祭囃子の終焉 作:水影ナキ
今日も祭囃子 聞こえるのは歓声か
それとも酒に酔ってしまった 哀れな金魚たち
逃げ場なんてあるはず ないよね?
またまた射的の親父さんは 何事も
無かったかのように 笑顔を振りまいて
ゴム鉄砲で私を打ち抜いた!
「ほらほら手をつなぐお嬢さん?
どこかに行きませんか」
「いいえいらないわそんな甘い道なんて
あるはずないもの」
そう、これは、ただの派手な夢
さあぐるぐるぐる回ったら
あちらへ行こうじゃないか?
君を食べちゃって愛でて
それからそれから…………
またさらさらさら流れてく
川のように触っちゃって
もうどうしようもないくらいの
惰性な気持ちを与えてしまった
今日も祭囃子 聞こえるのは雷鳴か
それとも味に酔ってしまった 可愛げな君
輪投げ屋にいる君を 捕まえて
私のものしたくて 何度も
無かったかのように 投げ続けていって
君に擦り傷をつけていった!
「ねえ君は私の全部を上げると
言ったらどうするの?」
「いいや僕はそんなまがい物なんて
欲しいはずがない」
そう、これは、ただの残酷な夢
さあぐるぐるぐる回ったら
こちらへどうぞ来なさいな?
綺麗な君の花火をどうぞ私に
欲しいな欲しいな…………
またさらさらさら流れてく
川のようにキョトンとして
そんな君も可愛いけど
どうせなら何もかも混ぜちゃって
今宵の月は もう何も照らせずに
流れ流れるままに奈落へと落ちていった
頭を転がして叩きつけてきた
この寿命は最初から無かったかのように
さあぐるぐるぐる回りだして
こんな悪夢を祓っちゃって
何も出来ないまま暗闇の淵へ
消えてく消えてく…………
ああ最後に一つだけ言葉を
残して去っていきたい
君に会って恋して
食べられたのは私だった
作者マイページ(水影ナキ)
http://mypage.syosetu.com/193945/