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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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16.そういえば、荷馬車を買いに行ったのでした。

11日は始業式です。

昨日まで慌ただしかった伐採場も一段落です。

何でも大規模な伐採するときはクエスト依頼することで、お茶会のお姉さんと若い親方さんの間で話が付いたそうです。

大門が完成するのが1週間後、それから大々的な伐採場を建設するそうです。

建設資材を調達する為に、1週間後にクエスト予約が入っています。

新パーティの結成ですが、俺はすでにパーティ『シスターズ』に入っていますし、退会する予定もないので、パーティ代表はお断りしました。

パーティ代表はお茶会のお姉さんです。

パーティ名は『エクシティウム』と城壁市の名前から取りました。

構成メンバーはごめんなさい。

家臣登録した生徒は主人と同じゼミに所属するとかで、No.1、No.2、便所掃除さんの3人がガルさんのゼミに加わります。

この便所掃除は俺が付けた仇名じゃありませんよ。

さすがに酷いでしょう。

寮宿では新入生が便所掃除を受け持ちます。

寮宿の掟みたいなものです。

彼は体も大きく、武術も優れているのですが、父親が爵を貰って日が浅い為か、貴族に頼まれると断れない性格らしく、他の4人分の便所掃除を引き受けると、そりゃ毎日になりますよね。

という訳で、わずか10日で仇名が決まったとか。

酷い話です。

それはともかく、参謀一人に剣士4人のパーティはバランスが悪いですね。

どうせ荷物持ちですから問題ない。

そうですか。

お茶会のお姉さん、何気にあの3人にキツいですね。


 ◇◇◇


1月のみ、始業式は11日になります。

王立アルゴ学園は総勢240名が顔を揃えるのは始業式と終業式のみです。

学園長が新入生を歓迎する挨拶をすると生徒会長のあいさつと連絡事項を行って解散です。始業式が終わると隣の会場で歓迎式典が行われます。

新入生の本当の挨拶が始まる訳です。

ガルゼミの代表はちょびさんになるのですが、庶民の出身ということで完全に無視されていますし、料理をタッパに入れることに忙しそうです。よく見れば、ちょびさんに率いられて、バーボン、スコッチ、アイリッシュも続きます。

恥ずかしいとお茶会のお姉さんは頭を抱えます。

赤毛のお姉さんは笑ってすませそうです。

No.1、No.2、便所掃除さんがゼミの先輩を排除に向かいます。

「今年のガルゼミは愉快な方が増えたようですね」

そう言ってあいさつをしてくれたのが、先ほど壇上で挨拶をしていた生徒会長さんです。魔道の第一人者ウガラス魔導師のゼミに所属している秀才だそうです。

ガルゼミの行動は学園の風物詩みたいなものと笑ってくれます。

1年飛び級でまだ満12歳です。

子供に毛が生えた程度のなのに大人ぶっているのはどうでしょうか?

始業式から歓迎式典まで、自称天才がずっと俺を睨んでいます。

彼もこの学園だったんですね。

明らかな敵意、行動が子供らしいと言えば、子供らしいような気がします。

「失礼します。私もあいさつをさせて貰ってよろしいでしょうか」

「王子をお止する者などいるハズもございません」

生徒会長さんが横に寄ります。

声を掛けてきたのは、俺を推薦してくれた皇太子のお孫さんだとお茶会のお姉さんが耳元でささやいてくれます。

「これは失礼。この度は皇太子さまより推薦を頂き歓迎の極みでございます」

「頭を上げて下さい。私が推薦した訳ではありません。お爺様がされたことです」

「では、お爺様に礼を言っていたとお伝え下さい」

「畏まりました。お伝えしておきます」

おぅ、完璧だ。

俺にしては中々いい感じだったと思う。

「ところで試合を見せて頂きました。私より1つ下だというのに凄い魔法がお使えるになるのですね」

「私も見ておりましたが素晴らしい魔法でした。我がゼミに入って貰えれば、王子と競って切磋琢磨できたと確信しております」

「本当ですな。少し残念です」

王子さまもウガラスゼミの生徒らしく、本人は謙遜していますが、8歳で高等科に入学した天才少年と讃えられているそうです。

生徒会長曰く、俺が1月生まれで、王子が12月生まれ、年を跨いでいるので最少入学年齢こそ違いますが、実際はさほど差はないと褒め讃えます。

実際は1ヶ月しか違わないんですね。

「これからよろしくお願いします」

「こちらこそ」

中々に感じのいい王子さまです。


 ◇◇◇


あいさつに疲れてゼミの教室に戻ると、企画室の職員さんが待ちかねていました。

「いったい、何時間も待たせるつもりですか」

歓迎会はあいさつの場で遊んでいた訳じゃないですよ。

先輩らは喰い過ぎて動けなくなっていますが、俺はほとんど食べた記憶がありません。

なんか、ガルゼミの代表者みたいにみんなが俺にあいさつに来るんですよ。

「今年の目玉の生徒を完膚なきまで叩きのめした効果だね」

「そうですね」

今年の目玉っていうのが、自称天才くん。

今年の第一推薦者だったそうです。

俺、勝っていませんよ。

「そんなことより、私の話を聞いて下さい」

企画室の職員さんが怒ちゃいました。

彼女は領主と話し合って、伐採場の20年間税免除を勝ち取ってきたそうです。

20年もすれば、辺りは切り倒して使い物にならず、新しい伐採場を作り直す必要が出てきますから伐採場としては用済みです。

中々にあくどいです。

「長荷馬車はどうなりました」

お茶会のお姉さんが聞きます。

そう言えば、そうでした。

元々、クエスト用の荷馬車を調達に行ったんですよね。

伐採場を作ることに熱中して忘れていました。

「最初の5台はこちらで今月中に納品して、1ヶ月間の試運転をして欲しいとのことです。問題がなければ、旅団の荷馬車に採用するそうです」

「30台、いけましたか」

「申し訳ございません」

お茶会のお姉さんに企画室の職員さんが頭を下げます。

20台までは無償まで勝ち取ったそうです。しかも1台に2頭の馬を付けて、テスト用の5台も無償ならいいんじゃないですか。

「何言っているんですか。伐採場の開発費を費用に計算したら、いったいいくらになると思っているんですか」

えっ、お茶会のお姉さんに怒られました。

伐採場の開発費、6ヶ月程度の作業員と護衛の費用がいるそうです。

食費等込みで1人当たり小金貨10枚と換算し、120人を6ヶ月間雇えば、小金貨21万6000枚、金貨に換算して7200枚になります。馬車1台が金貨250枚くらいの相場ですから28台分に相当します。

「長荷馬車が特殊と言っても馬車より安い訳ですから向こうは大儲けです。30台無償でもこっちは大損です。判りましたか」

「はい」

お茶会のお姉さんに怒ると凄く怖いです。

「クエストを継続的に引き受けるという条件付きですが、企画局が依頼する仕事は定価の半額にしてくれると約束してきました」

「仕方ありません。それで手を打ちましょう」

「ありがとうございます。それではその条件で契約を正式に結んでまいります」

「よろしくお願いします」

「お任せ下さい」

「金貨2000枚ほどが浮いてきましたから何に使いましょうか」

「何がいいでしょう」

へぇ?

確かに来月には北の冒険ギルドから荷馬車10台分の予算が送られてきます。

お茶会のお姉さん、金貨2000枚を使って一儲けするつもりですよ。

「とりあえず、街道沿いに売れる商品を積んで、街道で買える商品をリストアップできますか」

「3点交易ですね。判りました。用意しておきます」

「よろしく。お願いします」

二人とも逞しいな!

そんな風に眺めていると、企画室の職員さんが俺の顔を見て思い出したように封筒を取り出します。

レムス家の家紋入りの封筒です。

レムス家って何ですか?

お茶会のお姉さんと赤毛のお姉さんが固まっています。

「凄いお坊ちゃまと思っておりましたが、まさか王室とも繋がりがあるとは脱帽です。式典院の方と話すなど滅多にありません。レムス家主催の晩餐会のお誘いです。お坊ちゃまは我らの希望の星です」

はぁ?

言っている意味がまったく判りません。

言うだけ言って、企画室の職員さんが元気な声を出して部屋から出てゆきます。

おい、おい、固まった二人をどうかしてから行ってよ。

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