表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
133/198

30. 自称天才の尻ふき。

3月1日、学園の定例会の日です。

イザベルゼミが欠席していたので、王国遠征の予定と参加ゼミの発表が行われます。

自称天才がいるイザベルぜミの名が消えています。

段取り手順書を渡されて解散です。

予定表を見るだけでうんざりです。

5日後の王宮広場で出陣式が面倒ですね。

「4日後の晩餐会に出席するように招待状がくるかもしれません」

「えぇ~、嘘でしょう」

「王子が出席されるのが確実ですから、バランスを取る為に各ゼミの代表が呼ばれると思います」

お茶会のお姉さんを見ます。

「代理出席は無理ですよ。エスコートありならお付き合いさせて頂きます」

がっくり。

まぁ、そうですよね。


 ◇◇◇


王国遠征。

どうして王国がこんな茶番をしているのか言えば、

10年毎に1度ほど海嘯かいしょうという魔物氾濫期があるからです。

10年と言っても9年だったり、11年だったりするのでいつかは判りません。

俺が生まれてからまだ一度もないのでそろそろだそうです。

冒険者は常に魔物が数を減らすことを義務付けられ、王国も魔物退治しているという臣民に対するアピールです。

あれぇ?

なにかひっかります。

「説明をはじめてよろしいですか」

「どうぞ」

第1軍は領軍と冒険者の混成部隊であり、本日から先に砦に入って準備をします。

その司令官となる領主やその代行は王都に一旦結集します。

5日、第1軍に参加する領軍の代表は出陣式に参加し、先頭をきって王都から出陣します。王都がある中央区の貴族にとっての最大の見せ場です。

どこの領主が先頭に立つかを争っています。

今年はステイク領主の次期当主が先頭らしいです。

配置表には、次期当主の後に控える騎士の横に自称天才君の名前も載っています。

第2軍は王国軍で構成されており、出陣はお昼になります。

我々はそれをずっと広場で見送る訳です。

そして、翌日、王が姿を現し、皇太子が錫杖を貰って出陣です。

俺達、5日目は要らないじゃん。

6日、7日は途上の城壁町で宿営し、8日に出撃の城壁町に到着します。

9日は城壁町で出陣前の無礼講として町を上げて兵士に慰問が催されます。皇太子も将軍達を招いたパーティーで労うのです。

10日に第2軍が砦に向けて出陣し、事実上の作戦が開始となります。

11日に皇太子が遠征の発令を行い、第3軍が砦に向けて進軍し、総本部となる砦に入り、第2軍が最前線の砦に入って準備が整うのです。

第1軍は4日目まで砦に集結し、10日目まで草刈りと呼ばれる砦周辺の魔物討伐を終えていないといけないのです。

12~14日は第1軍が森の最奥に突撃を始めます。今年は砦から約15km先にあるタメオの大森林と呼ばれる所まで駒を進めます。タメオの大森林には凶暴な魔物が多く徘徊し、Aクラスの冒険パーティも無事に帰れるか怪しいと言われる危険地帯です。

15日に第2軍が整列し、タメオの大森林に突撃し、遠征本隊の戦いが開始されます。

同時に遊撃部隊が山側からタメオの大森林の後背を魔法の炎で焼き尽くす援護射撃を開始します。

今回の目的は、タメオの大森林の魔物を撲滅することとなっています。

作戦終了は18日です。

19日に第2軍が砦に戻り、第1軍は掃討戦に移ります。

20日に皇太子が作戦の終了を宣言し、軍の撤収を告げる訳です。

22日まで皇太子が一旦、王都に帰参します。

25日に改めて王都で皇太子を先頭に将軍を率いて凱旋式が執り行われます。

26日に表彰式、日が代わる頃に晩餐会が行われ、王宮として遠征の終わりです。

27日までに負傷兵などの帰参を終了する予定です。

28日に皇太子が貴族を召集し、砦の第1軍が解散を宣言されます。

29日に領主達に帰還命令が発布されます。

30日に表彰と慰労会が開かれて遠征が終わるのです。

長い、長いです。

うんざりです。

「私達は20日に作戦終了と同時に任を解かれます。21日から前回と同じ場所で5日ほどの短期合宿を行ってから学園に戻ってきます」

お茶会のお姉さんがガルゼミの予定を全員に説明します。

20日でパージして貰うのはありがたいことです。

逆を言えば、皇太子を守るのは近衛の1000人で十分という事でしょう。

この数なら王都まで1日で帰れますからね。

第2軍は王国軍ですから解散はできません。

最前線を戦っているのですから死傷者が続出でしょう。

全員が王都に戻ってくるのは28日頃でしょう。

4月になると帰国ラッシュがはじまるのですから忙しいです。

この説明は要りませんね。

ホント閑話休題です。


 ◇◇◇


予定を説明していると、生徒会長と第3王子がガルゼミとあと一人を連れて訪れます。

「どうかしか? 生徒会長は明日からの予定で忙しいだろう」

「そうですね。本来なら今日から軍の本部に行って、学園生徒の最終配置と遊撃部隊の段取りを打ち合わせする所ですが、そう言う訳にも行かなくなりました」

打ち合わせと言えば、スマートに聞こえますが、実際はどこの部隊が危険な役割を担うかという椅子の分捕り合戦です。

生徒を最前線に送ることになりかねない危険な交渉です。学園長と主任教授と生徒会長の三人でどれだけの生徒を守れるかが問われるのです。最悪、アルゴ学園の生徒を守る為に他校の生徒を生贄に送るという嫌な役目も担うのかもしれません。

「まずは謝罪させて頂きます。私が浅慮な作戦を進言した為に我が校は苦しい立場に置かれています」

第3王子が頭を下げます。

皇太子に合いに来た将軍に山越えに挟撃のアイデアを王子が出したことは聞きました。我々のクエストの結果、安全に通過できる目途が立ったので、『ゴーレム駆除』が平行して行われた訳です。

調査から駆除に切り替わった訳ですね。

第3軍に所属のAクラス冒険パーティ10組と特別編成2組を加えた12組を3チームに別けて、ゴーレム駆除が始まった訳です。

特別編成の1つがイサベルゼミの上位者12人であり、自称天才君も含まれます。

「イザベルゼミのゼミ生は第1軍に参加する予定だった12人が特別編成に参加し、結論だけ言えば、半壊状態で帰還した。死人がでなかった事が幸いだが、重傷者が3名、魔法治療を続けてもあと1ヶ月は入院が必要と判断される」

自称天才君も重傷者の一人だそうです。

どうせ功を焦って、突貫したんでしょう。

Aクラスが4組もいれば、普通に勝てる相手です。

「イザベルゼミを救出する為に何人か負傷したパーティは遠征から離脱を表明し、残る2パーティは他の2チームに合流して作戦を続行した。しかし、作戦領域は駆除できない地域が残り、その駆除を我が学園に求めてきた」

「すみません。これも私に責任があります。優秀なAクラスの冒険者や近衛の一部が戦闘に加わっても巨大ゴーレムを討伐できるガルゼミのみなさん、そして、学園最強の生徒会長が残るので問題ないと説得に協力してしまいました。こういう事態になると思わず、申し訳ありません」

要するに、10日まで生徒会長や俺らに仕事がないから、ゴーレム駆除に使えるじゃないかと白羽の矢が飛んだ訳です。

ふざけるな!

声を荒げたい所を押さえます。

「がは、がは、がは、いいじゃないか。見せ場のない俺達に見せ場が生まれた。成功すれば、皇太子の覚えもめでたい。最高じゃないか」

「誰ですか?」

後ろにいた筋肉マンのようなマッチョが騒ぎます。

生徒会長を含めた学園のビックスリーの一人だそうです。

ビックスリーね。

ビックスリーさん、北の総領主であるフランク城壁市の隣の市に住む貴族でそうです。

向上心が高く、立身出世を夢見ていると公言します。

自分でいいますか!

「彼はすでに王国軍に士官候補生として入隊することがきまっている」

「がは、がは、がは、後は北の大将軍になってみせるぞ。という訳で、小僧、北の出身らしいな! 俺に手を貸せ、いずれはおまえも引き上げてやる」

「そういうのは結構です。田舎でのんびりと暮らしたいと思っていますから」

「何を言っている。男だろう! 果ては大将軍を目指そうと思わんのか!」

権力に擦り寄ってもいいように使われるだけです。

と言うモノの、皇太子が絡んでいるんでしょうから断れないのでしょう。

引き受けますよ。

糞ぉ!

自称天才君、最高の嫌がらせですな。

あいつは俺の邪魔ばかりするな!


 ◇◇◇


作品の向上の為に、


『 評価 』


だけでも付けて頂けると幸いです。


よろしく、ご協力下さい。


お願いします。


作者:牛一/冬星明



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ