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229  特急・快速・ロマンスカー

 

ジン:

「ゆっくり、ネーバー、ネーバー」


 もはや習慣となりつつある足ネバだが、その場歩きの速度を半分程度に落とし、ゆっっくりと行っていた。フレキシブル・パワーを発揮するには、周辺組織同士の連携、いわゆる身体の『練り』が必須であり、効果的な鍛錬になっていると思われる。

 階段トレーニングの影響で、足をかなり高い位置からコントロールする必要が出てきていた。膝を中心として動かしていたものを、股関節付近から操作する。これに変な浮遊感というか、蜘蛛の足になったかのような、不思議な違和感を覚える。それもこれも足ネバをやることで調整できるのかもしれない。


 階段トレーニングを3周ばかりして、いよいよ攻略へと向かう。予定通りなら、昼頃にレイドボスと戦闘だ。その前に、残りの3層分を突破しなければならない。ショートカットのエレベーターから、24人ずつ9層の終わり地点へと移動する。

 僕ら第1レイドは9層終わり地点に降り立った。


ジン:

「おーい、にゃんこー? どこいったー? でておいで~」


 レイド攻略の緊張感が吹き飛ぶ。まるで諦める気配ないんですけど?


ユフィリア:

「でてきてー? こわくないよー?」

シュウト:

「いやいやいや、一緒になって何やってんのさ?!」

ユフィリア:

「え? だって、ウチで飼うんでしょ?」


 えー。もう完全にそのつもりでいるじゃないですか。


ジン:

「ざけんなシュウト。ウチの子になってもらうんだ。これは決定事項だ」

シュウト:

「どうやって!? アレ、どう考えてもモンスターですよね!?」

ジン:

「ゲームの〈エルダー・テイル〉なら、俺も諦めていた。しかし、ここはよく似てるだけの異世界! 為せば成る!!」

シュウト:

「そんなわけないじゃないですかぁぁぁ!!」


 援護を求めて、第1レイドの仲間を振り返る。


ウヅキ:

「そう、いきり立つなって。要するに、星奈を撫でるのを我慢する代わりに、あの時計猫が欲しいってんだろ? むしろ、いいことじゃねーか」

タクト:

「チャレンジするのは自由だと思う」

ケイトリン:

「お手並み、拝見」クックック

ネイサン:

「うーん。こっちにはマリーがいるんだし、分解して、解析して、作り直せば、なんとかなるかもしれないよね」

スタナ:

「動かなくなる可能性もあるから、あまりオススメできないけど」

英命:

「おいしいゴハンなどで釣れないのが問題ですね。トイレの心配がない、とてもいい子になりそうなのですが」ニッコニッコ

ユフィリア:

「そっかー。じゃあ、何で動いているのかな?」

ニキータ:

「え? バッテリー? 電池? 魔力? まさかゼンマイとか?」


 クロックワークスがゼンマイ仕掛けだったら面白いけれど、そういう話ではない。好きにすればいいんじゃない?みたいな好意的な意見ばかり。敵モンスターを入手して、ペットとして連れ帰ろうとしているのに、どうしてみんな何も思わないのだろう……?


 あの時計猫は98レベルの6人パーティーで討伐適正という設定なのだ。僕1人じゃ勝てないような相手を、ペットにしようとしてるって事を、みんな分かっているんだろうか?


シュウト:

「そこまで欲しいなら、普通の猫を飼いましょうよ! 何もモンスターじゃなくたって……」

ジン:

「お前、そうじゃねーだろ。生き物をペットにするってのはな? その命の面倒を最後までみるってことなんだぞ。いつどうなるかわかんねーのに、触りたいってだけで飼えるわきゃねーだろうが!」

シュウト:

「あ、はい……」

リコ:

「あー、だから時計仕掛けってことだ?」

リディア:

「なるほどー」


 自分で暴走しておいて、常識人だから本気でタチが悪い。流石にもう誰も何も言えなくなっていた。「おーい、にゃんこー?」とか呼びかけるのを耳にしながら出発。片っ端から敵をボコボコにしつつ、時計猫を探すジンだった。







葵:

『むむっ、なんだろ、この部屋?』


 フロアボスすら難なく撃退し、11層目の中盤に入ったかどうか。かなり広めの部屋に出た。ガランとしているので、敵じゃなければトラップだか、ギミックだけれども。


ユフィリア:

「床に、光……? なにかな?」

ニキータ:

「何か、規則がありそうね」


 それなりの間隔を開けつつ、光が並んでいた。

 全体でみると、横長の長方形になっている。横からみると4列しかない。

 


石丸:

「24×4の配置っス」

葵:

『てこたー、レイドの全員であの光の上に立つってことかな?』

シュウト:

「もうイヤな予感しかしないんですが……」

ラトリ:

「先に進むためだから、まぁ、やってみよっか」


 全員が光っている床の前に立った。そしてヴィルヘルムの合図で床に乗ってみた。


葵:

『さて、どうなるかにゃー?』



 ――ぽーん。



 サウンドエフェクトが入る。そして進行方向正面に、映像が投影される。『Level 1 Start!』


ジン:

「は? レベル1?」


 足下の少し先の床が光り、点滅する。


葵:

『はい、前に移動~』


 ピョコンと先の床に乗る。明滅が消え、暗い色に変化。


葵:

『はい、元の床に戻って~』


 光っていた元の床が暗い色に変化。右側の床が光る。


シュウト:

「えっ、なにこれ?」


 右、戻って、左、戻って、後ろ、戻って、前、戻って、……レベル1をクリアした。


ユフィリア:

「やーん。たのしい!」

葵:

『ダンレボ風ギミックってことかな?』

ジン:

「ちょっと待て。これ何レベルまであるんだよ!?」


 まだまだチュートリアル的なレベル2もクリアし、レベル3でスピードアップ。どこまで行けるかと思ったが、レベル4でついに失敗する人が出た。



 ブッブー。


ジン:

「ブッブーじゃねーよ!」

ギヴァ:

「……それで、どうする?」

葵:

『一度、部屋を出て、再挑戦かな?』

ヴィルヘルム:

「うむ」

アクア:

「リズムゲームっぽくなるように、私が音を付けてあげるわ!」

オスカー:

「指示が聞こえなくなるだけじゃないかなぁ?(苦笑)」


 96人で誰も間違わずに最後までたどり着く必要がある、ということだろうか……? えっ、まさかレベル10まであるとか言わないよね? レベル5までだよね?



 ――1時間半経過



ジン:

「指示、間違えてんじゃねぇっつー!」

葵:

『いいまつがい! 誰だっていいまつがいぐらいあるっしょ!』

ニキータ:

「レベル7が突破できないわね……(苦笑)」


 大苦戦であった。もうみんな鎧などは脱いで、動きやすい格好でチャレンジしていた。そこそこ難易度が高くなってきていて、どうしても誰かが失敗してしまう。

 1時間半経過していて、もうそろそろ何か対策が必要な気がしてきた。


シュウト:

「何か、裏技とか、救済策とかないんでしょうか?」

葵:

『うーん、特技を組み合わせて、クリアしやすくするってこと?』

リコ:

「思ったんですけど、苦手な人の代わりに、ゴーレムみたいなので参加するとか?」

ニキータ:

「全員でハーモニーリンクが使えればいいんですけど……」


 正確性に定評のある石丸か、意外性のユフィリア辺りに合わせてハーモニーリンクを使えば、誰も間違えずにクリアできる可能性は高い。


ジン:

「なぁ、全員でハーモニーリンクとか使えんの?」

アクア:

「私に訊かれても困る話ね。発動条件はどうなってるのかしら?」

ニキータ:

「一応、パッシブスキルみたいなんですけど(苦笑)」

 

 常時使用状態だといわれても、普段は作用している感覚はない。


葵:

『あとはアレだね。救済策とかじゃねーけんど、正面の扉を強引に通過しようとすると、たぶんペナルティで超つおいモンスターが出たりするかも?しんないから、それを倒せばさー』

ネイサン:

「それを倒せば、ここはクリアになるのかな?」

葵:

『ふつーにやっても勝てない強さだとは思うけどね』


 あはははは、えへへへへ、と微妙に噛み合わない笑いを演じていると、ジンが問題の『正面の扉』に蹴りを入れていた。


ジン:

「よーし、ここだな? ……開け、ゴマ!」ガンッ

葵:

『アホか、おのれはーっ!?』

アクア:

「ハッ! セットアップ! 急ぎなさいっ!!」

ジン:

「どぅえりゃー! 開けオラー!!」どかんバキン


 ビーッ!ビーッ!ビーッ!……っと警報がなりまくる。室内の照明が赤くなって、『ヤバイ感じ』を演出していた。とりあえず弓を取り出しておく。僕の戦闘準備はこれで完了だが、ほかの人は大変そうだ。

 これはジンにとっての不治の病『強いのと戦いたい病』なので、いつものことぐらいにしか思わない。どうせ1時間半もリズムゲーをやらされて、気が立っていたんだろう。僕も八つ当たりの相手がそろそろ欲しかったころだ。


ジン:

「よ~っし、でてこいや!!」

葵:

『このバカ!ドアホウ! 全員に装備 着せてからやれーっ!!?』

シュウト:

「いや、相談なしにやっちゃダメだと思うんですけど……」


 空中に巨大な魔法陣が展開し、テレポートで巨大な時計仕掛けが現れる。1メートルばかり落下。轟音と共に登場した。

 レベル135、〈時計仕掛けの地獄行特殊車両〉(クロックワーク・デスマーチ)。外見は、ゴテゴテした戦車……? なぜか電車の行き先表示みたいな窓に『鈍行』の表示。


タクト:

「なぜ鈍行?」

ジン:

「デスマーチに特急や快速、ロマンスカーは存在しない。そんな楽に死なせてもらえると思うなよ!?」

葵:

『ミサイルポッドねぇ。ガンタンクの戦車かな? とりあえず、初撃が流星群かどうかで何の「デスマ次郎」か分かるな』

ジン:

「俺のツッコミは期待しないでもらおうか」


 いろいろな意味でお疲れさまです、とか思ってしまう。まだセットアップが終了していないのに、敵の先制攻撃が来た。全砲門解放からの、全弾発射らしい。技名は見えなかった。てゆうか、そんな場合じゃない。


シュウト:

「ちょっ、それ全滅コースのやつ!?(泣笑)」


 直後、デスマーチ直近で爆発が発生。ジンのウロコ盾で発射直後にストップさせたことによる大規模な誘爆だった。当然にデスマーチが爆発に巻き込まれてHPをゴリゴリと減らしている。


シュウト:

「〈ラピッドショット〉!」


 誘爆から逃れたミサイルを素早く射落としておく。


葵:

『ナイス、シュウくん! レベルだけのゴリ押しタイプかな?……底は見えたな』

ジン:

「いや、注意しろ。妙に重苦しい、怨念めいたものを感じる」


 オーバーライドを発動させ、突撃。そこに〈仕様変更ミサイル〉が飛んできた。素早く躱すジンだった。回避されたはずのミサイルだが、反転すると、再び照準をジンに合わせて襲いかかった。


ジン:

「ねちっこい!」


葵:

『うーん、デスマ中の仕様変更は3回程度じゃ少ない方だし、いつまでも追ってくるかも?』

シュウト:

「いやいや、そういう問題じゃないですよね!?」


 制作サイドの怨念が込められたかのごとき名前の攻撃が続く。〈新人逃亡爆弾〉はカウントが45秒、〈リーダー逃亡爆弾〉はカウントが180秒となっている。〈外注不発弾〉とかいうのまであり、それはバラまかれたまま何の挙動も示していない。


葵:

『あかん! ジンぷー、逃げろ! 新人が逃げて、外注が誘爆、リーダーまで逃げ出すぞ!』


 「180秒あると言ったな、アレは嘘だ」とばかりにリーダー逃亡爆弾が誘爆し、巨大な爆発を生む。デスマーチ本体が爆発に巻きこまれ、またまたHPが削られていく。


シュウト:

「あの本体、爆発耐性とかないんでしょうか?」

葵:

『むしろ食い気味に自爆していくのがデフォルトなんじゃない? デスマだし……』

シュウト:

「そういうもの、なんですか……?」

ジン:

「…………」

葵:

『…………』

レイシン:

「はっはっは」


 ジンたちはなにも答えてくれない。

 空中を漂う透明な〈突発トラブル機雷〉と、〈徹夜ビーム砲〉〈2徹メガ粒子砲〉、〈仮眠取り消し催涙ガス〉などの攻撃の合間に、差し挟まれる〈仕様変更ミサイル〉に苦しめられる。


ジン:

「なんつー負の力だ!(笑)」

葵:

『しかも追いつめるだけ追いつめて、誰も死なないバランスとか(笑)』


 デスマーチからは誰も逃げられない、誰も逃がさないと言われているかのよう。

 

ジジジ、ジジジ、という音に葵が素早く声を上げた。


葵:

『バグが飛んでる! たたき落として! 最優先!!』


 アクアが耳の良さでバグの位置を割り出し、素早く対処していく。


葵:

『もしバグ同士がくっついたら、「致命的なバグ」に進化するかもしれない。それは世界に危機をもたらすワールド・エネミーになる可能性が高い……!』

シュウト:

「いやいやいやいや(苦笑)」


 それは流石に予想というより妄想のたぐいでしょ?とは思ったのだが、攻略中の葵のセリフを聞き流すことはできず、必死になってバグを潰す。

 続けて天井から30センチ四方の黒い箱型ギミック〈隠蔽工作の記録〉が落ちてきた。そして〈火炎上放射器〉による薙払い火炎放射が始まった。


葵:

『くっ、隠蔽工作を守って! ネットが炎上する!』

レオン:

「これでどうだ!」ブンッ


 〈隠蔽工作の記録〉を火炎放射器に向けて投げつけてしまうレオン。『SNS大炎上』に巻き込まれるデスマーチ。まさに地獄の業火だった。火勢の強さにこちらも避難を余儀なくされたほどだ。


シュウト:

「これ、自爆して死ぬまで耐えれば勝ちって敵なんですよね?」

葵:

『そうみたいだね(苦笑)』


 天井全体から放たれた電撃攻撃『アタルヴァの怒り』を、ユフィリアがゼロ・カウンターのオーロラヒールでもって打ち消す。SNSを炎上させた関係で、アメリカの本社を怒らせたという流れらしい。ダンジョンの場合、部屋ごと全て敵だって事実を思い知る。


シュウト:

「というか、だんだんフシミ・オンラインが心配になって来たんですけど!(笑)」

葵:

『信じるんだよ、フシミは不死身だって!』

ジン:

「……つまらん。3点」


 葵からの冷気属性攻撃を耐え、続けて敵の攻撃にも備える。

 〈不具合報告銃〉による機関銃のごとき掃射、そして〈3徹ハイメガキャノン〉をしのぎきり、戦いは最終局面へ。

 デスマーチが半分に割れ、なかから丸々とした爆弾が出てくる。


葵:

『ファットマン型? まさか、核……?』

シュウト:

「〈責任放棄爆弾〉って、そんな無責任な……!?」

英命:

「破壊しようにも誘爆するだけかもしれません。困りましたね(苦笑)」

葵:

『どうする、ジンぷー?』

ジン:

「……ここをしのげば、俺たちの勝ちだ!」


 ジンは防御を選択。バフを重ねるべく、ユフィリアが特技を放つ。


ユフィリア:

「〈エナジープロテクション〉!」


 ジンが青色のエフェクトに包まれる。ユフィリアは冷気軽減効果を選択したらしい。瞬時に各所に指示が飛んだ。


ジン:

「〈ステディブルワーク〉! 竜の魔力(ドラゴンフォース)!! 更に〈竜鱗の庇護〉(ドラゴンスケイル)!!!」


 黄金のドームを形成。ウロコ盾も配置して万全の構えだった。

 丸みを帯びた爆弾が、コミカルに膨らんで、弾けた。ユフィリアの判断は正しく、氷爆だった。尖った氷の欠片が四方八方に凄まじい速度でまき散らされる。ジンに護られているため、僕らは軽微なダメージですんだ。しかし至近距離で自らの攻撃に被弾したデスマーチはそうもいかない。今ので完全にスクラップと化した。


 最終的な被害状況を確認し、戦闘終了。ペナルティ的なモンスターだったためか、もしくは自爆による自死だったためか、経験点はほとんど得られなかった。それでも金貨やアイテム、装備品はかなり豪華なことになった。強い敵と戦いたがるというジンの悪癖も、結果オーライということで落ち着くだろう。圧勝して報酬も良ければ、すべて良しである。


リコ:

「最後の、どうして普通の爆弾じゃなかったんでしょう?」

葵:

『本当は、プロジェクトを凍結させたかったんじゃないかな。すべてを燃やしたり、壊してしまうのは忍びなかったんだよ、きっと』


 僕らは残骸となったデスマーチに黙祷をささげた。やがて虹色の泡となって消えてしまうまで……。


ジン:

「さて。さっきのギミック、再挑戦するぞ!」

みんな:

「「えっ?」」

ジン:

「んだよ、ちゃんとクリアしないと気持ちワリーだろうが」

ネイサン:

「えーっ!? 今ならそのまま先に進めるのにぃ!」

ユフィリア:

「がんばろっ、きっと、だいじょうぶ!」

スターク:

「まじなのー?」


 そして40分ばかり掛かってダンレボ風ギミックをクリアした。最終的に「おっちょこちょい属性」のある葵の代わりに、MPを供給しているコッペリアというプレイヤーが指示出ししたのが成功要因となった。

 レベル10の激しさに汗を流しつつ、『Clear!!』の表記に感無量だった。クリア報酬のつもりなのか、宝箱っぽい宝箱が降ってくる。それを開けてみると、中は本が1冊入っていた。


ジン:

「……なんだ、それ?」

ラトリ:

「えーっと。うおっ、レシピブックだ!」

葵:

『マジかっっ!?』


 複数のアイテムの作り方が書かれたレシピブックで、いくつかは91レベル以上の装備品のレシピでもあった。明らかにノウアスフィアの開墾で追加されたアイテムのものだろう。これがあれば、システム・アシストでもって作成すれば10秒で完成するのだ(もちろん、対応するサブ職の作成用スキルは必要だけど)。


ジン:

「ほー、初めてだな」

葵:

『アキバでもその話は聞かないしねぇ』


 レシピを共有してしまえば、レシピブック自体にはそこまで価値があるものでもないため、カトレヤ組がブックを受け取ることになった。「矢の新しいレシピないかな?」とか「料理の新作はある?」とかの話をしていたが、ともかく出発になった。


ヴィルヘルム:

「さすがに時間が掛かりすぎている。そろそろ出発しよう」

ギヴァ:

「なんだかんだと3時間近くかかったからな(苦笑)」

ラトリ:

「実入りは悪くなかったから、トントンかなァ~」


 そうして僕らは、ようやく〈ペルセスの地下迷宮〉最奥部へと足を踏み入れることになった。







ジン:

「……にゃんこが居なかった。この先にいなかったら、戻って探さんと」

シュウト:

「そんなこと言ってる場合じゃないですよね?」

ジン:

「言ってる場合ですが、なにか?」


 目が据わっていた。僕にこの覚悟を覆せるとはとても思えなかった。


リコ:

「でもジンさんのせいで1時間はロスしてますよ?」

ジン:

「うま味のある報酬もあっただろうが。……だいたい、葵のせいで2時間ロスしてるのに比べれば、俺の罪なぞかわいいものだな」

葵:

『ハァ!? あたしのせいで2時間だぁ!?」

ジン:

「お前が『いいまつがう』からだろ? ナントカちゃんに変わったら一発だったろーが!」

石丸:

「コッペリア、……コッペちゃんっス」


 石丸さんの「ちゃん」付けはなんか新鮮。


葵:

『ザケんな! そもそもダンジョン攻略で10時間以上短縮してんのあたしやろが!』

シュウト:

「それは、そうなんですけど……」


 そもそも葵が参加してなきゃ、こんなペースで攻略できていない。レギオンレイドのダンジョンがいかに大味とはいえ、1日あたり2~3層ずつ攻略できれば最速クラスだ。アクアによって戦闘後の回復が極限まで短縮されている分を差し引いたとしても、葵の活躍に文句をいう人はもはや残っていない。初見でタイムアタックとか、ちょっとペース早すぎるとかは言われるけど。


ジン:

「どんだけペース早かろうが、それこなしてんの俺らだろうがよ? なに自分ひとりの手柄みたいにいってんのー?」

葵:

『あたしの大活躍があって初めて成立してるんですぅー』

ジン:

「ほんとにぃー? 俺抜きでこのペース維持できるとか思ってんのー?」

葵:

『ちょっとは落ちるかもだけど、誤差だね! 2時間ロスする以上に時間かせいでますぅー』

ジン:

「じゃあ、レイドボスはどうすんだよ?」


 えーっと、大人になるべきは僕らの側ってことだろうか。


リコ:

「すみませんでした。ロスがどうとか余計なことをいいました」

ニキータ:

「偉いわ、大人の対応ね……」

ジン:

「余分なツッコミ入れる段階で子供まるだしだろー?」

葵:

『大人の対応だとか、慰め方も子供だましっつー』

ユフィリア:

「なかよしー! ケンカしてたのに、なかよしー!」


 そしてユフィリアすらツッコミを入れるほどの連携を見せるという。


シュウト:

「というか、普段からもう少し仲良くできないんですか?」

葵:

『だから、仲良くケンカしてんぢゃん』

タクト:

「ケンカして仲良いってことはないんじゃ?」

ジン:

「以前試したが、ケンカしないと噛み合わないし、まともにコミュニケーションもとれなかったからなー」

葵:

『あたしがガチで悪口言い始めたら、こんなもんじゃ済まないって』

ジン:

「ほんと、口の悪さじゃ勝負にならない。性格の悪さもな。葵に弱みを握られてゲームやめてったヤツも片手じゃ足りないらしいぞー?」

葵:

『……ほぅ? あたしの本気を味わいたいらしいな?』

ユフィリア:

「えー?」

リコ:

「こわっ!?」

レイシン:

「はっはっは」


 そんな無駄口を叩いている間に準備完了と相成った。レイドボス前の最後の関門、12層のフロアボス戦が始まる。


ジン:

「なるほどな、アレが宝石ってヤツか……」


 ズラリと立ち並ぶ時計仕掛けの軍団の中央に、怪しく輝く宝石と、美少女の姿をした投影体がいた。間違いなく〈幻影宝石〉だった。


葵:

『どうする、ジンぷー?』

ジン:

「ここは古来からの作法に則り、先制()撃と行こう」にやり


 一歩、二歩と前に出る。カインの長剣を逆手に持ち替えると、勢いよく床に突き立てた。


ジン:

「さて、そこの無能な指揮官よ! 俺たちはここまでたどり着いた。もはや勝負は付いた。大人しく投降しろ。それともこの期に及んで、まだ醜態をさらすつもりか!?」

幻影宝石:

「無論。我々は、最後の1体となっても戦います!」

ジン:

「無様だな。古来より、3割の損害で大敗として撤退する。それ以上の損害では再戦・再起が望めなくなるからだ。この迷宮の9割以上の時計仕掛けを叩き潰されても、まだ勝てるとでも?」

幻影宝石:

「人的被害はありません。ゼロです。時をおけば我が軍は再生産が可能です。損害はないも同然!」


 メチャクチャだが、筋は通っている。全滅する前提の軍隊ということだ。再生産でリポップするなら、何度でも戦えることになる。

 ジンの横顔を盗みみる。静かな表情をしていた。


ジン:

「なるほど。……じゃあひとつ質問だ。前から尋ねてみたいと思っていた。こうした迷宮の構造では、相手がお前らより『少しばかり強ければ』それだけで進入を阻止できない。現に、俺たちがこうして来たように、お前らは俺らの足止めもろくにして成功していない」

幻影宝石:

「それは警備設計上の仕様です」

ジン:

「絶対に誰も通すなと命じられているんだろう? それなのに肝心の迷宮構造は、敵を容易に招き入れてしまう。これは明らかな論理矛盾だ」

幻影宝石:

「…………」

ジン:

「戦力の逐次投入は愚策だ。罪深いほどの愚策だ。なぜ、戦力を集中的に運用しない? したくても出来ないからじゃないのか? 各階層間の、部隊の移動なんざ、想定すらされていないんだろ? 下手すりゃ、持ち場から動くなって指示があるんじゃないのか?」

幻影宝石:

「……なにが、言いたいのです?」

ジン:

「最初から負けるように設計されている。負けるために作り出されていた。だから負ける。それは、お前の責任じゃないだろ」


 ゲームだからだ。もともとゲームなのだから、どれだけ難易度が高くとも、どこかで負ける様に設定されている。……それで全てが理解できた。〈ペルセスの地下迷宮〉がなぜ自分たちにとって好みだったのか、そしてなぜジンが面倒がったのか。彼らが機械だったからだ。この迷宮ばかりは、ゲームとしての〈エルダー・テイル〉に酷似していたのだろう。ゲームそのままの異世界だったとしたら、こんな感じかもしれない。

 

 しかしそうなると、なまじ知性がある〈幻影宝石〉にとっては辛い可能性があった。負けて、壊されるために生み出されたのだとしたら、その意図を計りかねるのではなかろうか。創造主に裏切られていたようなものだ。

 

幻影宝石:

「いいえ。たとえ裏切られていたとしても、そうでなくても、私の有り様は変わらないでしょう。自分の知り得た情報だけで判断しても正しいとはいえません。……覚悟が決まりました。貴方に、感謝を」


ジン:

「(……むぅ。逆にモノとしての覚悟に目覚めさせちまったか?)」

葵:

『(ちょい逆効果っぽくなっちったね。どうしよっか?)』

マリー:

「(うーん、諦めきれないけどー、説得は無理だってわかった)」



ジン:

「最後の通告だ。投降しろ!」

幻影宝石:

「拒否します!」

ジン:

「ならば実力行使するまでだ! 今のうちに考えておけ、敗北を認める言葉をな!!」


 戦闘開始。強引に突っかかっていくジン。

 幻影宝石に指揮される時計仕掛けたちは同じ個体であっても、これまでのものとは強さが変化していた。乱れ飛ぶ七色のビームをかいくぐり、敵の喉元へと襲いかかる。


 戦闘の最中、ジンと〈幻影宝石〉が交戦する距離になっていた。「壊しちゃだめー」とか騒ぐマリーを無視して、〈竜破斬〉で斬り抜けるジン。


ジン:

「……んだと?」


 〈幻影宝石〉の発した分身体はデコイ的な機能として、特技を分身体の方に誘導する能力みたいなものがあると考えられる。しかも、その身体はバリア・障壁にもなっている。ところが、ブースト〈竜破斬〉はバリアを無視して攻撃できる。これらの結果として、「空振りした」のだろう。

 直後にだいたいの事情を察したらしきジンが納得の表情を浮かべていた。至近距離からの七色ビームを躱し、別の敵へと向かっていった。背後からだろうと、ビームは当たらない。


 その後、それなりに苦戦したものの、〈幻影宝石〉のみを残して殲滅完了した。戦闘は、ほぼ終了した。


ジン:

「さっ、てっ、とー。……敗軍の将のコメントを聞かせてもらおうか?」

幻影宝石:

「クッ、殺しなさい!」

葵:

『ぷふー。「クッ殺」、いただきましたー!』

シュウト:

「……敗者に鞭打つのとか、趣味なんですか?」

葵:

『失礼な、そこまで性格悪くは……』

ジン:

「いや、悪いだろ」

葵:

『にゃんだとー!?』


 分身体を再展開する〈幻影宝石〉に、ジンはかぶりを振った。


幻影宝石:

「今からでも、せめて一矢、報いてみせます!」

ジン:

「無駄だ。俺にその分身はもう利かない。俺を倒さない限り、最初からお前らに勝利の目はなかった。諦メロン」


 自分へ攻撃を集めようと最後の挑発を行うジン。


幻影宝石:

「ならば、貴方を倒します!」

ジン:

「むん!」


 七色のビームを避けつつ、踏み込んだジン。分身体を無視し、宝石本体の直ぐ脇に〈竜破斬〉を振り下ろした。分身体が特技を誤誘導するはずなのだが、ジンはそれを無視させてしまっている。


ジン:

「今のはわざと外した。面白い能力だが、こっちの技が誤誘導されるとわかっていれば、その効き目を無効化するのは容易い」


 どうやら幻影宝石を狙わず、あさっての方向を攻撃する要領で、デコイを無効化してしまえるらしい。特技の使いこなしの水準でも、ジンは他者と一線を画する。こういう技術は日頃から訓練していないと使えるようにならない代物だろう。僕も真似して練習しなくては。


シュウト:

(ん? ……今なんか、思い付きそうになったような?)



幻影宝石:

「壊さないのなら、私をどうするつもりですか……?」

ジン:

「一つ頼みがある。それを叶えてくれるなら、悪いようにはせん。約束しよう」

幻影宝石:

「私に未練はありませんが、……なんでしょう?」

ジン:

「〈時計仕掛けの猫妖精〉という個体がいるハズなんだが、……くれ。所属を俺に移して欲しい」びしい

幻影宝石:

「……ほしい、の、ですか?? なんの為に?」

ジン:

「なでたり、抱きしめたり、……愛でるためだな」きらーん


 まさか敵の指揮官に「くれ」と直接に要求するとは思わなかった。理解不能という表情を浮かべる幻影宝石の幻影だった。


スターク:

「えーっ? それがアリなら、ボクもクロックメイデン欲しかったなー」

ジン:

「うるせーぞ、外野。お前のは恋愛とか現実からの逃避だろうが。俺とは切実さが違うんだよ!」

リディア:

「それをジンさんがいっても、イマイチ……」

ヴィオラート:

「わたくしも代償行為だと思います!とっても可愛くて、キュートな女の子からの求愛を無下に断って、罪悪感を覚えないハズがありません! 代償行為に違いありません!」

スターク:

「それ自分でいう? 誰か味方に言ってもらいなよ?(苦笑)」

ヴィオラート:

「ともだち少ないの、知ってるでしょー!?(涙)」


 そして発動する殺戮機械(キリングマシーン)


ユフィリア:

「ジンさんが、いじめた!(ビキュイーン)」コーホー

ジン:

「はぁ? どう見たって悪いのはスタークだろ。……テメェ、俺が相手なら言い易いからって舐めてんだろ。孕ませんぞゴラァ!」ビキビキビキ#

ユフィリア:

「やーん! ごめんなさい、ごめんなさ、い!!」

ヴィオラート:

「手を出しちゃだめですー、わたしもごめんなさい、ごめんなさい!!」


 吹き上がる本気の怒気。謝りながら逃げまどう美女2人。ただ見守るだけの幻想宝石。……カオス。

 そんなことをやっていると、部屋の奥側から時計猫が現れて、ジンに向かって突撃していった。


ジン:

「お! にゃんこじゃないか、やっと見つけたぞ。おいでおいでー?」

時計仕掛けの猫妖精:

「フシャー!!」

ジン:

「おいおい、ジャレるなよー(笑)」ヒョイヒョイ


 何回アタックしても無駄だった。指先でチョンチョンと突っつきながら、攻撃を捌いてしまっている。たぶんあの時計猫のボディを傷つける気がないのだ。98レベルのパーティーランクなのに、まったく相手にもならない。


時計仕掛けの猫妖精:

「なぜ、私を欲する!?」

ジン:

「おー、話す機能まで付いてるのか! 高性能だねぇ?」デレデレ

時計仕掛けの猫妖精:

「撫でようとするな! 答えろ!」

ジン:

「問うってことは、理由に納得すればウチに来るってことだな?」ピシャリ

時計仕掛けの猫妖精:

「むぐっ」


 有無を言わせずに決めつける。動揺する時計猫にジンは言い放った。


ジン:

「フッ。理由は、愛でるためだ。かわいいから、ウチで一緒に暮らしたい。ウチのちっちゃい子たちも喜びそうだしなー。俺らは留守にすることも多いから、あいつらを見守ってくれると助かる。話せるんだったら、話し相手になってやって欲しい。いや、それよりも何よりも、俺が撫でたりしたいんだけどさー。そうそう、ちょっとモコモコした服を着せてみるのとかどうだろう? 手触りのいいやつ!」

時計仕掛けの猫妖精:

「少し待て!」

ジン:

「さ、これでもうウチの子でいいな? ……さ、所属先を変更してくれ」

アクア:

「今の理由で相手が納得できるって、本気で思ってるのかしら?」

ヴィルヘルム:

「実際、理由などどうでもいい話ではないか? 愛情が伝わりさえすれば……」


時計仕掛けの猫妖精:

「元帥、お待ちください!」

幻影宝石(元帥):

「彼は貴方を壊す気がなさそうです。案外、幸せかもしれませんよ?」

時計仕掛けの猫妖精:

「そもそも、最後の1機となっても我々は戦うべきなのでは?」

幻影宝石:

「我々は敗北したのです。敗北の責は、私が負いましょう。貴方は好きにするといい」

時計仕掛けの猫妖精:

「元帥……」


 ちょっとシリアスっぽい雰囲気でやりとりしているけど、あっちの幻影宝石はマリーが欲しがっている訳で、あんまり壊す気はないと思うんだけども。これがいわぬが花ってやつなのかもしれない。


時計仕掛けの猫妖精:

「この身を好きにするといい! その代わり、元帥に寛大な処置を頼みたい」

ジン:

「素晴らしい。その心意気に敬意を払うと誓おう。大事なウチのにゃんこに嘘は付かないよ」

時計仕掛けの猫妖精:

「……とか言いながら、さっそく抱きしめるのか」

ジン:

「もう俺んだろ? あ、所属先の変更手続きは、頼むな?」

幻影宝石:

「了解しました。……完了です。それで、その?」

ジン:

「ああ、分かっている。マリーがお前さんと話がしたいらしい。不満があれば俺に言え、約束だからなんとかしてやる」


 こうして〈カトレヤ〉に新しい仲間が増えることになった。


時計仕掛けの猫妖精:

「これから、よろしく頼む」

ユフィリア:

「よろしくね?」なでなで

タクト:

「まるで本当の猫みたいだ」

英命:

「他のクロックワークスと比べて、造形に秀でていますね」

葵:

『ちょいクロックメイデンっぽいけど、なんで? 理由とかあんの?』

時計仕掛けの猫妖精:

「私は人間やエルフ、ドワーフによって作られた機種だからだ」

ジン:

「たしかアルヴ族に支配されてたんだっけか? じゃあ、猫型のクロックメイデンってことか?」

時計仕掛けの猫妖精:

「このサイズが限界だったようだがな」

ユフィリア:

「名前はどーするの?」

葵:

『バルギャリー殿下でどうよ?』

ジン:

「なんのネタだ? まさかとは思うけど、パクるのはナシだからな?」

石丸:

「グランクレスト戦記っスね」

ジン:

「やっぱパクりじゃねーか!」

葵:

『わはははは!』

時計仕掛けの猫妖精:

「……私の新しい名はどうなるのだろう?」

ジン:

「んー、名前は保留にしよう。ウチのちっちゃい子に付けさせてみる。とりあえず『殿下』って呼ぶから。それと、自分のことは『我が輩』と言うように。『私』はなし。これからは、『我が輩』と言いなさい」

時計仕掛けの猫妖精:

「了解した。殿下は我が輩の名前ではないのか?」

ジン:

「国王を、陛下と呼び掛けるようなもので、敬称ってヤツだ」

殿下:

「我が輩はなにをすればいい? 戦闘には参加しないのか?」

ジン:

「しないしない。そうだなー。しばらくはキャンプ地点での留守番だな。戦闘行為禁止区域だが、誰か入って来たり、出て行ったりしないかどうかを探ってくれ。隠れてやり過ごして情報を得るように。可能な限り戦闘は避けること」

殿下:

「了解した。偵察は我が輩に向いている任務だ」

葵:

『ところで殿下って、何のエネルギーで動いてんの? ゼンマイ?』

殿下:

「魔力だ。動き続けるには、定期的に供給を受ける必要がある。動かなければ少しずつ回復するがな」

シュウト:

「MPってことかな?」

ジン:

「試してみよう。……これでどうだ?」

殿下:

「ムホー!」


 竜の魔力(ドラゴンフォース)を発して、殿下の頭に触れる。……殿下はというと、明らかに喜んでいた。床に仰向けに寝転がり、腹をみせている。


ジン:

「これで良いなら、いつでも供給してやろう」

葵:

『竜の因子って呼んでたのが共感子の因子、『共感因子』である可能性は高いからね。てことは、竜の魔力(ドラゴンフォース)は守備的な〈共感子〉(エンパシオム)だったってことになるよなー』

シュウト:

「なるほど……」


 12層のフロアボスを撃破したことになるため、次はレイドボス戦になる。殿下を連れて戦う訳にはいかないため、僕らはキャンプに戻るつもりでいた。

 一方で幻影宝石との交渉の結果、なぜか管理者サンクロフトのところに行くことになったらしい。サンクロフトのところへ行ってから、キャンプに戻ることになった。

 

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