[第1話:面白くなりそうだな]
この物語はフィクションです。この物語に出てくる登場人物、団体名は、実在のものと一切関係ありません。
「残り6秒、1点差!堂島がボールを持った!ドリブルをついたっ!何をしかけるのかっ!?………っ!!打ったぁぁ!3ポイントォッ!!…………き、決まったぁぁっ!!暁帝高校、土壇場で試合を引っ繰り返しましたぁぁ!!!」
「ピピピピッピピピピッピピピピッピピッ……」
「やべっ!遅刻するっ!」 ほぼ毎日同じ夢で目が覚める。高校に入学してからというものほぼ毎日。 俺が通うこの暁帝高校はインターハイ出場を目指している、と言えば聞こえはいいが、どこにでもある弱小バスケチームだ。
どいつもこいつもただなんとなく部活をやっていて理由を聞けば、やれ進学で有利だの、やれ就職でのイメージがいいだのと言う奴ばかりだ。ただ、奇妙というか、奇跡というか、唯一の救いが地元のそこそこ強かった中学のキャプテンが4人集まったことだ。その初顔合わせもこれまた奇妙というか、奇跡というか、な出会いだった。
……ダムッダムッ………ダムッ……キュッ……パシュ…ダンダンダン………
!?体育館に誰かいるのだろうか?こんな学校でも朝練してるやつがいるなんて少しは期待できるかもしれない、と堂島は思いつつ更衣室で着替えて体育館に向かった。
ガラッ…
「チワーッス!!加度中でキャプテンやってた堂島光輝ですっ!よろしっ………!!!おめぇ…青海中のっ……坂下じゃねえかっ!!おめぇも暁帝にきてたのか!?」
「…………ああ、加度中の…」 「ど、堂島っ、堂島光輝!まさか坂下明男、おめぇも暁帝に来てたなんてな!」
「…俺達以外にも田畑中と新田中の奴らも来てるぜ……」「田畑中と新田中の奴らって、大久保と赤岡か?ま、まじかよ!?」
ガラッ…
「…噂をすれば、だな。」
「…ちゃーっす」 「こんちわーっす」 「!!!!」 「……堂島君?…坂下君?なんで君らがここに??」
「そーいう赤岡乎詩、お前はなんで大久保鷹弘と一緒なんだ??」
「んー、何でって言われてもおれとこいつは幼なじみだし、家も近いしなぁ?鷹弘。」
「うん。僕と乎詩は家がかなり近いんだけど、学区が違うから中学も違うんだ。堂島君と坂下君も知り合いだったの?」 「いや、俺はコート以外では会ったことねぇよ。今日が初顔合わせさ。」 「……こんな学校でも少しは面白くなりそうだな…。」
「あー、なんか俺すげー興奮してきた!」
「でも赤岡は大久保と同じセンターだろ?身長だって185もあるんだし。」
「それは問題ないよ。おれフォワードやるし。」 「なるほどな!それなら大久保がセンターで坂下がシューターで俺がガードか!なんか俺も興奮してきたぜっ!みんなよろしくなっ!」
「……面白くなるな。」 「絶対にインターハイ行けるよ!みんなよろしく!」
「僕もその中にいれるのかぁ。楽しくなりそーだね!みんなよろしくね。」
こうして奇妙で奇跡的な4人の出会いは、後に暁帝高校バスケ部創設以来の数々の伝説を残していく事になるのである。