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転生は普通のことだった!~3度目の人生、転生チートしてもそんなに巧くいくわけじゃないのよ~  作者: 牛一/冬星明
第二部.児童チートで優雅な(?)ドキドキ編、確かに女の子をはべらしますが、少女ですよ。
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5.どこまで続くよ。下水道は。

王都の下水道は王宮区、貴族区、商業区とどれも十字路に道が切られ、その下に下水道が引かれています。

王宮区、貴族区に区画整理はありませんが、横穴はすべて貴族の屋敷の地下に続きます。

屋敷で出された汚物はすべて下水道に流される訳です。

つまり、商業区に走る縦抗は王宮から貴族区と流れてきたものが流れているのです。

水量が多いので匂いは余り酷いということはないと話します。

その下水道はそのまま城門町まで続き、さらに大城壁まで伸びて王都の外をぐるりと回って流れる大河が削った断崖絶壁に斜面の一部から滝のように放出されているのです。

イメージで言えば、

黒部ダムの放流みたいな感じで、断崖の一部のぽっかりあいた大穴から水が勢いよく飛び出している感じです。

別に見ていませんよ。

案内してくれる彼女の話しで聞いただけです。

「ヤバぃときは相談しにきな。大城壁の外へでも逃がしてやるぜ」

「大勢でも通れますか?」

「無理、無理、一人か、2人くらいだけだ」

「判りました。覚えておきます」

今から行く教会のシスターに彼女の名前を言えば、会いに来てくれるそうです。

洞窟を抜けると緑溢れる新天地です。

川の向こう側に壁があるので商業区を出ている訳ではないようです。

昔、大きな川があり、川があった部分だけ一段下がり、そこに川を挟んで森が出来ているような感じです。少し遠くに見えますが、川に掛かっているデカイ橋は上に道、下に下水道が通っているとか。対岸にも工房区や放牧区があり、そこから出た汚物も下水道に流すようになっているのです。

洞窟の出口をそのまままっすぐ行くとスラムがあるのです。

スラム?

立派な村でしょう。

綺麗な家が建ち、畑があり、店や小さな工房なども見受けらえます。

道も整備されており、馬車も通れそうです。

八百屋っぽい軒下に野菜などが置かれて値札が置かれています。

じゃがいもが6個ほど入った小籠が銀貨1枚です。

高ぁ!

物価が10倍ですよ。

スラムの住人が着ている服は清潔そうな綺麗な服ばかりです。

町の中の住人のように、ひらひらするフリルとか、きらきらする金細工の飾りはありませんが、ウチの城壁市の高給居住区並の発展ぶりです。

「王都の連中はここの村はないことになっている。だから、ここの住人に戸籍がない。すべて自給自足で暮らしている」

ここの住人の多くが貴族といざこざを起こして逃げて来た連中が作った村で、手に職を持っていた職人が多かったらしい。

その職人達にスラムの住人が技を伝授され、スラムを発展させてきたらしい。

ゴミを出して放置したり、川を汚すなどの景観を損なうことをすれば、村一夜?で焼き払われかねない。

ゴミ捨て場の大穴に洗濯物の排水までそこに捨てる徹底ぶりが凄いらしい。

ゴミ捨ての大穴は2年ほど放置してから掘り返して、堆肥として再利用しているそうです。ですから、ゴミ捨て場とトレイは毎年場所が変わってローテンションされるそうです。

案内の彼女はこのスラムで生まれたようです。

桑畑や麻畑があり、蚕や麻から下生地にする工房があり、洋服などに仕立てる店がある場所が本当にスラムですか?

寺小屋や訓練所までありますよ。

「あれは暇なおっさんが子供らを集めて勝手に遊んでいるだけだ」

いや、いや、算学まで教えるのを遊びとか言いませんよ。

「まともな生活をしたい奴は一旦、王都から離れて、他の町でギルド登録すれば、市民に戻ることができる。それが面倒ならスラムの自警団でも入って畑仕事でもすればいいのさ」

あぁ、なるほど。

農民がみんな武装農民って奴ですか。

面倒だから誰も手を出さないんでしょうね。

町をぐるりと回って、斜面に作られた道を上ります。

見た目は斜面ですが、明らかに道です。

上りきると木々が鬱蒼と林を形成しています。

獣道のような馬車も通れる道を進んでゆくと居住区が見えてきました。

うん、何となく思っていました。

みなさん、庭付きの一軒家がずらりと並んでいますね。

「あの家はどこの屋敷ですか?」

「屋敷、は、は、は、あれはただの家だよ」

「ウチの家より大きいよ」

言っておきますが、赤毛のお姉さんは貧乏貴族ですが、貴族なので貴族区に住んでいました。

赤毛のお姉さんは貴族です。

町の中心に立派な教会が立っています。

商業区で一番みすぼらしい教会だそうです。

「ウチの近所の教会より立派よ」

城壁市の中心にある大神殿を除けば、ウチの城壁市の中で一番立派な教会が貴族区にある教会です。そこより立派な教会がみすぼらしい教会ですか。

この町はどうなっているのでしょうか?

みすぼらしい教会のシスターはこころよく匿うことを引き受けてくれました。

シスターに預けると案内の彼女が教会を出てゆきました。

「いくら言っても危ないことを止めないですよ」

「何をやっているんですか」

「それは言えません」

この居住区そのものが教会の持ち物らしく。

行政も手が出せないそうです。

商店街があり、工房があり、農地があって、学校があり、教会事務所が行政を担います。

隣の商業区の大店からオーダーメイドの服や細工を請け負う店が多くあるらしく。

商業区を縁の下で支えているのが居住区の住人だそうです。

皆、教会の保護を受けているので、貴族と言っても易々と手を出すことができないとか。

また、この住民は稼ぎがいいので教会の寄付もたんまりあり、教会都市にある教皇の覚えもめでたいそうです。

教皇は王に次ぐ、権力者ですから逆らいたくないですね。

話を一通り終えるとすぐにお暇します。

「使いの者が帰ってくるまで、もうしばらくここにおられた方はよろしいのでは」

「大丈夫です」

シスターは俺達が来た後に事情を聞いて、行政府に使いを出しています。

貴族にしろ、行政府にしろ、この居住区にいる限りは手が出せないということでしょう。

助けて貰ったのでずっと付き合ってきましたが長引くのはよくないのです。

明日は王宮に行くのは絶対です。

もし、王宮に行けないようなことになれば、俺も赤毛のお姉さんも反逆罪で打ち首になりかねないのです。

それに俺と赤毛のお姉さんの身元はすぐにバレていると思うのです。

派手な衣装の多い王都で地味な服の俺と赤毛で美少女のお姉さんが一緒に歩いているのですから、泊まっているホテルはすぐに判るでしょう。

逃げるだけ無駄というものです。

まぁ、ここは領主伯爵様と市長伯爵閣下の権力に縋るしかないですね。

シスターにお礼を言って教会を出ます。

王都は華麗さを売りにする為に露店や立ち食いなどの醍醐味はありません。

大通りを歩きながら美しく着飾った店に行き交う人々や馬車を見ながらホテルに戻っていったのです。

ホテルの前ではメイドさんがうろうろとして俺達を見つけると中に入ってゆきます。

何か予想と違いますね。

玄関を開けると支配人が青い顔をして出迎えてくれるのです。

「おかえりなさいませ」

「何かありました」

「衛兵が少々事情を聞きに来られたのですが……………そのぁ」

妙に歯切れが悪いのです。

市長伯爵閣下、あれだけ王都での自慢をしていたのですが、自分で盛り付けていたのでしょうか。

これさえあれば、大抵の事はなんとかなる。

などと言っていましたが、懐に預けて頂いた書状も当てにならないとなります。

「謝りに行こうか?」

「あの馬鹿伯爵の息子に謝ってもどうにもならないでしょう。学園に逃げ込めば、しばらくは何もできませんよ」

「そうかな」

「で、支配人。どうなっているのですか」

「はぁ、その。お部屋に警備総監がお待ちです」

冷や汗を拭きながら支配人が力を振り絞ってそう言うのです。

警備総監、大臣、長官に次ぐNo.3ですよ、

おい、おい、あの馬鹿伯爵の息子はそんなにコネがあったのか。

しくじった。

どうしようか?

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