それは昔のこと
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とある骨董品屋にひっそりとある、埃を被った大きい皮の箱。かなりの年代物で所有者はかなりのお金持ちだったのだろう。そう思わせるほどの状態の良さ、装飾。
箱の中身は―――女の子だった。店長も最初は驚いた、体育座りで収まっていてその手には枯れた華が握られていた。だがこの箱は重くない。もし人間ならばもっとずっしりとしているはずなのに、軽い。店長は箱から女の子を出した。大きさは約160センチ、靴の高さは8センチ、服装は赤と黒のゴスロリワンピース、髪は日本人のように真っ黒、目は伏せてあるので色はわからない。店長は関節が球体であることに気づいた。そうこの子は関節球体人形。でも誰が一体どんな目的で作ったのだろうか?そう思いながら箱を漁ると手紙が出てきた、筆記体で書かれたのだろうかなり達筆である。
『シャーロンへ また巡り会えるまでしばしの別れ シンドリィ』
そう書いてあった。この子の名前はシャーロン、そして持ち主はシンドリィ。何故持ち主は手放したのだろう?そう考えるが答えが出ない。
店長はシャーロンを箱の上に座らせた、枯れた華を取り手を膝の上に置いた。こうしてみれば、美しい人形である。店長は扉を閉めて、店仕舞をした。それは昭和初期の話だった。