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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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41.英雄誕生。

森には瘴気と魔気が満ちており、魔力溜まりっぽいものが沢山あるのでしょう。

そして、何より殺気に似たものが森から漂ってくるのです。

魔物達は何か取り付かれたように目を赤く染めて輝きします。

目が発光するのがはじめての経験です。

あっ、1つ訂正。

巨大ゴーレムは目が発光していました。

はじめてではありませんね。


森に満ちた殺気が強くなり、森の方で高い魔力が膨れ上がります。

勘のいい魔法使いなら気づいたハズです。

魔法使いだけはありません。

「気をつけろ。何か来るぞ」

冒険者のリーダー格が声を荒げて叫びます。

兵士が身構えた瞬間。


刹那!


光が感じられ、瞬間的にドーム式の防御壁を展開します。


ずどどどぉぉぉごごごぉぉぉぉ!


稲妻が俺達を襲い、周囲にスパークします。

ごめんなさい。

周りの兵士が散った電気に当てられて痺れて倒れています。

死んでなくてよかったです。

「ありがとう。たすかったわ」

「お姉さんも障壁を張っていたじゃないですか」

「そうね。でも、1つでは足りなかったかもしれない」

2重の防御壁の外側が持っていかれました。

かなりの威力です。



業火爆風(インフェルノ)

生徒会長が打ってきた辺りに撃ち返します。

次の準備をしていた大規模魔法を放ったのです。


ごぉごごごごごぉぉぉぉ!

炎の円柱が周囲の当たりの木々を魔物ごと焼きながら巻き上げます。

火が静まると当たり一面が焼野原になります。


「逃げられたな」


生徒会長が小さく呟くのです。

稲妻の魔法を使える魔物を倒せたという実感がないようです。

強力な稲妻を放てる魔物。

そんな魔物が多くいるとしたら厄介です。

多くないと祈りましょう。


 ◇◇◇


2000体余りを残して少し引いた?

相変わらず、魔物が寄せてきているのは変わりません。

判りました。

トロールやハイゴブリンらしい人型の魔物が動きを止めているのです。


「なにか、あるわね」

「でしょうね」


稲妻の乱れ撃ちとかを用意しているのは嫌ですよ。


ずだずだずだずだずだずだぁぁぁ!

森の奥の方から音が聞こえます。

遠くの木々が揺れて黒い道のような筋が近づいてくるのです。

巨大な何かが木々が倒しているのでしょう。

黒い影以外は何も見えません。

一直線に向かってきます。


「随分と大きいそうね」

「この森には巨人とかいるんですか」

「わたしは見たことないわ」

「そうですか」

「でも、居ても不思議はない。森の奥に行くほど木々は大きくなる。わたしが見ていないだけかも」


この森に何日もキャンプを張って滞在する冒険者はいないそうです。

狩るだけ狩ったら、すぐに撤退する。

それが生き残る手段だそうです。


巨人にしては移動速度が速すぎる気がします。

木々は50mを越えていないので大きいと言っても10mくらいまででしょう。


ざばぁん!


最後の木が倒れるとその姿を現します。

丸いフォルムに四角い口?

モ〇ラの幼虫か。

違います。

よく見れば口ではなく鼻です。


「紅い豚か」

「牙があるからイノシシじゃないかしら」


確かに牙があります。

森を出て来た所で一旦停止。

こちらをギロリと睨みつけ、ゆっくりと前に進んできます。

ヤバい敵!

かなりヤバいとベテランほど気づき、魔導士達が詠唱中の魔法を巨大イノシシに向けて放つのです。俺もアイススピアー3点バースト3連発を用意しておきます。

『ギガ・ウェイブ』

『爆砕火炎』

『連環地獄』

『閃光鉄槌』

『超爆火炎龍』

『烈怒撃滅炎』

そして、生徒会長と魔導士さん、領軍の魔導士、モリモリ君も放ちます。

『業火爆風』

『業炎柱』

『迅双雷撃』

『雷衝撃滅』

壁に上がっている魔導士クラスが一斉に魔法を放ちます。

その他の魔法使いも『ファイラーボール』クラスの魔法を撃ち出します。

炎系の魔法が多いのは獣系の魔物に有効だからです。


巨大な爆音とともに瞬殺?

否、突然に紅い巨大イノシシの背中に生えた紅い触手に触れると魔法が消滅してしまうのです。

爆発音は一切ありません。


ずどぉどどどどどぉ。

魔法を撃ち出すのを待っていたかのように、巨大イノシシが走り出すのです。

しまった!

俺は慌ててアイススピアーの魔法を解除して、足元の槍を拾い、再度構築?

否、否、否、選択変更。

「避けろ!」

肉体強化か、それとも別にスキルか知りませんが、紅い巨大イノシシが加速します。

加速装置じゃあるまし!

あり得ないスピードで坂を登り切ると壁に突進したのです。


きゃぁぁあぁぁぁ!


壁の上にいた兵士が吹き飛ばされ、飛ばされた兜の下から赤い髪が舞い散ります。

その体がどさっと落ち、壁を抜けた赤い巨大イノシシの前に落ちたのです。

ぶひっ。

がぶりと赤毛の兵士にかぶり付こうとしているのです。


その巨大イノシシの先には兵士と小公女さんが倒れています。

「間に合え!」

壁の上から肉体強化で飛び、自分の正面に加速陣を5つ発生させて、自分自身を打ち出します。


魔法剣に手を掛けて抜くと同時に叫びます。


『氷の魔装甲』


もちろん、赤い触手を避ける為に発動は切る瞬間です。

発動していない魔法を無効化する触手などあり得ません。

浮遊盾と同じ原理、発動時間が0.01秒も掛からない。

俺の決め技です。

剣を下から上に上げるように氷精霊剣擬きでイノシシを断します。


ピィシン、縦一閃!


テメイに勝ちなどないんだ。


ずただだだだぁぁぁ!

着地失敗して、そのまま大根卸しの上を滑るように大地をごろごろと転びます。

痛ぁたたた。

もっそりと立ち上ると服はぼろぼろで擦り傷と切り傷であちらこちらから出血しています。

加速陣5枚は危険です。

控えましょう。


立ち上った俺はそっと振り返ります。

真っ二つになった巨大イノシシの口に兵士の体が埋まっています。

ごめん。

イノシシの狂気に当たられたのか、小公女さんも怯えるように震えています。

ズボンと足元が濡れているのには知りませんし、気づいていません。

そんな余裕もありません。


ぷちん。

「ごめんさない。力を出し渋った為に………ごめん」

そう謝る俺の視界に魔物が飛び込んできます。

そうです。

壊れた壁から魔物が侵入しようとしているのです。


「俺がそれを許すと思うか! アイススピアー」


侵入して来た魔物を串刺しです。

利くんですね。

ふ、ふ、ふ、俺は笑いながら壊れた壁から身を放り出すのです。


「おまえら、俺を怒らせたことを後悔しやがれ!」


うおぉぉぉぉぉぉ、坂を一気に走って下るのです。


アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー。


走りながら0.5秒で10発、30秒間のアイススピアーの600発の乱れ撃ちです。

しかし、倒せた魔物は420体です。

3割の魔物は魔法障壁を持つようです。

関係ない。


アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3。


今度は3点バーストを30秒、残る180体も瞬殺です。


ふ、ふ、ふ、生かしてやらん。


アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー。

アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3。


城壁で兵士達が声を荒げます。

「凄ぃ、凄ぃ、凄ぃ、凄すぎるぜ。魔法士って、こんなに凄いのか」

「無茶言わないで、あんなのできない」

「いけぇ、殺せ!」

「王女の騎士、いけぇ」

「全滅させろ。我が騎士よ」

「我がヒーロスだ」

「そうだ! ヒーロスだ」

「「「「ヒーロス、ヒーロス、ヒーロス」」」」

英雄の誕生に兵士達が声を合わせます。


兵士達が騒ぎ出す頃、小公女は立ち直って城壁の上に上がってきます。

「だいじょうぶ」

「はい、恥ずかしい所を見せてしまいました」

城壁を潰して入ってきた紅いイノシシを見て、睨まれて、小公女は絶望しました。

もう駄目だと。

魔導士はマントを外して、小公女に渡します。

「腰にまいておくといいわ。旅の臭いを消す為に香水をすわせているわ」

「ありがとうございます」

「恐怖することわ。いいことよ。恐怖しない人は強くなれない。恐怖して、立ち上れる人がつよくなる」

「はい、肝に命じます」

「彼、強いわね」

「本当に凄いです。私より魔法量は少ないハズなのに…………」

「落ち込むことはない。わたしも、あなたも、まだ高みに達していない。まだ、わたしは強くなれる。彼に感謝しないと」

「高みですか」

「そう、魔道の高み。才能はわたし達の方がある。なら、まだ強くなれる」

あっ、小公女は口をぽかんと開きます。

そして、目に光が戻ってきます。

「私、強くなれますか」

「それは知らない。わたしは強くなる。あなたはあなた次第」

「そうですね」

笑みが返ってきます。


冒険者達はまったく違う反応です。

むしろ、覚めており、当然と思えてしまうのです。

この馬鹿デカイ、砦も一人で作った奴です。

あぁ~、やっぱり。

「ちぃ、出し惜しみやがって」

「まったくだ」

「だが、スゲいな」

「あれが高みか」

「なぁ、知っているか。あいつは軍の人間じゃない。学生である前に冒険者だ」

「言っていた。言っていた。北の冒険者だ」

「俺達と同じ冒険者だ」

「国軍にあんな奴がいるか」

「いないぞ」

「俺達と同じ冒険者だ」

「くそぉ、同じ冒険者か。もっと強くなりてえ」

妬んでいるのか、喜んでいるのか、とにかく、嫌われてはいないようです。


アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー、アイススピアー。

アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3、アイススピアー×3。


わずか3分、1800体がラーメンも伸びない内に殲滅です。

残りはわずかです。


ずだずだずだずだずだずだぁぁぁ!


木々が倒れて、二体目の赤い巨大イノシシが現れます。

芸がないな。

レールガン擬き、最大!


「いけぇぇぇえぇぇぇぇ!」


ずごごごごごぉぉぉぉぉごごごごごごごごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


 ◇◇◇


レールガン擬き、最大は瞬間的に出せる加速陣20枚です。

流石に光速には届きません。

が、音速の640倍で飛んだ短槍は赤い巨大イノシシの体と斜めに大きな風穴を開け、後方のある木々を薙ぎ倒し、ショックウエーブが大地を抉ります。

普通の鉄では空気摩擦で熔解してしまう超高速です。

腰に念の為に差してあった魔鋼鉄の短槍はドラゴン用の非常用なのです。


森に1つの道が生まれています。


気が付くと、当たりから殺気が消えています。

魔物も去っていったようです。


当たりには1800体近いの魔物の死骸が残るのです。


わぁぁぁぁ!

砦に「ヒーロス」のコールが湧いています。

兵士のみんなが手を振っています。

出迎えられて、担がれての凱旋です。


どうしてこうなった。


そして、一人の女兵士の前に降ろされるのです。

「あぶない所を助けて貰ってありがとうございます」

赤毛の兵士さん、助かっていたんですね。

死んだと思っていました。


小公女さんがやって来て、耳元でささやきます。

「言っちゃ駄目だよ」

???

何のことでしょう。


再び、担がれて砦を回ります。

この砦の馬鹿騒ぎ?

いつ、終わるんでしょうか。

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