青の中で 作:アキラ
汗がだらだら垂れてくる
自転車をせっせと漕ぎながら
コンクリートに染みを作ってく
しかしそれは瞬時に蒸発し空気に溶ける
上を見上げれば
青の中に巨大な入道がずっしりと浮かんでる
それに手を伸ばしてみた
当然何も変わらない
横を流れる近くて雄大な緑の群れから
ミンミンと小さな命を燃やしてる
必死に生を繋ごうと
人間から見れば風前の灯とも言える
後僅かな寿命の中で
懸命に鳴いている
しかしここを通る僕からすれば
耳障りなだけである
視界の中を黒くて小さい何かが横切る
その存在に気付いたら
手足がむずむずしてきてしまう
露出されている部分に意識を集中し
近寄ったそれを容赦なく叩く
またこれも生を繋ぐために栄養を必要として
危険を犯してまで僕を刺しにくる
しかし僕からすれば痒くなるばかりで
鬱陶しいだけである
上を見上げれば
青の中に巨大なモコモコがフワフワ浮かんでる
それに手を伸ばしてみた
当然何も変わらない
息が上がる
視界がぼやけたのかと思うほどに
遥か前方の陽炎が蠢いている
ペダルを漕ぐ足を止め
カゴの中の鞄から温くなったコーラを取る
喉を癒すはずが
口に含んだ途端に気分が悪くなる
そしてまた水滴まみれの顔を上げて
足を動かす
家に着いた後のことを考える
ドラマの再放送でも見ながら
扇風機にあたり
とっておいたポッキンでも食べよう
そうだ
半分は弟にでもやろう
この蒸し暑さをごまかすように
僕は引き攣った笑みを浮かべていた
上を見上げれば
まだ悠々と浮かんでる
天空の城でも潜んでいそうな
それに手を伸ばしてみた
当然何も変わらない
どうやらあの白は
僕には興味がないようだ
詩の中にあるポッキンとはあれです。ビニールチューブの中にジュースが入ってて、それを凍らせて真ん中から割って食べるあのアイスです。いろんな呼び方があるらしいですが、私は小さい時からポッキンだったので、その呼び方にしました。
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