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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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40.髭の英国騎士。

(3月11日午後)冒険者のリーダーの心遣いも空しく、後続の先遣隊500人が到着します。土木作業のサポーター500人が一緒に付いて来ています。

「これはどういうことかな? 先遣隊の名誉を頂いたのは我々ではなかったのかね」

「先遣隊の名誉は伯爵閣下で御座います」

伯爵がびっくりするのも無理はない事です。

陣地の構築は伯爵の仕事であり、その為の多くの資材を運ばせて来たのです。

そのハズなので来て見れば、砦があるというのは納得いかない事態なのです。

出迎えた指揮官らは事の経緯と現状を説明しますが納得しないというより、現実的な話でないと怒りを露わにして俺達を呼び出したのです。


俺達が訪ねるまで不遜な態度を取っていたのですが、俺達が丘の頂上に戻った瞬間、地面に手を付けて跪いたのです。

「これは王女殿下、何故、このような場所に」

「この度は学生として参戦しております」

「おまえ達、何故に王女殿下をこんな危険な場所に連れ出した。事と次第によっては、その首を今すぐに刎ねてくれる」

王女と聞いて指揮官も慌てて跪きます。

何度も何度も頭を地面に擦りつけて無礼の段を謝るのです。

「王女と名乗りを上げておりませんから、この者たちを責めないでやって下さい。責められるべきは私にあります」

「なんというお優しいお心であらせます」

「この砦は窮地に立たされております。どうかお力をお貸し下さい」

「頭をお上げ下さい。ヘンリー家の名に賭けて全力で当たらせて頂きます」

横に伸びたちょび髭が特徴の伯爵は小公女さんの言葉に従います。

指揮官の話も砦も話もみんなうやむやに解決しました。

王女の権威を見せ付けられました。


ヘンリー、聞いた事のある家名と思いましたが、1000年前に迷い人としてやってきた異世界人だそうです。その迷い人の祖先は勇者召喚ではなかった為に特別な力はなく、一介の騎士としてアルゴ王に仕えといいます。

迷い人の父はヘンリー1世に仕え、母はヘンリー1世の庶子だったそうで、アルゴ王よりヘンリーの家名と侯爵の地位を賜ったと髭伯爵は語ります。

今、侯爵って言ったよね!

「ヘンリー家は一度、没落したのよ。そして、一介の騎士から再び、伯爵の地位を頂いた武闘派の貴族なのよ」

「武闘派ですか!」

「領主自ら訓練に参加するから、ヘンリー家の領軍は凄く強いわよ」

本当にみなさん、強そうです。


ヘンリー領軍の構成は領軍400兵にBクラス冒険者100人で、作業員兼サポーターは土工300人にCクラス以下の冒険者200人となっています。

領軍の兵は盾と槍と弓が全員扱えます。

これは騎士も同様です。

魔法使いも補充されました。

魔導士が1人、魔術士が3人、魔法士100人が補充されます。

中でも作業員に500人が補充されたのが嬉しいですね。

魔物の処理から解体、武器の補充が楽になります。


髭伯爵に東側の壁を任せて、小公女さんが案内します。

冒険者300人を西側の防衛に廻して貰い、代わりに魔導士さんが東側に移ってきます。

「よろしく」

「こちらこそ、お願います」

西側を指揮するのは小公女さんです。

そうしないと髭伯爵の兵が動いてくれないからです。

まぁ、実際に指揮をするのは紅蓮さんですけどね。

その間に壁で戦い易くする為の広い場所、ルームを作っておきましょう。


やっぱり、はじめて見る兵士や土工さんらが呆れています。

無視です。

あっ、後ろの砦、あとは土工さんに手伝って貰えばいいんですよね。


 ◇◇◇


日がゆっくりと傾き始め、逢魔が時が近づいた時に見張りが声を上げます。

「敵襲」

一体、魔物は何体いるのでしょうか?

「弓隊、構え!」

東西に400人の弓士と魔法士が構えます。

「引き付けろ!」

「放て!」

飛行隊との前哨戦が始まります。

無数の矢と魔法が魔物に襲い掛かり、数を減らしてくれます。

わぁぁぁぁ!

鳥に突撃されて墜落する兵士が続出します。

ばすぅん。

布や魔物の皮を敷き詰めて、クッション替わりに置いて正解です。

運の悪い人はごめんさない。


鳥系の魔物は突撃に失敗するとパターンのように上昇し、急降下で襲い掛かります。

壁の下の兵も狙っています。

「対空射撃、魔法士は次に備えよ」

紅蓮さんの透き通る声が響きます。

小公女さんは壁の内側で兵士に守られています。

「魔導士が壁内側に居ても」

そう言っても壁の上に登らせて貰えなかったのです。

替わりに紅蓮さんが壁に上がって指揮をします。

王国軍の元団長の肩書きは役に立ちます。


2・3回の攻撃で鳥系の魔物数が半数を切ります。

お昼までの苦労が嘘のようです。

トラ系の魔物が疾走してきます。

「魔法、放て!」

100人の魔法士が弾幕を張ったように撃ち降ろします。

さらに追撃の雨矢が襲うのです。

大型のニワトリさん、的が大きいのですべて討伐されます。

後で拾いに行きましょう。

勢いの削がれたトラは壁を跳躍するができません。

開口に回る前に少しでも数を減らして下さいね。

問題はくぐり抜けた奴です。

壁に取り付かれた限り、剣で対応して貰うしかありません。


そのトラ系の魔物に混じって、魔法攻撃も矢の攻撃も受け付けない翼付きのライオンが迫ってきます。

アイススピアー×3、アイススピアー×3……。

こいつは入って来られると厄介なので3点バーストで処理して置きましょう。

「ホント、あなたの発射スピードは異常ね」

「お姉さんもやりますか」

「やめておくわ。もう少し近づけば、外さない自信があるけど。この距離では避けられるかもしれないわ」

たぶん、嘘でしょう。


紅蓮さんの指示がドンドン早くなってゆきます。

次の魔物が次々と壁に迫ってきます。

空は鳥系の魔物が飛び、砦内にトラ系の魔物が何頭か入り込んでいます。

「32隊、トラを追い込め。18隊、援護射撃」

隊は10人1組で40隊あり、100人で中隊になります。

「第1中隊、抜けて来るぞ」

足の速い魔物が開口部から馬出を抜けて広場に入ってきます。

まず、弓で援護射撃を行います。

襲ってくる魔物をすばやく盾役が受けて、後の兵が槍が突きます。

「次が来るぞ」

レベルの高い魔物を相手に急な対応は大変です。

練度は高くても実践は違い、けが人が続出します。

けが人は土工が運び、神官が治療します。

神官さんも混じっていたんですね。


 ◇◇◇


「いたわよ」

魔導士のお姉さんがそういいます。

魔物の大軍に紛れて、黒い触手を背中に生やした黒いトラ?

トラと言うより黒クマじゃないかな。

その周りに大猿か、トロールのような魔物が走っています。

棍棒のようなモノを持っていることから知力があるのでしょうか?

今はそんな検証はどうでもいいですね。


アイススピアー×3


しゅぱん、3点バーストのアイススピアーが消滅します。

氷は魔法じゃないと思うんですけど…………はぁ、仕方ないか。

そう言って、足元に置いていた丈夫な槍を手に持ちます。

最近、使ってなかったレールガン擬き。

肩を開いて槍を投げる先に15陣の加速陣が現れて、槍が音速の20倍の速さで打ち出されます。

ぶしゅ!

瞬きより速い速度は黒クマが回避をする間を与えずに突き刺さります。

瞬殺です。


わぁ、ぱち、ぱち、ぱち、魔導士さんが手を叩いてくれます。

「凄いわね。脱帽だわ。実践ならこの国で一番に強いと思っていたのよ。その称号はあなたに上げるわ」

「遠慮します。お姉さんの方が魔力量も威力も上でしょう」

「そうかもしれないけれど、当たらない魔法は当たる魔法に劣るのよ」

「相手によります。それより探すのを手伝って下さい」

「ごめん、ごめん」

魔導士さんと一緒に黒クマを探し、接近するより早く処分します。

「あそこにいるわ」

「はい」

「今、出てきた奴」

「はい」

弾丸より速い槍の一撃を避けられる訳もありません。

「おい、槍が消えるぞ」

「軽く投げているだけだよな」

「当たっているのか」

「知るか」

俺が槍投げ体操でもやっているようにしか見えないのが欠点ですね。

「こんなものかしら」

邪魔ものがいなくなったようです。


魔導士さん、OKよと合図を送ります。

西側の魔導士三人が先行して、開口部に迫ってきた魔物が大規模魔法で処理します。

『ギガ・ウェイブ』

『爆砕火炎』

『連環地獄』

炎や風や雷と魔法は様々ですが、300体余りが一瞬で討伐されます。

少し待たせた分だけ、ちょっと大目に中に入ってゆきます。

それは中の人に任せて、魔導士は次の魔物に備えます。

そして、次が押し寄せてくると、東側に位置する魔導士さや生徒会長、領軍の魔法使いが撃つのです。

『業火爆風』

『業炎柱』

『迅双雷撃』

再び、魔物が消えますが、まだまだ後続が続きます。


大勢は決まりました。

壁から矢と魔法が続々と撃ち出されています。

集まる魔物から大規模魔法で倒されてゆきます。

1000体余りが処分される頃には森から魔物の出現率が減ってきました。

3000体を超えるという事はなさそうです。

もう時間の問題です。

暇になってきたのでアイスで鳥を落としておきましょう。

落としておけば、下で処理をやってくれます。

実に合理的に作業が進みます。

「後続の援軍も沢山の魔法使いを連れて来てくれるといいわね」

「そうですね」

髭伯爵さん、来てくれてありがとう。


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



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