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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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14.情報収集できるかな?

背負子に魔物を積んで砦に帰参します。

辺りの地形をガルさんが説明しながら帰ってので、意外といい時間になってしまいます。ゴミムシの中身は売れないそうなので中身を穴に捨てて処理を終えます。

ガルさんが牛くらいのカエルを討伐してたので、今日の晩御飯はカエル料理です。

カエルの肉は鳥肉に近いのでコショウと塩とワインで下ごしらえして、採取した薬草を野菜替わりに使用します。薬草はそのまま使うと苦いものが多いので軽く湯通しするとシャリシャリして美味しくなります。

ただ、湯通しすると薬草成分が逃げてしまいますので効用は下がってしまいます。

気にしなくていいでしょう。

幌馬車からお姉さんが食器を出して並べて行きます。

おいしい匂いに釣られて兵士とか、他の冒険者もやってきます。

狩ってきた魔物の串焼きだけでは飽き足らないようですね。

シチューは大目に作りましたから分けて上げましょう。カエルのステーキと他の肉やドライフルーツなどとトレードすれば、より美味しくなるというものです。

なんか、大騒ぎの宴会になってしまいました。

食事が終われば、洗いものです。

旅団でいつもやっていたのでお姉さんらも慣れたものです。

それが終わると小屋の軒を借りてシーツで遮蔽すると、土魔法で少し大きめの風呂桶を作ってお風呂を沸かします。

レディーファーストです。

お姉さんが上がった後にゆっくりと入らせて貰うのです。

「坊主は芸が細かいな」

「一緒に入りますか?」

「そうさせて貰う」

ガルさんと一緒にお風呂をします。

大きめに作って正解でした。

「土魔法が得意というのが嘘ではなかったんだな」

「嘘なんかいいません。俺の得意な魔法は生活魔法です」

「生活魔法?」

「はい、防御用の壁も作れますが、風呂桶を作る方が好きです。水を張って、お湯を沸かす。暑く寝苦しい夜は風も使います」

「生活をよくする為に使うから生活魔法か」

「はい、おいしいモノを食べないから魔物を狩りました。最初の獲物はホーンラビットです。兎の肉はカエルより美味しかったですよ」

「は、は、は、生活をよくしたいだけの魔法が得意ということか」

「そうです。兄と姉で狩りに行っていたので、あぁいう魔法が得意になりました」

もちろん、防御壁魔法のことだ。

そして、ガルさんも気が付いています。

「ガルさんは俺のことをどこまで知っているんですか? 誰に頼まれて俺のことを調べているんですか?」

「それを俺に聞くか」

「周りくどいのは嫌いです。最初の使いに選ばれるにしては、ガルさんは俺の好みに合い過ぎです。格式の高い王立ならもっとマシな教授を護衛に付けるでしょう」

「は、は、は、頭もいいな!」

「答えられませんか?」

ガルさんがお湯を手ですくって顔に被せます。そして、ゆったりと風呂桶の端に腕を掛けて寛ぐのです。

「答えることができないな。というより、何も聞かされていない。俺に依頼して来たのは機密院の連中だ」

「やっぱり」

「やっぱりというのが思い当たることでもあったのか」

「高等科への推薦書を送って来ました」

「そういうことか。なるほど」

ガルさんが学園長経由で機密院から俺に会う機会を作るから王立の推薦状を渡して欲しいと頼まれたそうです。教授一人に付き推薦状を1枚発行する権利を持っています。

学園長に頼まれてはガルさんも断れません。

ガルさんは俺の情報を何も聞かされず、見た間々の俺を学園長に報告することです。

決闘の噂くらいは聞いたそうです。

後は学園長の指定で俺に会いに来たと。

「は、は、は、皇太子から勝手に推薦も貰ったときは助かったぞ。あいつは俺の出身地が同じ庶民でな。身丈もあるから鍛えれば、モノになる。俺が直々に鍛えてやろうと思っていた訳だ」

アイリッシュには声を掛けていたのですが、俺に推薦状を使うと足りなくなるので他の学園を紹介するつもりだったといいます。

それは運が良かったのかな?

「機密院って所は、国家に盾突く反逆者を処分する所であると同時に、国家に有益な人材を探し、ひっぱり上げる存在でもある。坊主には迷惑かもしれんが、連中からすれば、王都に召還し、王立に推薦状を届ける。恩を売っているつもりなのよ。は、は、は、笑える話しだ。あぁ~思い出した。学長からの伝言だ。移りたいゼミがあったら言ってほしい。できる限り、移れるようにさせて貰うと言っていたな」

皇太子の推薦状を貰ったので、その伝言が有効かどうかは微妙です。

そりゃ、そうでしょう。

このゼミを選ぶということは、他のゼミを袖にしたことになります。

やっぱり移りたくなったと言っても嫌でしょう。

もしかすると。

機密院の連中は王立卒業生で構成されているのかもしれません。

これで恩を売っているつもりなのでしょう。

判りませんね。

お風呂を上がると、他の人も待っていました。

どうぞ、どうぞ、好きに使って下さい。

毛布に包まって寝始めると、背中をつんつんと突く人がいます。

お風呂が温くなったので温めてほしい?

自分で沸かせよ。

やってあげましたけどね。


 ◇◇◇


翌日は水辺で狩りです。

水鳥系の魔物もいますからクロスボウの出番です。

えっ、いつものように俺が狩ればいいって?

やりませんよ。

1トンや2トンの魔物の死骸を誰が運ぶんですか。

今日と明日はお姉さんの引率です。

自分の身を守れる程度に武器を使えるようになって貰わないとね。

何度も往復して獲物を運びます。

生モノは下処理をして、腐る部位は捨て置き、売り物になる部分をどんどん馬車に積んでゆきます。

冒険者のみなさん、お姉さんらに沢山のお土産を取って来てくれたので、昨日より豪勢な料理が作れました。

お姉さんらの人気がウナギ上りです。

冒険者の女性率の低さは王都も北も変わりないんですね。

しかも、この砦はあまり稼げない初心者の砦なので女性率はさらに下がるそうです。

満11歳の少女に花束を持って帰ってくる奴の気がしれません。

まぁ、食卓が彩りますけどね。

でも、冒険者は花なんて目もくれず、飯を漁ります。

意味ねぇ。

とにかく危ない奴もいるかもしれないから注意しておきましょう。

残り湯なんて触れさせません。

男どもは大露天風呂を造ってそっちに放り込みました。

追い炊きできるように薪が使える風呂窯も併設済です。

砦の隊長さんがびっくりしています。

気にしないでおきましょう。

兵士が井戸から水汲みと風呂炊きの日課が増えたことなんて知りませんよ。

ケ セラ セラ!

お姉さんの方が大切です。


 ◇◇◇


最後の3日目はカエルなど肉ががっつり系の魔物を中心に取ってゆきます。

しかし、運べるのがガルさんのみで効率が悪いです。

午前中で幌馬車も一杯になったので隊長さんにあいさつをして帰路につきます。

城壁町の冒険ギルドで荷物を降ろし、振り込みはすべてゼミの口座に落とされると聞いて、アイリッシュが肩を落とします。

「安心しろ! 後日の打ち上げに使ってやる」

実際、幌馬車のレンタル料、馬の餌代、砦に入れた食糧費を差し引くとそれほど儲かっていないとお茶会のお姉さんが試算します。

そりゃ、2頭の馬が馬車も引かないで餌だけ食えば、儲かる訳もありません。

「1日に馬車一杯の魔物を狩らないと採算に乗りませんね」

「砦と城壁町の距離がありますから」

「砦も城壁町の間を別口で荷馬車も走らせましょう」

「そう言えば、王都の冒険者は荷物持ちを多く雇っていました」

「では、確認して準備しておきます」

お茶会のお姉さんに任せておけば安心です。

さぁ、次のクエストが楽しみです。

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