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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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43.祭りのあと。

ごめんさない。

1つ、飛んでしまいました。

3月21日、俺達は帰ってきた。

アルゴ丘陵地を越えて砦に戻ってきました。

お茶会のお姉さんと赤毛のお姉さんが出迎えてくれます。

「「おかえりなさいませ」」

20日には皇太子は終了宣言を出して王都に帰還しました。

皇太子の護衛に任に付いていたアルゴ学園の生徒は用済みです。

他の生徒はもう帰宅していますが、お姉さんらは俺を待っていてくれたのです。

「一日遅れましたが、合宿に出発しましょう」

「「はい」」

「それは無理ですよ」

俺の声を遮ったのは第三王子です。

「帰ったんじゃないか?」

「お爺様には報告をしましたが、ウガラスゼミ生も生徒会長も待っていました。特に私は代表ですよ。当然でしょう」

「えっ~ぇぇぇ、じゃあ、私だけお出迎えなし」

「そうなりますね。ティザーノゼミ生もローサ先生を待っていましたから」

「ちょっと待て、俺を待っているんだろう」


モリモリ君、ちょっと怒です。


「さぁ、どうでしょう。ティザーノゼミ生の生徒からローサ先生の安否しか聞かれませんでしたよ」

「くそぉ、あいつら絞めてやる」


モリモリ君、殺しても死にそうもないから信頼されているんですよ。

敢えて、言いませんけど。


つん、つん、王都で出会った彼女が小公女さんを突きます。

「大丈夫、仲間」

「そっか、私一人じゃないんだね。ありがとう」

「ねぇ、送って」

「王都に送れという意味ですか」

「そう」

「今から合宿です」

「ですから、無理と言っています。凱旋式の表彰式に蒼勲章を貰う人が欠席したら大問題ですよ」

「ちょっと待て! 爵位と勲章は断っただろ」

「はい、父上からの褒美は無くなりましたが、参加したAクラス冒険パーティに貰えます」

「俺達はAクラスじゃないだろう」

「そんな言い訳が通じる訳がないでしょう。ローラ先生は報奨金の受け取りこそ断りましたが、受賞は断っていません。君も報償金だけ断りますか?」

「報償はいる。勲章はいらん」

「理由もなく、受賞式を欠席したら反逆罪の審議が起こりますよ」

「またかよ」


王国制は嫌いだ。


「領地と爵位の話があったの?」

「まぁ、そういう話もありましたね」

「どうして受けないのよ。管理なら私がして上げるのに」

小公女さん、何を言っているんですか。

「私、一応は王女だから、そういうのは得意なのよ」

「私も参加したい」

「じゃあ、一緒にやりましょう。正妻がいるから、私が側室で、あなたは側女よ」

「うん、問題ない」

おい、おい、何か変なことを言っていますよ。


「ちょっと待って下さい」


お茶会のお姉さんが指を下に差して声を荒げます。

俺は正座して座ります。

躾けられているって、何ですか?

怖いんですよ。


「どういう事か、説明して貰えますか」

「何となく、判るけどね」

「こういう事ははっきりさせた方がいいのです。こういう事態にならないように管理を任されてきました。説明も無しに『はい、そうですか』とはいきません」

「ずっと心配していたのよ。ちゃんと答えて上げてね」

赤毛のお姉さんは気楽そうです。


説明も何も身に覚えがないんですよ。

「どうして黙っているのですか」

「俺もさっぱりで」

はぁ、お茶会のお姉さんが溜息を付きます。


「私が説明します。私は彼に恥ずかしい所を見られました。優しい彼は気にしていませんが、王女としてはそうもいきません。王女である私はもう彼にお嫁さんにして頂くしか手はないのです。それとも私に一生日陰者の人生を送れとおっしゃいますか」


ぎろり、お姉さんらは睨みます。

俺は首を横に振って全面的に否定します。

本当に身に覚えがありません。


「どうか、私にお慈悲を下さい」

「私が決めることではありませんが、了解はしました。王女と言われましたが、側室でよろしいのでしょうか」

「王女と言っても臣民もいない王族ですから問題ありません」

「報告しておきます」

「お願いいたします」


なんか、最後は芝居掛かっていますね。


「儀式は終わりでしょうか」

「儀式と言われると困りますが、終わりました。王子、お願いがあるのですが、よろしいでしょうか」

「私にできることですか」

「判りません。しかし、合宿が中止になったので、新作の荷馬車のテストができなくなりました。遠征の帰還事業で使って貰えるようにお願いして頂けないでしょうか」

「荷馬車なら問題ないでしょう。総務に言っておきます」

「お願います」

「その代わりと言っては何ですが、お願いできますか」

「お任せ下さい。我が主を表彰式にきっちりとお連れいたします」

「助かります。私が推薦した者の中から審議官に疑いの目を持たれるものがでるのは困ります」

「お任せ下さい」


やっぱり出席ですか。

面倒臭いよ。


 ◇◇◇


長荷馬車は月末まで貸出し、俺達は王子の馬車で学園に帰還します。

屋敷に戻ってゆっくりと過ごします。

ゴーレム戦から砦の話を聞くとお姉さんらが呆れます。


ただ。赤毛の兵士さんの話は赤毛のお姉さんがすごく感動してくれました。

「もう一回、もう一回」

「ですから、壁を飛んで、間に合えと叫びながら」

「ちゃんと、赤毛の兵士の兜が外れた所から」

「はい」

何回、リピートさせる気ですか。


お姉さんらは儀仗兵と一緒に立っていたそうです。


お茶会のお姉さんが用意した服は特殊な魔物の内皮で作ったドレスです。

ドレスと言っても晩餐会で着てゆくようなモノではなく、西洋の神官服に近いモノで、青い色を基調としたモノです。

重い鎧を付けて移動速度を殺す事を嫌いました。

使っている薄皮は槍も通さない高級品です。


赤毛のお姉さんはバトルドレスをチョイスしました。

速度重視で軽装です。

ドレスは赤と白を基調とした可愛いスカート型です。

スカートの丈は膝上で、足に鎧系のロングブーツを履いています。

軽装の素材はすべて純白のアルミのような鉱物ですが、アルミと違って固くて軽い素材です。


二人とも見栄えがいいので儀仗兵に廻されました。


他のメンバーはテントを張って周りを警護していたそうです。

全員、新しい装備に換装していたので恥ずかしいということはないでしょう。


言っておきますけど、ゆっくりしたのは1日だけですよ。

どうせ式典が終わったらマリアさんから矢の催促が来るに決まっています。

合宿中も欠かさなかった仕事ですが、今月は何も書き上がっていません。

夜鍋です。

しくしく、マリアさんの分だけでも終わらせましょう。


 ◇◇◇


「おはようございますって…………寝てないんですか」

「もう、朝ですか。おはようございます」

「寝ないで下さい」

赤毛のお姉さんの介護もあって朝の朝食を済まし、着せ替え人形になって、馬車に乗って出発です。

膝枕が温かいです。

王都まですぐですが、今日は主賓なので馬車で奥まで進むことができます。

警備が厳しく、

王宮に着いてから待たされる時間が長くて膝の温もりを堪能できました。


馬車から降りるとボディーチェックです。

魔法使い相手にネックレスや指輪はノーチェックなのでなんて甘々何でしょう。

「普通は気にしません。魔法を使う時は魔力が増加しますし、詠唱を唱えている間に後ろの衛兵がばっさりです」

「無詠唱の速射魔法が使える人はいませんよ」

あ~、なるほど。


今日は広間ではありません。

表彰される俺達は王宮の中です。

「おぉ、坊主。元気していたか」

「疲れが出て倒れていないのか心配していたの…………顔色が悪そうね」

「は、は、は、坊主も人の子だった訳だ」

冒険者のリーダーさんが俺の背中を叩きます。

鎧を着ていないから痛いですよ。


周りの貴族が俺達を見ています。

王宮に入って大声を出すのはマナー違反ですが、冒険者がそんな常識を教えてくれる人はいません。

ひそひそ声で俺達の悪口を言っています。


「おぉ、王女の騎士殿。ご健在であったか」

貴族中の貴族、髭伯爵さんが王宮に入ってくるなり、大声で俺の異名を叫びます。

王女の騎士は髭の家臣以外は呼ばないよ。

周りの貴族が、『王女の騎士』という単語に反応しております。

小公女さんが居なくてよかったよ。


王族は貴族間に入って来ることはありません。

王族は王族の控室で待たされるのです。

因みに、お姉さんらはここで待たされます。


 ◇◇◇


髭伯爵さんを中心に冒険者が集まってきます。

生死を一緒にした仲というのは特別なのでしょう。

一緒に戦ったのは一戦のみですが、次に2万の敵が来た事を想定して、決死の思いで一丸となって備えた訳です。


20000、信じられない数字です。


しかし、逃げようとする兵士はいません。

王女の騎士がいるからです。

どんな敵でも大抵の敵は何とかしてくれる。

迷惑な話です。

逃げようと言ってくれた方がどんなに楽だったか。


雑魚(A級の魔物)さえ何とかすれば。


1万近い敵を退けた。

本当に、2万でも同じ事ができるのか。


魔法使いは魔法が尽きれば、タダの人です。

魔法を効果的に使っても15000体が限界です。

残りの5000体は魔法使い以外でなんとかしなくてはなりません。


何とかする為に冒険者とか言う垣根など作っていては生き残れない状況だったのです。


なんと言っても髭伯爵が冒険者に頭を下げたのが大きかったのでしょう。


魔法を温存しつつ、どこまで粘れるか。

Aクラスの冒険者に10人の兵士が付くという不思議な編成が組まれます。

不思議な連帯間があの砦にあったのです。


結局、来なかったですけどね。

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