13陣;加速5898.45km、

14陣;加速11796.48km、

15陣;加速23592.96km。


次々と加速して15陣を通過した時、音速の秒速340.296mを20倍近くの秒速6553.6m、時速23592.96kmで発射されます。


有名な357マグナムでも442m/s(1591.2km/h)です。


ライフル弾の初速が1600m/sが限界と言われますから限界突破しましたよ。


白い閃光が林を通過して、城壁に突き刺さったのです。


どかん!


えっ?


ちょっとした小型のバズーカー砲です。


音速を超えた銀貨は衝撃波を作りながら直進し、城壁にぶつかって城壁の中で液状化して、その衝撃エネルギーで壁に伝え、さらに、液状化から気化した一部が体積を膨張させて城壁内部から爆散したのではないでしょうか?


壁の一部が崩れています。


煉瓦が吹き飛ばれてむき出しの土壁が露わになっています。


『敵襲~! 敵襲~! 敵襲~!』


ヤバぃ!


戦略的撤退。


城壁を守っている領兵が大きな音にびっくりしたようすで緊急呼集の声を上げます。


ヤバい、ヤバい、ヤバい!


俺は慌ててその場を走り去ります。


15陣はやり過ぎだったみたいで、3分の一以下の銅貨にしておけばよかったよ。


魔法陣を30陣まで増やすと光速に限りなく近づけるのかな?


試しませんよ。


誰もいないのを確認して、倉庫区から居住区に戻ってきました。


「あんた、何やっての?」

「あねぇさん」


姉さんと下兄です。


「何やっているの」

「冒険」

「丁度いい。相手しろ!」


上兄に負けて悔しかったのか、下兄が俺を相手に選びます。


ヨタヨタ歩きの俺相手に何を言っているんですか?


路地に移動して対峙する俺と下兄です。


肉体強化!


木の棒で襲ってくる下兄を軽く避けて、棒で足を払います。


首元に棒を突きつけて!


「おれの勝ち」


下兄、悔しがります。


ふ、ふ、ふ、悔しかろう。


あっ、急に眠気が襲ってきます。

魔力枯渇です。


ばたん。


気が付くとベッドの上でした。

兄さんか姉さんか知らないけどありがとう。


 ◇◇◇


幸い、壁が崩れた事件は大問題にならなかったみたいです。


『原因不明の爆発』


井戸端会議で話題に上がるくらいです。


壁が脆くなっているかもしれないので近づかないようにというお達しが届いたくらいです。


レールガン擬きは封印です。

文官さんが来て言いました。


「第19区の居住区の建設が中止だわ」

「どうして」

「壁の修繕が先になったのよ」


300年も経って城壁も脆くなっているかもしれないということで、城壁の内・外に新しい煉瓦積み上げてゆく工事が来月から始まるそうです。


工期は3年間、しばらくは他の普請はお休みになるそうです。


「壁の近くで遊んではいけませんよ。脆くなっているかもしれませんから」

「そ、そう、ですね」


たらり。<汗>


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



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