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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第三部.児童チートで優雅な(?)陰謀編、なにもしないうちから恨み買っています。
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40. 帰路。

窓から退出すると、公道を堂々と歩いて帰ります。


第3王子がフードを取っているので、敬礼する巡回の兵士はいても止める者はいません。

門番から王子が帰宅したと聞いた近衛の師団長は顔を真っ赤に染めます。


易々と宰相の部屋に潜入を許したかたです。


師団長は1ヶ月間の再教育を命じ、昼は血ヘドを吐き、夜は血のしょうべんが出るほどの猛特訓と近衛と城の衛兵らに課したのです。


そんな話が俺の耳に届く事はありません。


 ◇◇◇


「君も転生者だよね。国の転生政策をどう思う」

「援助額が中途半端だから、もう少し増やせ」

「ふ、ふ、ふ、そういう意味じゃないよ」

「まずは、そこからでしょう」


第3王子の言いたい事は判る。

本来、忘れるハズの記憶を固定です。

これは世界のシステムに抗うような行為でもある。

前世の記憶は辛いし、重たい。

心が壊れる人もいると思う。

決して、いい政策だとは思えない。

でも、前世の記憶を持って生まれる子供は実際にいる。

つまり、絶対な悪ではない。


人が死んで無垢になると、天空を彷徨って長い時間を過ごすことになる。

心がもう一度がんばる為に必要な事なのだ。


鬱病になった人に『がんばりましょう』と言っても逆効果で、ぼっと無為な時間を過ごす事が治療になったりする。

心をからっぽにして何もしないことで元気になれる。

それが自然な事なのだ。


死後とは、その極端な世界みたいなものなのかもしれない。

人生の疲れを癒す為に存在しており、疲れが癒えた者から帰還する。


そう考えると、

前世の記憶を持つ人は、それをしなくてもいい心の余裕を持っているのだと思う。

それには色々な原因がある。

この世に残した未練かもしれないし、希望かもしれない。

いずれにしろ、心に受け止める余裕がある訳だ。


「転生者は心が強いのでしょうかね」

「そんな事はない。100人に1人は廃人になる事がある」


おい、はじめて聞いたぞ。

あぶない技術じゃないか!


「そうです。ですから、私は転生者の記憶を留めるのは、異世界人のみに狭めるべきはないかと思うのです」

「異世界人はいいのか?」

「良いとは申しませんが、そこから得られる知識は貴重です」

「その割に放出しませんね。技術はそれを支える基礎技術がないと役に立ちませんよ」

「耳が痛い話です」


実際、俺もすべてを公開するのには反対です。

核爆弾の技術など、材料さえ発見されれば、この世界の方が実用化は簡単な気がします。

少なくとも俺はできる気がする。


「この世界ではウランも石炭も発見されていません」

「それが不思議なんですよね。木は普通にある。それを凝縮した石炭がなぜ発見されないのか?」

「私に聞かれても困ります。発見されていたなら、蒸気機関車が走っているでしょう。飛行船を公開していますから、それを拒む理由はありません。しかし、石炭がない。薪を代用すれば、森が壊滅しますから許可できません」

「それには同感です」


石炭の代わりに魔石が代用されている。

しかし、魔石は高価でとても流通させるだけの絶対量が足りない。

どうにもならんという事か!


まぁ、馬車の方がエコではですね。


 ◇◇◇


「アル、正座」


王子と別れて屋敷に帰ってくると、怖い顔をして姉さんがそう言った。

何でも、小公女さんが夜中に俺に部屋に行こうしたのを姉さんが気づき、それを阻止したけど、結局、一緒に俺の横に添い寝することで決着した。


それぇ、駄目だよ。

今度から扉に罠を仕掛けておきましょう。


二人で俺の部屋に来たら、俺がいないのでみんなを起こして待っていた訳ですか。


「さぁ、何をやっていたのか。白状しなさい」


別に秘密にするつもりはありませんよ。

明日の朝でもゆっくりと…………。


「今、言いなさい」


まったく、姉さんは強引なんだからな。


俺は包み隠さず、王子とのやり取りと白状します。

お白洲じゃあるまいし、正座を解除して下さい。


「怪盗、黒猫ね」

「王子も転生者でもと第1王子ね」

「でも…………」

「ですね…………」

「やっぱり…………」

「「「「「「「ズルい」」」」」」


何が?

王子の何がズルいの?


「わけないでしょう」

「そうです。王子じゃないです」

「アナマちゃんを」


黒猫のどこがズルいの?


「夜のデートは羨ましいです」

「私もデートしたい」

「お姫さまだっこに空中遊覧でしょう」

「「「「「「うらやまし~い」」」」」」


何言っているの?

さっきまでのシリアスが大無しでしょう。


 ◇◇◇


「アル、もっと速く」

「無茶言わないで下さい」


姉さんをダッコして、浮遊盾を足場に木々の上を跳んで移動し、壁まで行った所で斜角80度で『人間大砲』で上空に昇り、後は風をコントロールして、屋敷のテラスに戻る訳です。

「きゃははは、風の盾を外した方が楽しそう!」

「死にますよ」


音速近い空気の壁を生身で受ける気はないです。

滑空しながら屋敷のテラスの明かりを目印に降りてゆきました。


「きゃははは、楽しかった」

「は~い、次はわたし」


姉さんの次は小公女さん、じゃんけんで順番を決め、赤毛のお姉さん、見習い神官ちゃん、お茶会のお姉さん、最後は姉友ちゃんです。


しかも2回ずつです。


何で2回かって?


黒猫と2回も真夜中のデートをしたからですって!


理不尽です。


2回目の姉友ちゃんで朝日が昇って、空中でご来光を拝むことになりました。


「綺麗」

「俺は眠い」

「ごめんね」

「これが最後だしね」


姉さん、3度目を希望しましたが断固拒否です。

実際、もう1周するだけの魔力が残っていません。


また、今度でいいやとか言いましたよ。


 ◇◇◇


徹夜のみんな、仲良く自主不登校です。

お茶会のお姉さんだけは、行政府の企画課に行く仕事が残っているので出掛けて行きました。

今日は昼まで惰眠を貪ります。


王子の脅しがどこまで聞いたかは判りませんが、別れ際に宰相が「兄君に従います」とか言っていたから努力してくれそうです。


こうして、夏休みから始まった事件は一応の解決をした訳です。


それにしても、俺もこの半年でチートになったモノです。


最近の著しい成長を成長期と思っていたら、人間の成長限界を突破しているなんて思いませんよ。


俺はスキルなしの駄目々々人間だったから、誰より早く成長限界に達していたって何ですか?


確かに、去年の夏から秋に掛けて成長が止まってきたような気がしていましたけどね。


魔力の成長限界に達していたなんて思いません。


思いもしませんでした。


俺が瞬動擬きを何度体得して、元々のスキルがないので取得できない。

運動しかり、魔法しかり、これもスキルは体得できないのです。


なぜなら、俺はスキル『ゼロ』の凡人だからです。


姉友ちゃんや見習い神官ちゃんが、いずれ『高速演算』と『平行思考』のスキルを取ったら、俺は最大10本しか発射できない魔法も120本とか使えるようになるんでしょうかね?


教えるのを止めようかな?


まぁ、そんな訳にいかないですよね。


結局、勇者の闘いは『姉さん』に助けられ?

裁判では、教皇代理を『小公女さん』の権威と『お茶会のお姉さん』の機転で助けられ?

教皇が放った神槍は『見習い神官ちゃん』がいたので神様に助けられ?


あ…………あれぇ?

俺、活躍してなくない。


チート化しているのに、全然駄目じゃん。


結局、寝付くまで自分で自分の駄目出しで落ち込む俺でした。


今度は、活躍するぞ。


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



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