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無知な魔法使いの冒険譚
遠くで鳥の鳴き声がする。
窓の隙間から細い光の筋が差し込んで、僕の顔を照らす。
「もう朝かあ」
我ながら情けない声が出た。
のそのそとベットを這い出し、窓を思い切り開ける。
世界は一面が緑。
木々は、青々として瑞々しく、そよ風に葉を撫でられて、その大きな体を震わせている。
思い切り息を吸い込むと、自分もその景色の一部になった気さえする。
「そろそろかな。」
そうつぶやいたところで、大きな声。
「メルクー!飯だぞー!」
どんぴしゃである。
「今行くよー!」
僕も負けないくらいの声で返事をする。
いつもの一日が始まる。