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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第三部.児童チートで優雅な(?)陰謀編、なにもしないうちから恨み買っています。
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8.こんちくしょう。

母さんの料理は最高だ。

どんな調味料より母さんの笑顔です。

唯一、悔しいのはお腹が少し大きくなっていることです。


こんちくしょう!


親父、殺す。

がるるるぅ、殺す気迫で睨みつけます。

くそぉ、見せ付けやがって。

俺の為にがんばって、何だよ。それ?


がんばている俺の為に弟か、妹をプレゼントしたい。


そりゃ、弟か、妹ができるのは嬉しいですよ。

納得いかん。


 ◇◇◇


ところで?

姉さんはともかく、姉友ちゃんもずっと一緒だよね。

ずっと腕を持って離してくれません。


「なんか、文句ある」

「ありません」

「駄目ぇ、でしょうか」


いえ、いえ、悪いとは申しません。

じっと見る小公女さんの視線が痛いくらいです。

小公女さん、泊まる気でいます。

王都で出会った彼女さんも泊まるつもりで寝袋を持参しています。


「私のことはおかまいなく。置物とでも思って下さい」


母さんは上機嫌です。

可愛いお嫁さんが沢山になったと喜んでいます。

そう言えば、上兄と姉さんの妹分が付き合うようになったそうです。

俺を見送りにいった日に意気投合したそうです。


上兄ももうすぐ10歳で仮成人です。

妹分さんはつい先日に15歳になって成人です。

妹分さんは何かと積極的な人でした。

姐さん女房になるんでしょうかね?


母さん、もうこの話は止めましょう。

結婚式はいつがいいと思うとか聞かないで下さい。

他の子が誘発しちゃうでしょう。


まだ、精通もしていない子供に話す話題じゃないですよ。


 ◇◇◇


領主伯爵様が主催の歓迎の宴です。

内側の扉が開き、7女ちゃんと小公女さんをエスコートして俺が登場します。

後にはメイド服をドレス調にコーディネートした少女がずらりと続きます。

お茶会のお姉さん、赤毛のお姉さん、王都で出会った彼女、姉友ちゃんです。

同じ色違いの服を着ているので侍女っぽいです。


なんで姉さんが混ざっているんですか?


お客様はそんな事を気にしません。

むしろ、小公女さんの紹介でざわついています。

王女さまが列席するパーティーということで格が1つ上がったようです。


姉さんが怖い顔で虫除けしてくれるので貴族の令嬢が近づかないのはいいんですが、さっきから交代で踊らされていて、全然に休む暇がないんです。

俺は影でこっそりおいしいモノを食べるだけでいいですよ。


はい、みんなで伯爵家にお泊りです。


俺が書いたシリーズものを回収してきました。

姉さんと姉友ちゃんにもバレました。

7女ちゃん、ショックで気絶しました。


「ショックだね。愛しの彼とお父さんが隠し持っていたものだものね。この子、可愛い」


小公女さん、あんたのせいでしょう。

あんたが悪の元凶でしょう。


「イタぃ、イタぃ、痛いよ。姉さん」

「私は恥ずかしい。こんなものを書く弟を持ったなんて」

「仕事です。仕事」

「そうだよ。仕事だから許して上げなさい」

「そうですよね。でも、こんな本を読んでいたのですか」


姉友ちゃん、頬を赤く染めて言わないでこっちが恥ずかしい。

一晩中の折檻が続きます。

朝はみんなゲンナリして部屋を出てきます。


「若いからお元気ね」

「ホント、うらやましいわ」


俺は一晩中正座させられてふらふらなだけです。

シリーズものを一晩で読もうとか無茶です。

小公女さんは元気ですが、目が赤くギラギラして怖いですよ。

どうして女の子が嵌っちゃうんです。

男性用ですよ。


「悪党をばっさばっさ切るのがカッコいいですよね」

「はい、カッコいいです。魔物をばっさばっさ倒す所が似ています」

「女の子を増やしている当たりがあんたそっくりよ。姉さん、恥ずかしい」

「エロいところが最高」


小公女さん、あなたはしゃべらなくていいです。


 ◇◇◇


「なんでわたしだけを除け者にするのよ」


迎えに来なかったのはあなたですよ。

行政府主催のパーティーも終わり、久しぶりに冒険パーティの仲間と再会すると、見習い神官ちゃんが連日のパーティーの話を聞いて苦情の声を上げます。

見習い神官ちゃん、連日の炊き出しを手伝っていたとかです。


ご苦労様です。


もちろん、無償じゃありません。

教会に多額の寄付をして教会職員の手を借りて、広場で10日間連続の炊き出しを続けていた最中です。

この町では魚は高級食材ですが、それがタダで食べられるのです。


高級魚は貴族や料亭などに廻していますよ。

今回のパーティーでも魚料理が多かったのはその為です。

いわしみたいな安い魚も大量に購入してので、それを放出している訳です。


見習い神官ちゃん、いわしのような魚を連日で食べたことを自慢した訳です。

しかし、姉さんや姉友ちゃんは、パーティーで高級魚の料理を食べていたと聞いて逆上した訳です。


「なんでわたしだけを除け者にするのよ」


知りませんよ。

迎えに来ずに魚に釣られて炊き出し隊に参加したのは見習い神官ちゃん本人でしょう。

(手伝いに来た人は、いわしのような魚が食べ放題というフレーズで人を集めました)


 ◇◇◇


「なんでクエストに行けないのよ」


見習い神官ちゃんがうるさいです。

市長伯爵閣下に言って下さい。


やって来たのは北の峠道です。


城壁市の北側には3000m級の山脈が広がりますが、世界の裂け目と呼ばれる大きな谷に近づくに連れて標高が下がり、1000m級の山々になっています。


その中でも唯一、人が通るのに最適な道が『北の峠道』です。


なんと言えばいいのでしょうか。

アルプスのように勾配のキツい斜面が切り立つ山々が続き中で、この部分だけ山が崩れて勾配が浅くなっている感じでしょうか。

人も魔物もこのルートでないと行き来できないのです。


もちろん、飛行系の魔物は別です。


峠を下ると北の盆地が広がり、景色は絶景です。

ガルさんとベンさんらは盆地で狩りでもして貰っておきましょう。

俺達だけいいと言ったんですが付いてきたんです。


「がははは、そう邪険にするな。みんなで楽しもうぜ」

「そういうものですか」

「そういうものだ」


山の斜面を利用して作る砦は比較的楽に作れます。

敢えて垂直に作らないことで強度も期待できますし、高低差は元々あるので見た目以上に高く作れます。

峠の左右を広げて居留地を作れば、問題ないでしょう。

横穴を掘って湧水を引いてきましょう。


狩りから帰ってきたドクさんとベンさんらの顎が外れます。

なんじゃこりゃ?

正門に通じる道を残して、両岸が抉られて岩壁を思わせる砦が完成しているのです。

俺に言わせると未完成です。

細かい整形は後に城壁というより土を移動させて溝と山を盛っただけです。


湧水が横を流れ、城壁を伝って落ちてゆき、いずれは水が溜まって水掘になるハズです。

キャンプ地になる小屋を先に作って置きました。


「もう完成か」

「まだですよ。反対側にも簡単な壁を作り、両岸の緩斜面にも壁を作っておきます。三日くらいは掛かります」

「なぁ、今度、伯爵様がスラム街に小屋を作ってくれるって噂が流れているが、もしかすると」

「これが終われば、その仕事を聞いています」

「やっぱりおまえか」


ドクさんとベンさんが何かショックを受けているようです。


「今更、驚くことないでしょう」

「そうですよね」


見習い神官ちゃんと姉友ちゃんは割と平気のようです。


「町の人も驚かないわよ」

「冒険者もアルフィン橋で慣れていますから大丈夫です」


ちょっと待て!

今、なんて言いました。


「あんたが作ったエクシティウム川に掛かっている橋よ」


俺の橋?

あっ、卒業式に間に合わす為に作った橋ですか。


「舟賃を払わずに西側に行けるようになって、みんなに喜ばれています」

「まだ、残っていたんですか」

「残るに決まっているでしょう。鋼鉄より硬い橋が壊れる訳がないでしょう」

「学者どもが調べたらしいが、ミスリルほどではないが、魔鋼鉄より硬いらしい」


魔鋼鉄より上ですか?

今更ですが、女神パワーは凄いね。

知っていれば、短槍を大量に作っておけばよかったです。


「それって、もしかして」

「温泉です」

「「「「行きたい」」」」


無理ですよ。

往復で何日掛かると思っているんですか。


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