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終わる歯車仕掛けの世界  作者: シナミカナ
少数派の日常?
32/39

格闘術

「良いかい真城ちゃん、大事なのは敵との間合いだ。ナイフはまず抜いちゃ駄目だ。」

「うっす!でも、それじゃナイフを持っている意味がないのでは?」

「ナイフはあくまで最後の切り札。ナイフの存在さえ悟られずに確実にナイフで仕留められる間合いに入れてから抜くんだ。」


昼下がりの少し肌寒い日。館の真裏にある拓けた広場で俺と真城ちゃんは特訓していた。

筋トレなど自主トレーニングは少数派では欠かすことはないが、希望者は自己防衛の為の特訓は誰かが指導する。


昨日の夜に寝ようとベッドに潜っていたら、突如として部屋の扉が開かれた。

「たのもー!!!」

どこの道場破りだ。部屋の前に看板を引っ提げた覚えなんてないぞ。

眠たい目をこすりながら入り口まで行くと思った通り真城ちゃんがいた。

わざと大きな欠伸を一つやり終える。

「こんな夜中に何なのさ真城ちゃん。」

「特訓して下さいジョンさん・・・じゃなくて師匠!」

「『特訓』ってなんの・・・?」

見れば彼女は目を輝かせていた。

「今までジョンさんのナイフの扱いは見てきました。能力に頼りっぱなしの私でもあんな風にかっこよく敵を倒したいです!」


うーん、と考え込む。確かに我流の格闘とナイフ術は万が一の時に役に立つかもしれない。

しかし、このCQC(近接格闘)はゲームが元になっているなんて口が裂けても言えない。

パクりじゃない。オマージュなんだ。と、自分に言い聞かせながら葛藤し使ってきた。

まぁ、ナイフがある事が前提での格闘術なのでかなり意味合いが違う。

数分間うねり続けてようやく着地点が見いだせた。

「よし、こうしよう。この格闘術には名前がまだない。なので、真城ちゃんが考えてくれ。思い付いたら教えてしんぜよ。」

「えー、普通にジョン格闘術とかジョン式とかじゃダメなんですかー?」

「なんだ、あれだ。カタカナだと絞まらない名前になっちゃうじゃん。だから、かっこいい響きの名前を思い付いたら教えるよ。はい、おやすみ。」


不服そうな真城ちゃんを尻目にドアをゆっくり閉める。

ふぅ。これでようやく眠られる。ふかふかのベッドに横になり布団を被った。

しかし、俺が格闘術を教える日が来るとはなー、師範とは師匠とか呼ばれるのかなー、いつになったらかっこいい名前を携えて来るのかなーと淡い気持ちを胸に眠りについた。


翌朝、目覚ましが向こうからやってきた。

「ジョンさん!思いつきました!名前!」


俺は大声にビックリして上半身だけを素早く起こして朦朧となる。

ずかずかと部屋に入ってくる真城ちゃん。手には紙を持っていた。

「名付けてー!」


俺の目の前で紙を広げた。そこには、真城ちゃんらしい事が書いてあった。

ああ、そうなっちゃうか。と頭を抱える。


「真城式格闘術」


俺の名前がダメだと自分の名前をつけちゃう感じの女の子だったよねーと再認識させられた。


「ダメダメ!まだナイフを出すタイミングが速すぎる!『ある程度まで間合いまで詰める、ナイフを鞘から取り出す、相手を切り裂く』この一連がスムーズにいく間合いが大事なんだよ!速すぎたらかわされる、遅すぎたらナイフを取り出せない、感覚で覚えるんだよ!」

「そ、そうは言いましても、私の場合はナイフが当たる前に敵を爆破した方が速いですし・・・」

「だから、その能力が使えない時のためだろー?はい、もう一度30m手前からダッシュでこのクソッタレカカシを切り裂いてみて!」


2秒で30mを一気に離れる真城ちゃん。能力があるとはいえ、化け物じみている。

「接近の時は能力は使うなよー!」

「はいー!」


腰を低くして息を吐き出す。

吸うと瞬間に走り出す。20m手前。まだナイフに手さえかけない。

5m手前、ここでようやく腰のナイフに手をかける。

3m手前、ナイフを手にもつ。カカシ君はここでようやくナイフの存在に気が付くがもう遅い。

0m。首を切り裂かれ呼吸も出来ずに息絶える。

この一連の動作を4秒でやってのける。

流石は少数派の中でも少数精鋭に入っているだけある。

飲み込みも早く無駄もない。

「ど、どうでしたかー?」

「うん。完璧。流石だね真城ちゃん。」


えへへー、と照れ笑いする真城ちゃん。

うむ、そこそこ可愛い。愛弟子である。

「そ、それで次はどんな技を教えてくれるんですか?」

「うん、今日の練習はここまでかな。後は宿題を一つだけ。」


宿題?と聞き、首をかしげる真城ちゃん。

「今から一週間、俺の部屋に忍び込み一度でも殺せる機会を作ること。まぁ、俺を参ったと言わせれば勝ちってことかな。」

「ジョンさんの部屋に忍び込んで参ったと言わせる?ジョンさん、正気ですか?寝ているときは爆睡で起き抜けもフラフラじゃないですかー。」

「まぁ、一度やれば分かるよ。もちろん、俺は一週間ぐっすりと眠っているからね。」


それじゃ、と手を振り館に帰る。

さて、支度をせねば。

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