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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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17.王室の晩餐会。

朝からそわそわバタバタの二人のお姉さん。

伯爵家のドレスとアクセサリーを借りて何度も着替えを繰り返します。

王室の晩餐会になると普段のドレスではいけないとか?

「こんな高そうな服は着たことないよ。見て、このキラキラのシルク、お値段を聞いたら気絶しちゃうよ。あぁ~汚したらどうしよう」

「本当よね。服で悩むのは久しぶりだわ。基本的に失礼に当たらない程度に抑えているのだけれども、今回ばかりはその程度が判らないわ」

赤毛のお姉さんは髪に合わせて、真っ赤な赤いドレスが似合うと思います。

お茶会のお姉さんは黒い髪と白い肌が際立つ純白のドレスが一番と思うのです。

「「それは駄目です」」

「あの赤はお姉様が万が一の為に用意した超特注品らしく。特殊な魔物の赤い糸で編んであるそうです。歩く度に赤い波が生まれて、見る人を惹きつけること間違いなし。場違いです」

「あの白はいつか着たいと思いますが、あれは主役が着こなすドレスです。家臣が主人より目立ってどうするのですか。もっと自覚を持って下さい」

はぁ、どちらも目立ち過ぎる服は駄目だそうです。

今夜来るのは伯爵以上の方しかおられないとか?

えっ、現当主の領主伯爵様も出た事ない。

二人も緊張する訳です。

昨日、正気を取り戻した二人からキツい追及を受けました。

俺が知らない間に何をやったか吐きなさいって。

でも、知らないものは知りません。

「また、私たちの知らない所で何かやったのよ」

「はい、それしか考えられません」

失礼な!

本当に身に覚えがないんだよ。


 ◇◇◇


晩餐会場に向かう馬車の中で、お茶会のお姉さんからレクチャーを受けています。

王室というのは、王様(後見人)、宰相、三公の5人で構成される国の意志を決定する機関だそうです。王様が成人していいない時は、後見人が代わって参加しますが、現国王は高齢なので後見人はいません。三公と言うのは、ロムス家、レムス家、エスクイ家の三侯爵の事です。宰相も三公も王の相談役ですが、王が不在の折りは、宰相が国の意志を定め、三公が承認すると国の意志となります。

「王が不在ってことがあるんですか?」

「よくあります。魔物討伐の最前線に出陣している場合、各地の様子を見に外遊をする場合は何ヶ月も王都を留守にする事になります。そのとき、王に変わって国の運営をするのが宰相と三公となります」

「なるほど」

「しかし、現国王は高齢であり、ほとんど実務ができない状態なので、宰相と三公がほとんどの実務を取り仕切っております。歴史史上で稀に見る宰相三公体制は、近年で最も三公の権威が強いと言われています。レムス家の現当主様は国王と同格に匹敵するお方です」

お茶会のお姉さんは自分で言って身震いをしています。

それを聞いて、および腰になる赤毛のお姉さん。

「やっぱり、私は馬車に残るよ」

「私を一人にしないで下さい」

お茶会のお姉さんは必死に縋り付いて一緒に連れて行こうとします。

「何なら俺一人でも」

「「それは駄目です」」

駄目だそうです。

馬車は王宮の門の前で止まり招待状を見せると、検査も何もなしで通してくれます。

会場、デカいです。

東京ドーム1つ分くらいの大きさです。

警護も凄いです。

装備の装飾が鮮やかな近衛が警備に当たっているようです。

長い回廊を歩くと執事のような人が出迎えてくれて、招待状を手渡すと大きな門の前まで案内してくれます。俺は二人のお姉さんをエスコートするように手を添えて立っていると門が開き、俺の名前が読み上げられます。

その名前を聞いて、少しざわめきが起こります。

そりゃ、そうです。

貴族の冠すらない名前が呼ばれたのですからびっくりするでしょう。しかし、そのざわめきもすぐに収まるのが上級貴族という者でしょう。

入場すると主賓の元に案内され、招待されたことのお礼を述べます。

「孫がいつも君の事を褒めおってのぉ。一度は会ってみたいと思っておった。これからも期待しておる」

「期待に添えるか判りませんが、努力いたします」

「今日は楽しんでくれ」

挨拶が終わると適当に移動します。

場所を開けないと次の人があいさつできませんからね。

背中に痛い視線が矢のように刺さります。

会場の隅に移動させられて孫って誰かと追及されますが、知らないモノは知りません。

「孫というのは私の事です」

ふり返ると懐かしいマリアさんがいます。

俺が「マ・リ」と口走ろうとすると、口を封鎖されます。

ここではマリアという名は厳禁だそうで、本名で呼ぶように言われるのです。

別に隠している訳ではないそうですが、貴族の嗜みとして公私の区別として、公式の場でその名前を口にするのは禁止だそうです。

所謂、公然の秘密です。

マリアさんはおじさんが現当主ですが、子爵家の従兄と結婚したことで晴れて自由の身となったマリアさんは休暇を利用して旅行などを楽しんだそうです。俺が出した『マリかの』を見つけて、飛行船に乗って飛んで来られたのも子爵夫人という気儘な身分だったからです。

マリアさんのパトロンはレムス家の現当主であり、『マリかの』を最初の連名で予約を入れてくれたのも現当主様、『マリかの』を図書館に寄贈すると決めたのも現当主様です。

マリアさんのパトロンとあると同時に、俺のパトロンだったんですね。

ありがとうございます。

「本当は何度か遊びに行くつもりだったのよ」

「何かあったのんですか?」

「え、え、おじいちゃんが余計な事をしたから王都から気軽く出れなくなっちゃたのよ」

よく判りませんが、その手の話は日を改めてゆっくり話がしたいということです。

まさか、こんな所で再会するとは思いもしませんでした。


 ◇◇◇


マリアさんが話していると意外な、否、意外でない人物が声を掛けてきます。

「こんばんは」

「王子。こんばんは」

「先日はお邪魔しました」

「ご機嫌麗しゅうございます。殿下をお邪魔だと感じる臣下がどこにいるのでしょうか」

「親同士、堅苦しいあいさつは無用です」

「心得ました」

マリアさんが訂正に後ろのガードマンのような体格のいいおじ様に頭を下げます。

マリアさんが改めて紹介してくれます。

えっっっっっっ!

第3王子のガードマンじゃありませんでした。

皇太子本人です。

先日のお礼と言わなくちゃ。

「その前に非礼を詫びるべきです」

「とにかく、謝りましょう」

慌てる俺に動揺を隠せないお姉さんらです。

「平に、平に、お許し下さい、

俺とお姉さんらととにかく謝った。

「は、は、は、私は孫の付き添いに過ぎない。この子と仲良くやってくれたまえ」

皇太子さま、いい人でした。

「意外でした。まさか、彼も叔母様と知り合いとは思いませんでした」

「それは私も方も同じよ」

第3王子はコロシアムの試合の事を話し、同じ学園になった事を告げます。

王子はマリアさんのことを叔母様と言っています。

叔母様?

何でも第3王子の兄、第1王子の嫁になる娘さんのお母さんであり、いずれ義理の叔母さんになるらしい。未来の国王の義理の母君になる訳か。

凄い話です。

「全然、凄くないわよ。王都から気軽く出れなくなっちゃたじゃない」

「あは、は、は、仕方ないですよ。兄上に子供が生まれたら、その子は未来の王様です。未来の王の御祖母様ですよ。何かあったら大変じゃないですか」

「何言っているの。その頃はもうおばっちゃんになって王都にいませんよ」

「判りませんよ。ころころっと亡くなって明日には皇太子の母になっているかもしれません」

「おい、おい、私まで殺さないでくれ。父上や祖父が早死にしている家系として冗談で済まされないぞ」

「そうよ。王子じゃなかったら、不敬罪で首が飛ぶ発言よ」

おい、あぶない会話で俺達を捲き込まないでくれ!

「何を慌てているんだよ」

「きわどい会話は止めてくれ! 心臓に悪い」

「は、は、は、爵位もない君は伯爵家に喧嘩を売ったと聞いたぞ。それに比べれば、おじじと話すくらいは大したことでもないだろう」

「そりゃ、皇太子様はいい人だから怖くはないけどさ。これだけ聞き耳を立てられている状況で危ない話は止めてくれ」

「は、は、は、そんなことを気にするのか。やはり君は面白い」

そう言うと第3王子は皇太子に耳打ちをし、皇太子が何度か頷きます。

嫌な予感しかしませんよ。

話し終わると、皇太子が俺の前で膝を少し崩します。

「この子が君と一緒にクエストに出たいそうだ。お願いできないだろうか」

そう言って頭を少し下げるのです。

ざわ、ざわ、ざわ、ざわ、ざわ、会場がひそひそ声で沸き立ちます。

ヤラレタ!

「承知しました」

俺は皇太子より深く頭を下げて了承します。

皇太子に頭を下げさせる。

なんて事をするんだよ。

悪魔か!

あっ、お姉さんらは固まったままで動かなくなりました。

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