7話 調査開始
相馬美咲…サクから聞いていたけどこうやって会うのはこれが初めてだった。
美咲先輩は、サクに「潜入」の極意を教え込んでいたらしい。
サクにさっき聞いた話だけど、美咲先輩は「潜入」で主席、そのまま認定試験も合格した。
だからサクは「潜入」を主席でいけたんだと今さら思う。
探偵育成所では、「剣術・体術」「狙撃」「潜入」の三つを習得する事ができる。
この三つの合計が合格点を越えていれば、次に進むことができる。
まぁ、一つがずば抜けてできていれば、合格なんだけど…
ちなみに私は「狙撃」で二番目となり、この認定試験に臨んでいる。
さて、話は一旦ここまでにして、今回の未解決事件を解決していきますか。
サクは断ったんだけど、美咲先輩がサクの出来を見たいというので、手伝ってもらうことになった。
私、サク、美咲先輩の三人は、事件ファイルを一通り読み込んで、内容を整理する事にした。
「えっと、社長さんは、大動脈が破裂したことで死んじゃったんだよね」
「あぁ。この内容からすれば、そうなるな」
「でも、こんなにタイミング良く倒れたりするかしら?」
確かにこんなにタイミング良く倒れるなんて、普通に考えてもおかしい。
暗くなった時に何かあったとしか考えられない。
「でも、暗くなった時に何か起こったとすれば、どこかに証拠が残っているはずだよね…」
「なら現場を再現して探しますか」
「うん。…えっ!?」
サクに言われたことをあまり理解せずに会釈してしまったが、その後に頭の中がハテナで一杯になった。
(再現…?どうやって?)
「こっちきて」
サクにそう言われてついて行くと、トイレや浴室のある廊下の突き当たりの扉まで来た。
ここは、よくサクに開けるなと言われている扉であった。
その扉を開けると、先ほどいたリビングの3~4倍近くある部屋が現れた。
私が呆気にとられていると、サクは扉の近くにあるセンサーに事件ファイルについていたバーコードをかざす。
すると、部屋の角についていた投影機が動き出した。
数秒のうちに、何もなかった部屋に事件現場が再現された。
「これどうなってるの?」
「父さんが家を出ることが出来ない時のために、自分で作ったらしいよ」
「ひぇー。凄すぎる」
私が感心していると、美咲先輩も驚いた口調で言った。
「これ壁の傷まで再現されてない?」
美咲先輩の持っている写真を見ると、確かに全く同じ位置に全く同じ大きさの傷がついていた。
どんな証拠も見逃さないサクのお父さんらしいところだ。
「はい!感心するのはそこまで。さぁ。調査を開始しよう。セナ、美咲先輩一緒に頑張ろう」
「サク君。事件の調査の時は、先輩だとしても、あだ名で呼ばなきゃいけないはずだよ」
探偵事務所の法律に、事件の調査時は名前がばれるのを防ぐためあだ名(通り名)で呼ばなければならないとある。
サクは少しためらっている様子だったが、
「はぁ~。分かりました。では改めて、セナ、マミさん頑張ろう」
「「おぉー」」
こうして、私たちは探偵への道を歩み始めた。