表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
148/198

44.蒼勲章。

1話飛んでいたので修正しました。

読んでいたみなさん、申し訳ありません。

驚かれたかもしれません。

 

気をつけます。

もう勲章を貰っただけの話だから飛ばしていいよね。

えっ、駄目ですか。

軽く流して下さい。


時間が来ると、王宮への扉が開かれて貴族が王宮に入って行きます。

「気を付けて行って下さい」

「勲章を貰う時に頭を上げちゃ駄目ですからね」

「魔法は使っては駄目ですよ」

「そうだよ。ばっさりだよ」

ハンカチ持ったか、ちり紙持ったか、お母さんか。

ホント、二人は心配性です。

「行ってきます」

そう言って、俺は扉の向こうに歩いてゆきます。


 ◇◇◇


退屈です。

寝るのは拙いよね。

王様が玉座に座り、閣僚、王族、貴族と並びます。

騎士以下は広間で立たされています。

入学式はあの広間の最後列でした。


皇太子が国王よりこの度の遠征の成功を褒め讃えられ、次に大将軍と将軍と近衛隊長が叙勲させられるのです。


勲章というのは大きく2つに別れています。

□□の△△勲章です。

□□は何に対して勲章が与えられたのか。

△△は勲章の価値です。



つまり、□□は、

龍を退治すれば、龍退になり、

魔物を退治すれば、魔退になり、

悪魔を滅すれば、悪滅になり、

遠征に勝利すれば、征勝になり、

砦を建造れば、砦建(さいけん)になり、

領地を増やせば、地増賞です。


△△勲章は、

王国の紋章である二匹の龍が描かれている双竜、

盾に二本の剣が(エックス)で交わる十字、

王家の華が描かれている薔薇が3つの格であり、

それぞれに紫、青、緑、黄、橙、赤と6色の位があるのです。


遠征のダーヴィド大将軍とアルゴ丘陵地に砦を造ろうと言った責任者であるアイヴィン将軍が『征勝の十字菫勲章』を貰い、将軍二人と近衛隊長が『征勝の十字蒼勲章』を貰います。


不思議なことが1つあります。

紫じゃなく、菫?

青じゃなく、蒼?

慣例らしいです。


 ◇◇◇


次に呼ばれたのが、髭伯爵です。

「未開の地に砦を建設し、魔物10000体を葬りし功績により、ロバトニ・アディ・ヘンリー伯に『砦建の十字蒼勲章』を授ける」

「はぁ」

髭伯爵、下げていた頭をさらに下げす。

一番手柄を与えられたのです。

「ヘンリーの者か、久しいな。そなたらは国の宝だ。これからも励め。侯爵を授ける」

「はぁあぁぁぁ、ありがたき幸せ」

髭伯爵から髭侯爵です。


次に呼ばれたのは、自称天才の従兄さんです。

敵中の城壁の修復と大量の魔石を持ち帰った褒美で『砦建の十字蒼勲章』を貰います。

二番手柄と言う奴です。


でも、貴族のひそひそ声が聞こえてきます。

「ヘンリー公のお情けで貰ったらしいですぞ」

「なんと」

「聞きました。聞きました。敵をヘンリー公に押し付けて、自ら手柄のみを掠め取ったと」

「一緒に出陣した領主は何の手柄もないそうです」

「独り占めとは醜いのぉ」

評判が悪そうです。


本当に押し付けたのなら相当の悪党ですが、偶然でしょう。

調子に乗って魔物狩りをした為に、魔物がこっちに集まったのでしょう。

向こうに楽をさせたのは失敗です。

建設を遅らせても一時撤退していれば、押し付けられたのではないでしょうか?

今更ですね。


どうして、髭侯爵を睨んでいるんだ?


 ◇◇◇


そして、次々と丘陵地に派遣された領主が受勲されてゆきます。

参加しただけで表彰とは、こんなおいしい遠征はありません。

援軍が到着し、魔物達が恐れ戦いて森の奥に退却したというのが解釈です。


遠征では、第4軍の高官は多くの魔物を討伐して昇進のチャンスを得る予定でした。

そんな中で決して討伐できないのが、近衛の子守です。

第4軍の将校3人が近衛の子守として派遣されたのです。

皇太子、皇太子の息子、そして、前線の近衛隊長の補佐です。

この3人は目付けを任された昇進できない外れ組と呼ばれていました。

しかし、蓋を開けると逆でした。

将校は『戦勝の十字紅勲章』を叙勲し、1階級昇進です。


今回の遠征では、第4軍のほとんどが昇進できなという中で昇進を果たしたのであります。

3人とも将校になったばかりのペイペイです。

その3人が先輩将校を追い抜いて、第3侍従として使う立場に変わってしまったのです。

人間、どこに運が転がっているか判らないものです。


将校の受勲が終わった所、王が退席します。

王室が行う受勲はこれで終わりです。


 ◇◇◇


ここから行政室の表彰です。

今回は軍事行動なので軍務府が執り行います。

そうです。

軍務府の頂点には、皇太子が軍務長官として君臨しているのです。


あぁ、まだ続きます。

お昼も食べずに、タダ立ち尽くす。

もう、帰りたいよ。


様々な従事者の表彰です。

城壁の補修を指揮した貴族様とか、危険な戦場を伝令に走った貴族とかです。

領軍のいない小領主は戦闘に参加できなので、単身、あるいは、領民を連れて参戦しています。

彼らは戦闘に関係なく、実績で表彰されます。

あっ、俺達と一緒に随行していた隊長さんも表彰されています。

なるほど、サポーターは軍事行動に入らないんですね。


と、言ってもそんなに多くありません。


今、表彰しているのは軍務長官である皇太子の命で表彰されている者です。


Aクラス冒険パーティは皇太子の勅命で動きましたから王族・貴族・平民・他国民であっても蒼勲章が貰えるのです。


因みに、蒼勲章は王族が与えられる最低の勲章であり、領主である諸侯が与えられる最高の勲章であります。

諸侯が勝手に『薔薇の菫勲章』以上を与えたら、家名断絶で斬首です。

これだから王政は………命が安すぎるよ。


 ◇◇◇


王宮にざわめきが起こります。


平民の冒険者の後に王族の名が呼ばれたからです。

「どうして、王族がこんな後に」

「ありえないわ」

「何を考えているんだ」

「アンティ王家から苦情が来るぞ」

「他の王家が黙ってない」

小公女さんは王族ですからね。


もちろん、理由があります。

小公女さんはアルゴ学園生として勅命を受けました。

そうなると、同じグループである俺も呼ばないといけない。

結果、平民の俺の後に貴族が呼ばれることになる。

これは拙いでしょう。


逃げ道として、小公女さんがリーダーとしてアルゴ学園生を率いたとする案も出たのです。しかし、それを拒否したのは、他ならぬ小公女さんです。

あくまで俺と一緒でないと嫌だと言うのです。

そうしないと、その場で直訴すると宣言します。

王族のみ使用できる拒否権です。


『王家は他家の王家の問題に介入できない』


その場で俺に嫁ぐので、夫より先に貰えませんと告白すると言ったのです。

王族が平民に嫁ぐというスキャンダルです。

法的に問題ないんですが、貴族にとってあり得ないことです。

貴族の娘が平民に嫁ぐと平民になりますが、王族は王族のままです。

王族の特権です。

王族より上位にいる平民など、貴族にとってモラルハザードなのです。

平民の俺は、貴族より偉いの、偉くないの?


まぁ、王族の我儘を聞いた訳です。


でも、平民の後に王族が呼ばれただけで十分に衝撃だったみたいですね。


 ◇◇◇


貴族達の衝撃は続きます。


叙勲は代理が勲章を運びます。

髭侯爵も王様から直接に勲章を貰った訳ではありません。

王様が直接に渡すのは、府の長官以上に『杖』を授ける時だけです。


「Aクラス冒険パーティの方々に、『魔退の薔薇蒼勲章』を授ける」


パーティ名が呼ばれ、前の冒険者達までは代理の代官が勲章を手渡してゆきます。

アルゴ学園生と読み上げられた後に皇太子が壇上から降りて来たのです。


顔を上げていませんが、壇上に立つ人物は一人だけです。

紅蓮の教官さん、「りゃ~りがとうござます」と声が裏返っています。

勲章を山ほど貰った人でしょう。

生徒会長さんは冷静です。

モリモリ君、ロボットのようにカクカクです。


次は俺、頭を下げたままで勲章を受け取ります。

完璧です。

皇太子、何故か動きません。

そして、肩に手を当てて耳元で囁きます。

「息子からのお願いだ。君のメダルのみ特別製にしてある。裏に我が家紋を彫っておいた。必要な時はそれを使い給え。我が家が君の後ろ盾となろう」


裏家紋、その家がその者の身分を保証する手形みたいなものです。

貴族なら身分の保証書代わりという所でしょう。

諸侯なら城壁市内が有効です。

皇太子になると、国内どこでもフリーパスのビザなし渡航ができそうです。

もちろん、王宮内もです。


貴族処か、広場の騎士もざわつきます。


小公女さんは顔を上げて、軽くあいさつをします。

「貴方も無茶をいいますね。文官が泣いていましたよ」

「殿下には及びません。壇上を降りた王族ははじめてではありませんか」

「はじめてはいい事ですよ。前例を作れば、後の者がやり易くなる」

「では、わたしもそう言うことで」

「いいですね。可愛い娘が生まれたら王室に迎えさせて頂けますか」

「希望に添えるように努力いたします」

「は、は、は、平民の娘を王家に嫁がせる。中々に楽しみだ」

声が大きいですよ。

第3王子もそうですが、王族ってみんなフリーダムだな。


次の王都で出会った彼女はあっさり終わりました。

これで皇太子も退場です。


 ◇◇◇


薔薇の翠勲章以下は近衛長と将軍が行います。


近衛長が壇上に立ち、聖騎士に叙勲を与えます。

第3隊に所属する聖騎士100人隊長とその部下の500人です。

これだけ数が多いのは珍しいことです。

隊長以外は名前も呼ばれませんが嬉しいことでしょう。

隊長が100人分を受け取りに行き、広場に戻って一人一人に渡してゆきます。

時間が掛かりますね。


上将軍が壇上に立ち、王国第4軍の聖騎士から騎士に叙勲を与えます。

10人です。

これは少ない。例年の20分の一以下です。


ここに来て、魔物討伐のほとんどが冒険者だったという事が響きます。

魔石を見つけた隊長は表彰されますが、運んだ部下を表彰する訳にもいきません。

魔物を1体倒したと言って表彰すれば、来年から一体何人を表彰することになるのでしょう。

それはできません。


 ◇◇◇


長い、長い、表彰が終わってやっと解放です。

「これで帰れる」

「何を言っているんですか。主役が帰れる訳がないです」

「晩餐会を忘れていますよ」

あっ、そうでした。


晩餐会をキャンセルしても斬首はないでしょうが、させて貰えないでしょうね。

「当然です」

「これ以上、悪評を立てない方がいいよ」

「俺、悪いことしていませんよね」

「はい、概ね好評です。ただ、参戦していた領主からは不評が聞こえてきます」

「遠征第1軍に参戦した領主は手柄なしで帰ることになったからね」

「代わりに、第3軍に参戦した領主から絶大な支持を貰っています」

「支持と言うより信仰を感じた」

「そうですね。これからも良しなにと執事の方が何人も頭を下げに来ていました」

「その内、ウチの娘を貰って下さいとか言いそうだった」

遠慮します。

「どっちの方が多いですか」

「「一軍」」

やっぱり、招かざる客ですよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ