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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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36.上田城というより松山城かな。

ゴーレム狩りに奮起し、タメオの大森林の到達を祝った丸焼きの肉と酒を浴びるほど食べて飲んで無防備に地面に寝転がります。

それを守るのはサポーターの兵士達です。

森から凶悪な魔物が襲ってくると考えないのでしょうか?

迂闊というか、度胸があります。

頂上部から少し戻った安全地帯まで戻っているのが小狡い所です。

そして、朝日に目を覚ますと、高い丘の頂上部に奇妙なものを見つけるのです。

土塁の高さ5m、幅1mくらいの砦に唖然とします。

一夜城、豊臣秀吉です。

「「「「「「「「「なんじゃありゃ!」」」」」」」」」

タメオの大森林の絶景が見えるように丘の頂上に家を建てた訳です。

朝日に照らされて、四方に壁に囲まれた屋敷が浮かびます。

インパクト絶好調です。


 ◇◇◇


土塁の高さ5mと言うのは目の錯覚です。

景観が損なわれないように実際の壁の高さは1mだけに抑えています。

しかし、それではゴーレムが侵入してしまいますから、壁沿い4mの堀を作ります。

その堀の外側にもう1つの溝を掘った二段掘りなのです。

掘って余った土で傾斜の付いた外壁に使いました。

実際、1mの壁しかないので家の窓から見えるタメオの大森林の壮大な景色が損なわれないのです。

下から見上げると二段の壁に守られた山の砦に見えるのです。


屋代に見えているのは合宿でも造った普通の家です。

野郎用、女性用、指揮官と兵用の3軒です。

頭の中にフォーマットが入っていますから簡単にできます。

時間が掛かる開き戸を諦めて、レールでスライドさせる横開き戸と窓にしておきます。

土金具を作るのは面倒ですからね。

もちろん、家の後ろには浴槽も作りました。

女湯と大浴場です。

どちらも露天風呂、但し、壁付きです。

せっかくの家風呂です。

好きな時間に入って下さいと言いました。

お湯が温かったらファイラーで温めて下さいと言ったら変な顔をされました。

「「えっ、ファイラーで?」」

そんなに変ですか。

熱かったら水を足し、温かったら温める。

変でしょうか?


 ◇◇◇


冒険者が来たら帰るつもりでいると、来たのは冒険者じゃなく指揮官のお二人です。

「申し訳ないが拠点用の城壁も建ててもらえないだろうか」

最敬礼です。

頭を90度も下げる最高のお辞儀です。

生徒会長さん、何も答えずに俺の方をみます。

「こんなものを見せられたら、帰して貰えないよ」

小公女さんが後ろから抱き付いてきて、そんな事を言うのです。

「土魔法の得意な人なら誰でもできるでしょう」

「私は無理。でも、土魔法の得意な子ならできるかも?」

「そうでしょう」

「うん、この周りの壁を作ろうと思えば、1日掛かりかな。でも、この家は絶対に無理。複雑過ぎよ」

「どうだ! やって上げてはどうだ。城壁があるとないでは生存率が随分と変わる。おまえが余り手柄を立てて目立ちたくないという趣旨は判ってきたが、そこを曲げてみんなを助けてやらんか」

紅蓮さんはやはり教官ですね。

痛い所を付いてきます。

「条件が2つあります。1つは俺の好きにさせて下さい。もう1つは最初から城壁があったということで押し切って下さい」

「さすがにそれは無理が」

「最初から城壁の砦がなぜかあったんです」

「判った。できるだけ進言しよう」

さぁ、はじめましょうか!


 ◇◇◇


小屋から出ると何故か小公女さんと紅蓮さんが付いてきます。

「なぜ?」

「付き添い」

「警護だ」

生徒会長とモリモリ君は丘の上から見学ですか。

どうでもいいでしょう。


何を作るか?

大阪城のような高い石垣で守りたいのが理想ですね。

でも、時間が掛かりそうなので却下です。


境界線の向こうが坂になっているので壁を作るだけで山城ぽっくなるでしょう。

山城ではないですが、地形を利用するなら真田が作った上田城です。

上田城は地形を利用して、敵を広い場所から狭い場所に誘導して左右から攻撃します。

丘の頂上へ向かう道を縦長の台形にしましょう。

誘い込みの道です。

道の先はコの字で囲んだ馬出の曲輪を逆にした壁を置き、左右を回り込んで入って来た魔物をみんなで取り囲んで倒せるようにしておきましょう。

うん、楽しくなってきました。


3m四方の溝を掘り、5mと4mの段差のある壁を作って置きます。

基本的に丘を囲むように作ることにします。

まずは正面です。

3m四方で幅5mを一気に液状化します。

土魔法はどうしてこんなにお手軽なんでしょう?

「わぁ、どろどろ」

「液状化といいます。土に水分を加えて少し揺らすとドロドロになってくれます。岩や鉱石が含まれると魔法の消費量が桁違いに増えますが、土だけなら10マジック程度です」

「そんなに少ないの」

「はい。これを変形という魔法で思いの形に変えます」

スライムのようにドロドロの土が壁の形に変化し、元々あった場所に溝掘が生まれます。

「うん、うん、それで、それで」

「今度は加えた水分を抜きます。すると土壁の完成です」

「わぁ、凄い。お手軽」

「このまま放置しますと、一晩で魔力が抜けて土くれに戻りますから、硬化の魔法で押し固めます」

「硬化って!」

「武闘派の魔法士が使う魔法です。武器や拳にエンチャントしているでしょう」

「そう言えば、やっているね」

「肉体強化と同じ感覚で壁を押し潰すと完成です。ホンの少しですが壁が小さくなったと思いませんか」

「そう言われれば、そんな気がする」

実際、5%ほど縮小しています。

但し、横幅は変わらないように圧を掛けています。

だから、実際は5mの壁ではなく、4.75mの壁になる訳です。

「凄い、凄い、君って、魔法応用の天才だ」

「だから、抱き付かないで下さい」

小公女さん、最近は妙に抱き付く癖が付いてきました。

液状化に10P、変形に10P、水抜きに10P、硬化に50P程度の魔法量を使用します。ファイラーに換算して8発分です。

できた巨大な壁に対して、格安の魔法量です。


3月の定例会の前に体力と魔力測定をして結果、俺の魔力量は43761ポイントに上がっていました。

順調、順調、成長期みたいです。

今日1日で500枚程度はいけそうです。

3日で縦横2kmの城壁を作りましょう。

紅蓮さんに王都で出会った彼女を呼んで来て貰います。

そして、彼女に城壁の予定を話し、地面に簡単な絵を書いて説明します。

「うん、判った。目印を付けていけばいいんだね」

「お願いできるかな」

「大丈夫、でもここは弓型に曲がっているから壁も弓側にした方かいい」

「他に何かある」

「ある」

丘は綺麗な平らではなく凸凹です。

まっすぐに引いているつもりでも曲がってしまうのです。

地形を無視して正方形の壁を作りたいなら整地をするべきなのです。

もちろん、時間がありません。

こっちこのラインで壁を作るのがいい。

正面以外は等高線に沿って壁を作りましょう。

正方形には程遠い形になりますが、地形を利用して壁を作るのが一番なのです。

上田城というより松山城かな?

石垣じゃないけど!


設計するのが楽しいのか?

彼女は色々とアイデアをくれます。

「この尾根とこっちの尾根がズレているから、横の入り口を作っても面白い」

「ここに返しを置いて、この窪みに追い込もう」

「それ、おもしろい」

二重のSの字とUの字で作る道は絶対に魔物の侵入を防いでくれます。

「後ろは簡単がいい。門は作れない」

「作れないことはないけど、時間が掛かる」

「なら、馬出の曲輪のみで」

「それにしよう」

彼女に目印のフラッグを頼み、俺は作業に戻ります。


昼になるとギャラリーが増えてきます。

「マジで早いな!」

「最近の学生はこういうのが得意なのか」

「知りませんよ」

「壁があるのはいいことさ」

「ないよりマシだ」

「ある方がいいに決まっているでしょう」

「中々にいい女を連れているな」

「あの熟女なんていじゃないか」

「この変態が」

感心しているのか?

呆れているのか?

それとも彼女達を眺めに来ているのか?

まぁ、魔物の出現率も増えて来ているので丁度いいです。

「敵が出たぞ! 囲え」

「俺の獲物だ」

「早いモノ勝ちだよ」

でも、冒険者が騒ぐから余計に魔物が寄ってくるんじゃないですか?

「ねぇ、ねぇ、階段を作ってくれない」

そう言えば、階段を作るのを忘れていました。

階段を作ると、アーチャ―の冒険者が上がってゆきます。

「上にいるから安心するな! 投擲があるぞ」

「何年、冒険者をやっていると思っているの」

なんか、なし崩し的に戦闘が始まっていませんか?

俺は壁を作るだけですけどね。

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