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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第三部.児童チートで優雅な(?)陰謀編、なにもしないうちから恨み買っています。
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5. 口先1つで荒稼ぎ。

最後の休憩所を過ぎると橋を渡って川を越えます。

ここから隣の城壁市の領地になります。

不思議なことに、川を超えると蟹のような味がする甲殻系の昆虫魔物が徘徊するようになるのです。

乱獲は明日です。

冷凍用の長荷馬車は空のままで走らせています。

その中には鍋用の野菜が入っています。


「今日は鍋すきだ」


おぉぉぉぉぉ、地元の冒険者は判っています。

領軍の兵は半々ぐらいでしょうか。

越境しないと手に入らない食材であり、1日で腐ってしまう蟹の肉は希少な為に高級食材扱いされており、一般庶民には中々に手に入らないようです。

冒険者のみなさんに越境は関係ありませんから少し足を伸ばして狩りに行く感覚なのでしょうが、領軍が無暗に領線を越えて狩りをする訳にも行かず、高給軍人か、旅団に参加したことがある兵士しか知らないのです。


おいしいよ!


しかも今回は味噌などの調味料も用意しました。

以前は塩のみの味付けでしたが、今回はお味噌に野菜と具材をたっぷり用意したのです。

廃棄された村に入村するとさっそく夕食の準備です。

今回も大ホールを仮の宿営地に利用します。

勝手に生えている白菜のような葉野菜も収穫に行って貰い、その他の具材を冷凍用コンテナを開いて他の野菜も取り出します。

そう、そう、入浴場に水を引いてお風呂も炊いておきましょう。


 ◇◇◇


食事ができる頃にはぐれてどこかに消えたAクラス冒険パーティ『アレフロト』も追いついて戻ってきました。

一体、どこまで狩りに行っていたんでしょう。

子守役の神官が謝ってきます。


「今回は不問とします。もし、明日も同じことをするようならギルドに報告させて頂きます」

「ご配慮ありがとうございます」

「ねぇ、ねぇ、ギルドに報告するとどうなるの?」


あの馬鹿の妹が聞いてきます。

俺と同い年らしい妹さんは可愛らしい容姿をしていますが、トンでもなく凄腕の女戦士です。

えっ、まだ見習いですか?


「ギルドに報告されると罰金と賠償金が発生します。Aクラスの罰金は高いですよ」

「えっ~~~~、お金なんてないよ」

「今回はなしと言ってくれました。感謝しておきなさい」

「ありがとうお兄さん」


抱き付かれました。

この子、凄くいい匂いがする。


うめぇぇいぃぃぃぃ。

気が付くと馬鹿らがもう飯を食べています。

「そんなのいいから飯食え、めちゃくちゃ旨めいぞ」

「え、ホント?」

「ほらぁ、おまえの分だ」

「お兄ちゃん、ありがとう。大好き」

「どうだ」

「美味しいよ」

「そうだろう。そうだろう。もっと食え!」


あの馬鹿にべったりと寄り添って食事をはじめています。

素直そうですが、あの娘も兄と同様で賢い感じはしません。

子守役の神官が何度も明日はちゃんとさせると謝ってくれました。


 ◇◇◇


翌日、あの馬鹿に先遣隊をもう一度命じます。

お弁当も渡したので今日一日、もう会う事はないでしょう。


「いってきます」

「気をつけて」

「大丈夫だよ」


あの娘が俺に手を振ってくれます。

一応、答えておきましょう。


「随分と仲良しになったのですね」

「同じ年で気が合うのでしょう」

「が~ん。やっぱり同じ年がいいのかな。わたし、お姉さん過ぎるかな」


お茶会のお姉さん、それほど仲良しになっていませんよ。

あいさつ程度です。

お弁当を貰って喜んでいただけです。


赤毛のお姉さん、気が合うなんて簡単に言わないで下さい。

子供あやしているだけです。

それにあの娘は冒険者に平気でナイフを喉元に突き付ける危ない子ですよ。


小公女さん、あなた12歳でしょう。

お姉さんらより1歳だけ年上で大して変わりません。

俺のストライクゾーンは10年後です。


まぁ、それはともかく。

先遣隊に続いて食糧確保隊も出発します。

今日は普通のリーンフォースで、昨日みたいな超広範囲系は使いません。

長荷馬車2台分の蟹のような味がする魔物を捕獲すれば終わりです。

「俺達の荷馬車も使って下さい」

「領軍の荷馬車も使っていいぞ」


みなさん、自主的に荷馬車を貸してくれました。

長荷馬車は1台で2台分の荷物が乗ります。

ウチの冒険者を降ろして調達した荷馬車が1台あり、貸してくれました荷馬車4台ですから9台分です。もちろん、昨日の魔物素材をすでに積んでいる荷馬車1台はカウントしていません。

先遣隊に冒険者を借り出していますから、荷卸しできるのが領兵10名のみです。

今日は訓練させている暇はなさそうです。


 ◇◇◇


城壁市に到着すると、次の領軍の隊長さんとあいさつを終えると、商業ギルドに直行です。魔物素材の引き渡しは赤毛のお姉さんと小公女さんに任せます。商業ギルドで指定の倉庫に小麦を卸すと冒険ギルドに戻ります。

荷馬車6台分の魔物素材の暫定査定を冒険者が息を呑んで待っているのです。

俺達が戻ってきた頃に査定が終わったようです。


小金貨1575枚


配当は2割ですから小金貨315枚です。

冒険者と領兵を合わせて155名で割ると、一人当たり小金貨2枚ちょっとです。

荷物を手伝っただけで小金貨2枚ならちょっとしたおこずかいです。


「「「「「「「「「「「ヤッハー!」」」」」」」」」」」」


みんなで小金貨を配ってゆくのです。


「お兄ちゃん、おこずかい貰えた」

「よかったな」

「うん」

「ライド、見たか! 護衛の仕事をとって正解だっただろう。何が飯は拙い、金が手に入らないだ。飯は巧めし、寝る所は準備してくれる。しかもこずかいが貰える。最高じゃないか」

「ホント、ずっとこれから護衛の仕事をメインにしようよ」

「それいいな」

「わたしも賛成」

「好きにして」

「いいか、ここが珍しいんだ。普通の護衛クエストはこんなに楽じゃない。勘違いするな」

「そう言ってもな」


何やらあちらの方で揉めています。

俺には関係ないので放っておきましょう。

さて、配当金を配り終えると、お茶会のお姉さんが小さな台の上に立ちました。


「ちゅうぉ~~もくぅ」


指揮官のような透き通る声が響きます。


「みなさん、お金は行き届きましたか?」

「「「「「「お~う」」」」」」

「ここで1つ儲け話を提案します」


儲け話と聞いて注目しないのは冒険者ではありません。

さっと懐から契約を取り出すのです。


「ここに荷馬車の20台の契約書があります。欲しくありませんか!4日後に返せばいい奴ですよ」


それを聞いて、ピーンとくる冒険者はすぐにいません。

領兵も同じです。

次の言葉を聞いて我を忘れるのです。


「昨日の街道沿いには大量の魔物素材が放置されています」

「買った」

「俺に売ってくれ」

「俺が買う」

「俺が」

「誰か、荷馬車を手配しろ!」

「この町の荷馬車は明日出発する旅団で貸されており、ほとんど手に入らないでしょう。全員が合同で買うというなら定価でお売りしましょう」

「買うぞ。いいよな」

「しかたね」

「判った。山分けだぞ」

「お嬢ちゃん、領兵も一口入れて貰っていいのか」

「もちろんです。領兵が入らないなら売りません」

「よし、乗った」


荷馬車の値段は1日当たり小金貨6枚程度です。

馬の餌代を入れるともう少し掛かります。

さて、旅団の日程は2日ですが、いつ帰ってくる不明なので、貸出額は小金貨40枚が相場です。そして、帰りは荷積みなど4日掛かると計算して小金貨20枚です。


まぁ、それも仕方ありません。

しかも帰る日数が遅くなればなるだけ、馬の餌代がレンタルしている商業ギルドの負担に大きく圧し掛かってくるのです。


荷馬車20台となると金貨400枚、配当金315枚より多い額です。

この場で回収する訳にもいきません。


「隊長さん、冒険ギルド発行の借用書を発行します。よろしいでしょうか」

「こいつら全員の肩代わりをしろって事か」

「はい、お願いします」

「うぅぅぅ…………判った。引き受けよう」


領軍の隊長さんがそう言うと冒険者が飛び上がって喜びます。


「「「「「「「「「「「ヤッハー!」」」」」」」」」」」」


俺と隊長は一緒に冒険ギルド内で調印を交わすのです。


「お嬢ちゃん、手間を掛けさせて悪いな」

「いえ、いえ、私も儲けさせて貰っていますから気にしないで下さい」

「相場だろ。どこに儲ける余地があるんだ」

「秘密です」


お茶会のお姉さん、商業ギルドに行った時に余っている荷馬車30台を全部借りると担架を切りました。

それは商業ギルドにとって嬉しい願いですが半額に値切ったのです。


「お嬢さん、それは殺生だ」

「でも、損はないですよね。飼葉代が1円もいらないのですから」

「確かにそうだが、せめて2割、いや、3割にしてくれ」

「困りました。でも、帰りの旅団では荷馬車が10台も増えることになります。行政府の通達でレンタル料は1日小金貨4枚と定められています。これは変更できません」


この一言で商業ギルドの担当者が青ざめえてしまったのです。

上司を呼んで協議です。

もし、帰りの旅団で荷馬車を引き取って貰えないとなると、1ヶ月の飼葉代を払い続け、さらに1ヶ月以内に返還できなかったという違約金が発生して大損です。

もちろん、違約金など払う気はありませんから空の荷馬車でも旅団と一緒に返すしかないのです。

すると、1ヶ月の飼葉代だけが損金として発生するのです。


つまり、20頭の馬を預かる飼葉代の赤字より、20台を小金貨200枚で貸して儲けた方がお得なのです。


お茶会のお姉さん、小金貨200枚で契約書を買って、冒険者達に400枚で売る。


悪やのぉ。


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



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