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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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7.王宮。

1月1日。

この世界では大晦日とか、除夜の鐘という行事はないんですね。

朝になると高等科学園の制服に着替えて王宮正門まで馬車で登城です。

大堂門を通過できる馬車は高貴な方々のみでこの馬車なら通過できますが、その後が困るので正門前で降りて通用口で身分証を見せて通過させて頂きます。

大堂門の内側も広間になっており、3万の兵が隊列できるようになっています。王宮に入っても最初にあるのは大広間であり、高等科の入学生はその最後列に並びます。

役職を持っているのは王宮内の謁見の間に並びます。

広間に並ぶのは近衛や聖騎士、騎士などの面々であり、見習い扱いの我々は最後方という訳ですね。

何もありませんよ。

知っていました。

高等科の入学なんてついでです。

貢献があった貴族方々が呼ばれ、王よりお褒めの言葉を貰うのが年のはじめの宮中行事です。王は座るだけであり、しゃべっているのは宰相です。

しばらくすると王は退席し、表彰がそのまま続きます。

王が退席すると宰相が座り、しゃべるのが文官に代わります。

なるほど、表彰する位で与える人が代わる訳ですね。

近衛以下は発表があるだけで前に出ることもなくなります。

ここで名前を呼ばれることが名誉なのでしょうね。

どうでもいいから帰りたいよ。

お昼が過ぎてもずっと立っているだけであり、雨の日なんて最悪でしょう。

そして、日が傾き始めた頃に俺達の番が回ってきます。

「学園の入学を許す」

これでおしまいです。

この一言の為に朝から夕方前までずっと立たされていた訳です。

退場は近衛からです。

謁見の間の方々はこのあと宮中の晩餐会に出席されるとか。

お悔み申し上げます。

俺達の退場が許される頃には日も暮れています。

王宮正門からかなり歩いた所に俺達が乗ってきた馬車があり、馬車に乗った瞬間、「疲れた」と声を合わせます。

「立っているだけなのに疲れました」

「私はお腹が空いた」

「今日の食事は学園都市の寮についてからになります」

寮と言っても学生寮が用意されている訳ではありません。大抵は卒業した城壁市の領主が用意した屋敷で住むことになります。

馬車が走り出し、大城兵を越えて王都から一度離れ、王都を囲む大河を渡り直して再び山側に向かうと学園都市が見えてきます。

城壁の高さは50mを越えます。

「学園の城壁町は正門を入るとすぐに行政区・商業区・住居区・倉庫区が入り混じった総合区があり、その先に両岸が貴族区、中央から奥がすべて学園区になります」

「俺達はどこに住むことになるんです」

「領主様が用意された貴族区の一角となります」

学生3000人の為に作られた城壁町で学園都市と呼ばれています。

職員や講師、従者、町の人を含めると3万人の町です。

北の果ての我が城壁市と同じ人口です。

学園の貴族区は出来た当初によい場所をすべて押さえていますので、300年前にできた最も新しい城壁市の領主が手にした土地は城壁に近い辺鄙な土地だったそうです。

「屋敷はそんな小さくないそうです」

そりゃ、そうです。

学園都市の大きさは我が城壁市の4倍もあります。

馬車はどんどん東へ東へと走ってゆきます。森を越え、湖の脇を走り、谷間を抜けて山に入るとお城が見えてきました。

お城のような屋敷です。

湖が一望でき、城壁の向こうであるオリエント地方が遠くまで見える景観は最高の場所でした。山の尾根を越えた西側には沢山の屋敷が並び、学園都市を一望できる最高の高級地だそうです。山の裏側はどんな立派な屋敷を建てても誰も見ることがないので敬遠されるそうです。

「町が一望できるより、大自然が一望できる方が素敵だと思いませんか」

「君がそう言うとそういう気分になるね」

「はい、とても美しい景色だと思います」

当たりには屋敷らしいものもなく、高い城壁も木々に埋もれて景観を損なうこともない。

「あの小高い山の向こう側に俺達の城壁市があるんですね」

「そういうことになるね」

「まっすぐに北へ上れれば、行程を3日ほど短縮できるのですが」

「はい、それもありますが、神々との契約があります」

聖域の人が入ることは許されますが、そこで暮らすことは禁じられています。

「道を作るのは禁止されていなかったと記憶しますが」

「はい、特に禁止されていません。でもが、そこから魔物が溢れますから対処に困ります」

「なるほど」

確かに天然の外壁である山を削って道を作るメリットは少なそうです。

馬車は門を通り、玄関に着きます。

「「「「「「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」」」」」」」」

執事達とメイド達が一列に並んで出迎えてくれた。

執事長が俺達を案内してくれます。

3階建ての大きな屋敷でいくつ部屋があるのか判りません。

「それで先輩方にあいさつしたいのですが」

「あいさつですか」

「はい、一緒に暮らすならあいさつは必要かと」

「これは気づきませんでした。あとで馬車を出し呼んでこさせましょう」

ちょっと待て!

なに、なに、ここに住むのは俺達3人だけで、他の者は屋敷の別邸、別邸と言えば、聞こえがいいが総合区の外れに立てた集合マンションのような作りで食堂・風呂・トイレがすべて共同らしい。

「いえ、それほど酷いものではありません。従者も3人までなら同室できますし、それ以上の場合は長屋を用意しております」

従者部屋は畳2畳程度の小さな部屋で、長屋は6畳一間の6人部屋だそうです。

「衣・食・住のすべてタダです。学生服は年に3着目がいる場合は自腹で払って頂いております。もちろん、自前で屋敷を準備されるならお止することもございません」

伯爵様、意外とセコいよ。

こちらの屋敷は伯爵家の者が使う為に用意したもので、パーティーの為の宴会場も用意されています。部屋数が多いのは来賓用だったのですね。

この屋敷を使うのは伯爵7女様以来だそうです。

「しばらく暇でしたので、庭の手入れに時間を掛けました」

執事長さんは庭を弄るのが大好きらしく。

色々と珍しい花や植物を育てているので見て頂けると嬉しいと薦めます。

ただ、これから4年間は本来の執事としての仕事があるので庭士を雇ったそうです。庭士の他に下人が2人、メイドを3人増やしたそうです。

紹介されたメイドが俺達付きのメイド達です。

「みな、この町の生まれのもので、この町の事をよく存じ上げております」

みな、年の頃は12~13歳です。

この町に住める子供は5歳までで、それ以上になると隣のコロニーにある初等科に入学し、親族か、寮で暮らすことになります。ただ親がこの町に住んでいるので、荷物などを届けに訪れ、この町の事をよく知っているそうです。

特に俺付きのメイドは去年まで他の学生のメイドを務めていたそうで学校区の事も詳しいといいます。

「「「よろしく、お願いいたします」」」

「こちらこそ、よろしく」

「私にメイド、何か偉くなった気分だね」

「お願いします」

赤毛のお姉さんは照れています。

お茶会のお姉さんは馴れたものです。

先輩方へのあいさつは明日でも行くことにして、夕食にしましょう。

もう、お腹減った。

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