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亀 作:さゆみ
いつかの夏
金魚すくいですくったのは君だった
小さな君は固い甲羅に隠れてる
僕は君をつついてみる
世界はきれいだよ
覗いてよ
君は少し笑った
走った
逃げた
俊足だった
君は青空をバクリと食べた
甲羅はどんどん大きくなった
ねえ君は甲羅の中に何を詰め込んだの?
僕はあの日
きれいな世界からみなげした
僕はまた罪をつみあげた
吊し上げられた夏
君はいなくなった
固い甲羅をずっと背負っているのは僕だった
君はどこにいるのか
水際で甲羅に夏を透かして
青空を見上げているのだろうか
ねえ君は甲羅の中に何を詰め込んだの?
僕にそう言って笑うのだろうか
作者マイページ(さゆみ)
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