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恋しい音 作:深夜
からんころん
君の少し後ろ
ひしめく人の波に
君を見失ってしまわぬように
他人の体温か君の体温か
その熱で汗ばむ手を
繋ごうとは言い出せなくて
着古した君のシャツの裾をそっと握り
いつもより少し狭い歩幅で
懸命に君を追いかけた
からんころん
祭りの匂いが混ざり合う
わたあめ
かき氷
フランクフルト
何がいい?
振り返った君が子どもみたいに笑うから
このまま君といられるならそれで十分なんて
気恥ずかしくて言えなくて
からんころん
ねえ聴こえてる?
君に見せたくて着た浴衣
君に少しでも近づきたくて履いた下駄
精一杯の速さで
君を求める
からんころん
僕の音
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