表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
129/198

26. 勝手に予定を変えないで下さい。

アルゴ学園の2月の定例会議。

月初めの午前に開催され、ゼミの代表20人が一同に集まる円卓会議式になっています。生徒会長が初めにウガラスゼミの代表を降り、第3王子に席を譲った事を告げ、次に代表が代わったイザベルゼミの自称天才君、ガルゼミの俺が紹介されます。

「生徒会長、私はイザベルゼミの代表として、ガルゼミにゼミ戦を申し込みます」

「それは許可できない。イザベルゼミ、ガルゼミの双方は3月の遠征に参加することに決まっている。貴重な戦力をゼミ戦で消耗するのは生徒会として許可できない」

ゼミ戦?

また新しい言葉がでます。

「ゼミ戦というのは、剣戦、魔法戦、論議戦の三戦で戦う団体戦です。ゼミ同士のイザコザの問題解決の為に行われます。死人が出ることもあるかなり過激な戦闘が行われる総力戦のことです」

「ウチとイザベルゼミの間にイザコザってありまいた?」

「私は何も聞いておりません」

後ろに立っている副代表のお茶会のお姉さんが耳打ちをしてくれます。

その小さな声が聞こえたのでしょうか。

「我がイザベルゼミの生徒がガルゼミの生徒に決闘で恥をかかされた。汚名を着せられたままでは潤滑な運営もできないだろう。ここはゼミ戦で白黒付けるべきと思わないか」

「生徒会長、副代表である私に発言権がないのは十分に承知しておりますが、個人的な見解をお持ちの方がいらっしゃるので発言を許可して頂けないでしょうか」

「許可しよう」

「まず、先日行われました城壁市戦の 決闘(デュエル)の決着は、我がエクシティウムの敗北が決まっております。再戦を望まれるのでしたら、こちらはいつでも受けて立ちます。個人的な恨みからゼミの方を捲き込むのは止して頂きましょう。決闘はいつでも受けて立ちます。但し、今度は各領主様から双方の首が飛んでも異議申し立てしないという約定を頂くことになります」

そう言い終えると、お茶会のお姉さんは一礼をして後ろに下がります。

「議長、私も意見を述べてよいでしょうか」

「許可しよう」

今度は第3王子です。

「ゼミ戦を行うというのでしたら私は賛同します」

反対してくれると思っていたが違うのか?

「先日、彼らと合同クエストを行いました。ゴーレム1000体と互角に対峙し、20mの巨大ゴーレムを一撃で倒すガルゼミの皆さんの前に、我がゼミの1・2回生はほとんど役に立たず大恥をかかされたばかりです。ゼミ戦を行う前にイザベルゼミで王国の特別クエストを引き受けてどうでしょうか。もし、無事に帰還できたなら生徒会長を説得して、ゼミ戦をできるようにしてあげましょう」

「おい、おい、勝手なことを決めて貰っては困るな」

「そうでしょうか? もし、生徒会長が参加したとして、全員無事の帰還できると断言できますか」

「無理だな。全員無事は保障できん」

ざわ、ざわ、ざわ、各ゼミの代表が副代表や隣のゼミと小言で話し掛けて円卓がざわつきます。

「おい、あの新人は生徒会長より凄いってことか」

「さすがにそれはないだろう」

「20mのゴーレムを一撃で倒したのは新人という裏は取れています」

「冒険ギルドで魔石採取の条件にゴーレム1000体というのがあります。そのことでしょう」

「とんでもない新人が入ってきたな」

意地の悪い王子様です。

これではガルゼミの活躍でウガラスゼミの生徒が無事に帰還できたみたいの聞こえたじゃないですか?

いいんですか。来年度以降のウガラスゼミの評価がダダ下がりですよ。そして、学園最強の生徒会長がいても同じことができないと言わせた。

イザベルゼミの副代表が自称天才君に一旦ゼミ戦を下げるように進言しています。

それに自称天才君がもう激怒です。

王国軍の特別クエストを引き受けると言っていますよ。

がんばって下さい。


 ◇◇◇


大荒れの2月の定例会議ですが特に決議することもなく解散です。

自称天才君が特別クエストから帰ってきたらゼミ戦だからなと言って去っていきました。

特別クエストの攻略法は1km進んだ後に500m戻ることです。

一度倒されたゴーレムは魔石が再結晶するまでしばらく復活しません。

つまり、物量戦で通過するルートのゴーレムを根こそぎ先に倒せば、王子が提案した山側からの挟撃が可能のなるのです。

すでに王立軍と冒険ギルドには同じ報告を上げています。

退路のゴーレムを先に倒しておけば、生存率も上がるというものです。

顔面岩は20km置きくらいに点在しているので、軍隊の安全を確保するには最低20体、最大100体近い巨大ゴーレムを討伐する必要が出てきます。

イザベルゼミが次の区画を攻略することを祈りましょう。


 ◇◇◇


2月からガルゼミは実践訓練の予定でしたが、ゴーレム戦で見せたスリーマンセルの練度を上げる為に練習が1週間延期されます。

場合によっては2週間になるかもと言った瞬間、お茶会のお姉さんがガルさんに詰め寄ります。

「1週間ですか、2週間ですか。こっちも予定があります。どっちかはっきりして下さい。そうして貰わないとこちらは大きな損害でます。こちらも行政府から引き受けた依頼を完遂する義務があります。簡単に予定を変更して貰うと困ります。判りますか、行政府の依頼を受けています」

「済まない。悪かった。1週間だ。1週間だけ」

「判りました。1週間ですね」

「今度から急な予定変更したら違約金を貰いますよ」

「判った。気をつける」

ガルさん、その気迫に呑み込まれます。

「なぁ、参考に聞くが、違約金はいくらぐらいだ」

「そうですね。全額なら金貨2000枚ですね」

「2000。そうか、気を付ける」

「大丈夫です。3週間あれば、十分でしょう。後で請求するようなことはありません」

「うん、悪かった。申し訳ない」

荷馬車10台分を全額弁償させるなんてことありませんよ。

たぶん!

昨日、最初の長荷馬車が納品されました。

車体と車軸が別構造になった二重構造と木組み組んだサスペンション擬きを組み込んだ最新型の荷馬車です。

これで強度が確認できれば、大型の貴族用馬車を造って貴族に売り付けると鼻息を荒くしています。

大型の貴族用馬車は通常の馬車構造の後部に荷物置き場と護衛を一緒に乗せるスペースを作ります。巧くいけば、馬車を何台も引き連れて移動する必要がなくなり、中堅以下の貴族には魅力的な馬車になるでしょうとお茶会のお姉さん談です。

明日からテスト運用のつもりだったので、ギルドに御者の依頼を出してありました。

ガルさんと打ち合わせを終えると、お姉さんは馬車に乗って冒険ギルドに急いで向かいます。明日の予定を来週に引き伸ばし、さらに納品されてくる2台分の御者の依頼をする為です。

すでに決まっている場合は違約料を支払って来週にして貰う必要も出てきます。

明日ですから決まっているでしょうね。

こちらは相場が高いので日当銀貨8枚が10日間で銀貨80枚、その半額が違約金になります。しかし、日当銀貨8枚はかなり安い額で、最低2食を付けるという条件が含まれていますから、1食分の補填も含めると銀貨10枚は上乗せを言われるかもしれません。

帰ってきたお茶会のお姉さんに聞くと、わざわざ隣のコロニーまで出向いて御者の人に会って来ています。

「はい、銀貨80枚を手渡してきました」

太っ腹です。

「小金を惜しんで信頼を失うより、信頼を買いました」

キャンセルが入っても全額支払ってくれると噂されれば、安定を求めて御者が集まってくると考えたようです。

「まずは5人、最終的に10人を選ぶつもりです」

うん、そうだと思いました。

相場の銀貨10枚にしなかったのは高い仕事があれば、すぐに移り変わってゆく、心変わりの早い御者を避けたからです。

まぁ、少し高い相場を言えば、王都ですからすぐに御者は集まってきます。

御者を探すだけなら、屋敷の御者に頼んでもいいのです。

無理ならメイドさんでも問題ありません。

御者くらいはメイドの嗜みらしいです。

それをしないのは旅団に使える人材を探しているからです。

屋敷の人にも長期で御者ができる人がいるなら紹介して欲しいと頼んであります。

今回、雇用される御者が旅団の試験を兼ねているなんて思いもしないでしょう。

そして、旅団から帰ってくるとレンタル荷馬車の定時運搬としても雇うつもりなのでしょうね。

前世は世界を飛び回ったビジネスマンの俺ですが、俺より商才がありますよ。

11歳の黒髪の少女は頼りになります。

「どうかしました?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ