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156  ハーモニティア

 

シュウト:

「〈デス・スティンガー〉!」

タクト:

「ここだぁ!」

シュウト:

「なっ!?」


 タクトの顔面を狙った一撃を放つ。

 だが、技と繰り出すのと同時に反撃の気配を察知。特技をキャンセルする時間はとうになかった。モーション入力が成立し、システムアシストによる『自動的な特技モーション』が始まるギリギリに、回避運動を織り交ぜる。道理が通じるギリギリのライン。

 しかし、反撃のパンチはこなかった。


 ――ガッッ


シュウト:

(掴まれた!?)


 伸ばされた腕のから延びた手のひらが見え、攻撃がないことで掴まれたことを知った。技後硬直中で動けないタイミング。タクトのターンだった。

 軽いが素早い高速の連打・左ジャブ。右手も加わり、両手で繰り出される拳打の嵐に、やがて自分の体が硬直していった。


シュウト:

「なっ、にっ!?」


 そして地獄の底から響いてくるかのような、ヤツの声を耳にした。


タクト:

「〈極拳〉……!」

シュウト:

「くっ!」


 バックジャンプでとっさに大きく距離を取ろうとしたが、無駄だった。

 〈ライトニング・ストレート〉の、最初の『ラ』を言うかどうかのタイミングで、僕の胸に閃光が突き刺さる。吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられていた。意識がハッキリしていたのはそこまでだった。


 ……ぐちゃぐちゃだった。怒りやみっともなさで。口からあふれる血。ボロボロで訳が分からなくなっていた。頭が真っ白になる。

 自分でもそこからどうやったものか、ともかく地面に叩きつけたタクトを踏みつけ、矢をつがえて言い放つ。


シュウト:

「お前は、ここで 死んでおけ」


 至近距離からの強引な特技発動。命を奪ったぐらいでは到底、気が済まない。もっと徹底的に――


ジン:

「いいだろう、そこまでだ」


 ジンが止めに入ったことで、タクトを殺せないまま試合が終わってしまった。勝ちを告げられはしたものの、内容的にはタクトの必殺技が直撃している。もはや負けに等しかった。







シュウト:

「なんでだろう……?」


 タクトを侮ってはいたが、油断したつもりは無かった。

 結果から逆算すると、顔面への直線的な攻撃を相手は待っていたことになる。ジンが教えようとしていた片軸(へんじく)・内受けのカウンター。それを独学で練習していたのだ。今からすればタネは単純だ。顔面へのストレート以外は捌けない、だから逃げ回って『待って』いたのだろう。


 更に要因をあげれば、あのパンチ用グローブだ。あの装備はダメージへあまり寄与しない代わりに、指先が自由になることでアイテムを扱いやすいことと、服などを掴みやすい点に優位性がある。『掴まれること』を失念し、警戒を怠ったのだ。


シュウト:

(僕が動き回るから、攻撃が当たらない。だから掴んで捕まえたってことか……)


 合理的というよりは、相手の立場になれば『それしか無かった』という風に見える。

 それでもまだ納得がいかない。あの状況でも回避は可能だったのではないだろうか。


シュウト:

(ジンさんなら、レイシンさんも、きっと避けていたはずだ)


 彼らとの違いはどこにあるのだろう? 考えてみれば、最後にバックジャンプしたことに原因がありそうだった。自分でもあまりやらないような動きだった。普段はサイドステップしているのに、どうしてかあの時はバックジャンプしてしまった。

 あれこれ原因を考えていくと、どうやらタクトの動きに釣られたらしいことが分かって来た。


シュウト:

(そうか。普段、レイシンさんの動きを真似てサイドステップするのが癖になっているだけなのかも……)


 タクトが何度もバックステップを繰り返すので、あの素人臭い動きに影響されてしまったようだ。自分の動きで相手にも影響させるような釣り動作は利用したことがある。今回は知らぬ間に自分が影響させられていたようだった。


シュウト:

「結局、運が悪かったってことなのか……?」


 どうしてタクトに一本取られたのだろう。運が悪かった、各種の要素がたまたま重なって悪い方に働いた。しかし、そんなことが原因なのだろうか。問題の本質を捉えられていないような、的に中っていない感覚。それがかすかにひっかかっている。


シュウト:

(ジンさんならどう言うんだろう……?)


 イメージのジンは、半眼でムスっとした顔をしている。突き放すように一言。


妄想のジン:

(フン。ナメてっからだ、バーカ)


シュウト:

(ナメてた? ……アイツを?)


 確かにタクトをナメていた。しかし、僕とアイツは違うはずだ。……では何が違うのか。どこが決定的な差なのか。それが何故、こういう結果に至ったのか。


シュウト:

「あっ。……そういうこと、なのか?」


 どれだけタクトが愚かで、弱くて、気に入らない相手だったとしても、絶対にナメてはいけなかったのだ。自分の思い違いにゾッとする。最大級のミスをしていた。それに気がついてすらいなかった。


 ジンが教えていたのだから、相手も『ジンのシステム』の使い手なのだ。どれだけ運があろうと、偶然が重なろうと、実力が足りなければ意味などありはしない。本当は、自分ならば躱すことができたハズだという確信。それが不満の理由、根本的な違和感の在処であり正体だった。


シュウト:

「実力で、届かせたのか……」


 自分の胸をみる。もう傷も痕跡も残ってはいないが、真新しい『痛みの記憶』は、手で触れそうな気がするほど近くにある。

 偶然が重なったかもしれない、幸運もあっただろうし、僕もいくつかミスをしたのかもしれない。それでも、あの一撃は証明だったのだ。ジンが教え、タクトが培った『実力』の。だから、躱すことができなかった。当てられてしまったのだ。


 タクトの実力を部分的にせよ認めることで、怒りは自然と収まっていた。決して、自分だけが努力している訳ではない。


シュウト:

(というか、ジンさんを疑っていたことになるのか……。 致命的だなぁ~)


 想像するだけで全身の細胞が縮みあがるようだ。ジンが教えていたこと、ジンの技・システムを信じなかったのだから。きっと、向こうは気が付いているだろう。死の罰ゲームもありうる。覚悟を決めなければならない。

 ともかく、二度とこの手のミスはするまい、と決めた。



 しかし、僕の予想は生ぬるい希望的観測に過ぎなかった。







シュウト:

「お呼びでしょうか?」

ジン:

「来たか」

アクア:

「来たわね」

葵:

「来ちゃったか……」


 何か三段活用みたいだったけれど、ツッコミを言うのははばかられた。半地下のスペースにはタクトも来ていた。近くにはリコも居たが、再会の喜びなどはもう落ち着いたのか、微妙な距離がある。


ジン:

「さて、お楽しみのお仕置きなのだが……」

シュウト:

「はい。……覚悟は、できています」

ジン:

「本当に? 絶対? 間違いなく?」

シュウト:

「えっと、たぶんですが、はい」

ジン:

「まずタクトをレイドに参加させる。いいな?」

シュウト:

「……わかりました」


 そのぐらいは何でもない。やらかした失敗に比べれば紙よりも薄っぺらいぐらいだ。


ジン:

「タクト、レイドではシュウトに従え」

タクト:

「分かりました」

ジン:

「コイツの実力は理解したろう?」

タクト:

「それは、痛いほど……」

葵:

「レイドは船みたいなもんだからね。船長に従わないと船が沈んでみんな迷惑するから。あたし、アクアちゃん、ジンぷー、シュウくんの言うことは君の考えよりも優先度が高いの。理解してくれるかな?」

タクト:

「一応は。だけど、自分で考えちゃダメなんですか?」

アクア:

「自分で考えなきゃダメに決まっているでしょう? レイドなのよ?」

タクト:

「あ、はい……」たじっ

アクア:

「自分で考えた上で、それよりも優先度が高い命令があり得ると言っているのよ。余計な行動、無駄な行動は減らして、プラスになる行動を増やしなさい。自分の頭で必死になって考えないで出来ると思わないで」

葵:

「まぁ、まぁ、慣れるまではあたしらがフォローすっから」

タクト:

「分かりました。ご指導、よろしくお願いします……」ぺこり


 流石のアクアだった。3秒かそこらで制御下に置いてしまったようだ。見ているこちらも怖かった。レイドをナメてはいけない。


ジン:

「えっとー、話が纏まったところで本題に入ろっか?」

ニキータ:

「はい……」

シュウト:

「あの、どういったお話でしょうか?」

ジン:

「……強く生きろよ?」ぽん


 肩に軽く置かれた手が、その優しさが怖い。ヤバい。こういうのって、本当にヤバい時のヤツだ……!


アクア:

「昨日、ニキータのレベルがあがったでしょう?」

シュウト:

「はい。94なったと思います」

ニキータ:

「そうね」


 ステータスを見て確認しても同じだ。レベル94に上がっている。


アクア:

「回りくどいのは好きじゃないわ。簡単に言えば、かなり強化されたわ」

葵:

「うん。例のサブ職でね」


 アクアが生み出した〈コーラス〉というサブ職のことだろう。全く新しいためか、どんな能力・性能を秘めているのかまだよく分かっていない。


ジン:

「単なるものまねスキルだし、大したことない結果になるハズだったんだがなぁ~」

シュウト:

「いや、十分に回りくどいと思うんですが? どうなったんですか?」

葵:

「うん。アクアちゃんの能力を部分的に再現できちゃったんだよ」

シュウト:

「……って、あの超威力の援護歌を、ですか?」

ニキータ:

「1曲だけなんだけどね……」


 少し照れたような微笑みで肯定するニキータだった。控えめに言っても凄い結果だ。凄すぎる。しかも影響する範囲が広い。アクアがいない時でも、あの援護歌が1曲限定で利用できることになったということか。それだけで、どれほどの戦力アップになるのだろう……?


葵:

「ストップ。……まだだよ」

シュウト:

「えっ?」

アクア:

「正確にはこれから、ってことね」

ジン:

「よし、じゃあ、いいか?」

ニキータ:

「はい……。よろしくお願いします」


 静かな衝撃が広がっていった。思考が鈍化する。つまり、ジンの能力を、これから、ものまねスキルで取得する……?


葵:

「ジンぷーもさっき言い掛けたけど、単なるものまねスキルになるハズだったんよ。ものまねというか、演技スキルなのかな? だけど、ここにはジンぷーとアクアちゃんがいた。この星の頂点にいるプレイヤーが、2人も」

タクト:

「この星……?」

アクア:

「単なるものまねが、最強のスキルになるだなんて、興ざめね」

シュウト:

(さらっと凄いことを言った!)


 最強のスキル。しかし、ジンの能力を部分的にせよ本当に真似できるとしたら……? そもそも本人の桁や次元が違うのだから、一部分だろうとその結果は『甚大なもの』になる。否、『~にしかならない』というべきだろう。


ジン:

「んで、どうすりゃいいんだ?」

ニキータ:

「よく分かっていないんですが、一定時間、相手の近くにいればいいみたいで……」

ジン:

「一定時間ってどのくらいだ? 10分? 30分?」

ニキータ:

「えと、1分ぐらいかと」

ジン:

「なら1分っていえよ。じゃ、距離は? 1メートルか?」

ニキータ:

「もう少し、近く、です」

ジン:

「……ハグして欲しいんだったら、そう言ってくれないと」

ニキータ:

「ハグまでは、大丈夫です」

ジン:

「照れちゃって、まぁ~」ニヤニヤ

ニキータ:

「照れてません……」


 そう言って横を向く。ニキータの微妙な恥じらいが、なんとも新鮮な感じだった。いろいろな意味でドキドキしてきた。


ジン:

「ちっとやる気、出てきちったな!」ギラン

ユフィリア:

「ジンさんのえっち。ニナに変なことしたらダメだからね!」

ジン:

「これはお前の大事なニキータのパワーアップのためなんだぞ? 少しは我慢してもいいんじゃないのかな~?」にやりん

ユフィリア:

「むぅ~っ」

アクア:

「言いたい放題なのは分かったから、そろそろ始めて頂戴?」

ジン:

「あいよ。……心の準備はいいか?」

ニキータ:

「は、はい」


 大きく息を吸い込むジン。だんだんと意識が高まり、広がっていく。意、至る、気。極大の意識にいざなわれ、極大の気が集まってくる。このビルが小さく感じるほどの圧迫感。


ジン:

「おおおおっ。オーバーライド!!」


 かなり本格的なオーバーライドだった。空気が沸騰しそうなほど、激烈な圧力が放射される。


シュウト:

「くっ!」

リコ:

「ぎゃー!? 何なの?」

タクト:

「なんて……!!」


ジン:

「よし、大樹と接続した。限定解除。いくぞ、全開!竜闘気(ドラゴニックオーラ)!!!」

ニキータ:

「キャーッッ!!?」


 逃げようとするニキータを捕まえて片腕でハグするジンだった。

 ……やがて石丸の声で1分が終わったと告げられる。念のため10秒ほど長めに時間を取ることに。そうしてジンのオーバーライドから解放されたニキータだった。腕の中でクタクタになっている。


シュウト:

「……って、ドラゴニックオーラってなんなんですか? また新技ですか?」

石丸:

「ダイの大冒険っスね」

ジン:

「ノリで言っただけのドラゴンストリームだ。テンションを上げるための掛け声みたいなもんよ」むふん

シュウト:

「そうですか……」


 どっと疲れに襲われた。でも、大事なことかも知れないので覚えておこうと思う。


ジン:

「さてと、どんなもんだ?」

ニキータ:

「……巧く、いったと思います」


 続けてジンの能力を再現する実験へ。ジンの腕を逃れ、フラフラになりながらもなんとか立っている。心配したユフィリアが近づこうとするのを手で止めていた。

 

ニキータ:

「えっと……、こう?」


 特に変わったようには見えなかったが……。


ジン:

「おっ、いいじゃん!」

ニキータ:

「でも、これって、なんだか……」


 恥ずかしそうにモゾモゾしながら、手でアチコチを隠していた。そのまま腰が抜けたみたいに、ぺたんと座り込んでしまうニキータだった。その姿が、どこか可愛らしく見える。


葵:

「ん? どったの?」

アクア:

「何が変わったのかしら?」

ニキータ:

「あの、服は着ているって分かってるんですが、なんだかスケスケなんです。体が透明になって、内蔵まで見えちゃってるみたいな感じがして」

ユフィリア:

「透明、なの?」

ジン:

「あー、はいはい。内観だな。臓器の形が分かるんだろ? 見えるみたいにハッキリと」

ニキータ:

「そうです」

シュウト:

「……は?」

タクト:

「何なんだ?」


 何を言っているのかさっぱり分からない。それってどういう状態?


ジン:

「立てるか?」

ニキータ:

「その、力が、巧く入らなくて……」


 ぷるぷるとして立てない感じは、生まれたての仔鹿に近い。


ジン:

「おいおい。レギュラームーブメントで動かそうとするなよ。俺の体なんだぞ? いや、俺のじゃないけど。まず中心軸を立てるんだよ」

ニキータ:

「えっと……」スクッ


 強烈な、僕にも分かるほど強力な中心軸が輝いていた。かなり構造的に強靱なものだろう。急にシャッキリしたというか、吊り上げられたみたいにスルリと立ち上がっている。


ジン:

「今の体の状態を説明してみ?」

ニキータ:

「はい。全身が、皮膚や筋肉のことですが、透明な、水でできたゼリーになった感じがします。腕や足は、いえ、それだけじゃなくて全身が、バラバラです。バラバラのまま、まとまっています」

ジン:

「バラバラなんだな? 関節はどうだ?」

ニキータ:

「……動かすとぬるっとするというか、もっと抵抗がなくて、少し粘り気があるような感じです」

シュウト:

(すっ……)


 圧倒されてしまった。あまりの結果に、もうどう考えていいのかわからない。


レイシン:

「歩けそう?」

ニキータ:

「えっと……」

ジン:

「支持線を後ろに動かせ。これも教えてあんだろ?」


 映像としては消えていないし、連続しているのだが、僕が見ていた感覚としては、スッと一度消えて、一瞬の後、現れて『感じた』。さらなる驚愕に、顎が外れそうになっている。


ユフィリア:

「どう?」

ニキータ:

「……凄いの。まるで抵抗感がなくて。邪魔するものが何も無いというか。今まで自分自身に邪魔されながら歩いてたって、初めて分かった」


 アレは『武蔵の剣』の動きだ。つまり、『普通に歩くだけ』でその水準ということに。とてもじゃないが勝ち目がない。もはや次元が……。


アクア:

「どんな気持ちかしら?」

ニキータ:

「呼吸するのがすっごく楽なんです。フリー、自由ってこういうことなんだなぁって。まるで薄暗くて、狭くて、寒いところから解放されたみたいな気持ちです。生きているのがこんなに素晴らしいことだったなんて、知らなかった……!」

葵:

「人間賛歌ってヤツか」

ジン:

「あー、まぁ、けっこー前の状態だけどな。オーバーライドはできそうか?」

ニキータ:

「いえ、わかりません」

ジン:

「そりゃそうか。えっとー、その辺は後回しだな(苦笑)」


 とんでもないことになった。とんでもないことになったことだけ、どうにか理解できた。


ニキータ:

「あの、ずっとこの状態でいたいんですが……?」

ジン:

「へっ?」

ニキータ:

「その、ダメ、ですか?」


 懇願するようなニキータの上目遣いにジンが気圧されている。


ジン:

「いや、スキルの仕組みがどうなってるか知らんけども。なんつーの? 過去のその辺りの時期の『俺』に影響されるぜ? いいのか? 性格に影響が出ても責任とか、とれないんですけど?」

ニキータ:

「……構いません」

ジン:

「だから、その、自分の体でゆるめる努力をしろって。今の内に努力しとかないと、現実世界に戻った時につらいぞ?」


 ニキータから近づいてくるためか、たじたじになっているジンだった。かなり珍しい光景のような……? それはともかく。


シュウト:

「あの、レイシンさん」

レイシン:

「うん。どうかした?」

シュウト:

「正直な話、……勝てそうですか?」

レイシン:

「ニキータさん? んー、難しいと思うよ」


 やはりだった。彼女は、僕らを越えて強くなってしまったのかも。『そういうこと』なのだろう。


葵:

「ダーリンでも厳しい?」

レイシン:

「まぁねぇ。今はまだいいけど、あの体になじんで戦い方を覚えたら、もうダメじゃないかな~」

シュウト:

「それって、アリ、なんでしょうか?」

レイシン:

「それはわかんないけど。たぶんね」



 スキルの力で最強クラスの強さを手に入れて、それで本当に良いのだろうか。今の自分の感情がどっちを向いているのかすら、よく分からなかった。

 嫉妬しているけれど、羨ましくはない、というような? いや、その逆かもしれず、曖昧な感覚で判別は難しい。あの方法でジンの力を手に入れたくはない。けれど、あの状態を体験してみたい。かなり切実に。


 ユフィリアの後ろに隠れるジンの情けない姿を目で追いながら、僕はそんなことを思っていた。



 ふと、ニキータと目があった。嬉しそうな笑顔は、どこか子供に戻ったみたいな印象を与えるものだ。きっと柔らかさの影響だろう。


ニキータ:

「シュウト」

シュウト:

「う、うん」


 緊張しているようなドギマギとした感じに戸惑う。


ニキータ:

「私、ちょっとだけ強くなれたみたい」


 ちょっとどころの話じゃないでしょ!とは思ったが、はにかむような笑顔の彼女に目を奪われる。


シュウト:

「うん。おめでとう……」


 口から自然と出た言葉が、祝福のそれで良かったと他人事のように思った。


ニキータ:

「ありがとう」にっこり

シュウト:

「……!」


 仲間内の在り来たりな会話であり、挨拶みたいなものだったはずだが、とろけるような笑顔と飾らない姿、その美しさに見とれてしまっていた。


 恥ずかしいことに、僕はこの日、初めて彼女と出会ったのかもしれなかった。いったいこれまで何を見てきたのか? そんな気持ちもあったが、彼女の存在を初めて強く意識したのだった。


 一番近くにいた仲間であり、自分より強くなってしまったひと……。



シュウト:

(あ……、そうだった……)


 急激に、感情が凍り付いていく。誰か別の人を、僕は強く想うことが出来ないようになっている。ユフィリアへの想いは、まるで氷でできた呪いのようだった。寂寥感が吹き抜けていく。他の誰かを想うことなど、今の僕には贅沢に過ぎた。



 その後の実験と検証で、ものまねスキルの性質が段々と分かってきた。石丸の魔法は再現できなかったが、計算力や記憶力は再現できたらしい。それとジンの〈竜破斬〉や〈守護戦士〉の特技も使えなかった。


アクア:

「ということは、他クラスの特技は使えないのね?」

ニキータ:

「はい、そうみたいです」

ジン:

「個人の特性を再現する能力、ってことか?」

葵:

「料理はできるのかな? 調理スキルは再現してくれなさそうだけど」

ユフィリア:

「ニナはもともと料理ができる人だよ?」

ニキータ:

「レイシンさんと比較されると困りますけど」

葵:

「ふーむ。線引きが難しいねぇ」

リコ:

「特技の再現ができないなら、あんまり意味は無いってことですか?」

アクア:

「いいえ。そうはならないわ」

葵:

「むしろ、特技によらない技術をトレースする能力って表現すんのが近いのかもしんないし?」

ジン:

「ノウアスフィアの開墾、か……」


 何でもあり、という風にはならなかったようだが、ほとんどそれに近いような気がしてしまう。


葵:

「名前はどうすんの?」

ニキータ:

「まだ、何も決めていません」

ジン:

「何か考えろよ。たとえば、……トレース・クシュリナーダ的な?」

葵:

「トレーズ、な」

シュウト:

「モノマネって英語だとなんて言うんですか?」

石丸:

「辞書的にはミミックやミミックリィっスね」


 パフォーム、アクト、コピー、トレース、シンクロナイズ、リプロデュースなどの案がでるが、イマイチということで却下される。


ジン:

「じゃあ、ドッペルゲンガー的な?」

シュウト:

「モノマネのモンスターですね」

石丸:

「ドイツ語で『二重』を意味するドッペルと、『歩く者』を表すゲンガーの合成語っス。遭遇してしまうと近い内に死ぬという言い伝えがあるっス」

葵:

「それネットで見たよ。顔を作る遺伝子配列の数が一定しかなくて、どうしても同じ顔ができちゃうらしいじゃん」

ユフィリア:

「そうなんだ~」

ニキータ:

「調和とか鏡、反射とか?」

石丸:

「調和はハーモニーやハーモナイズ、鏡はミラー、ミラーリング、反射はリフレクト、リフレックスっス」

ジン:

「あの曲ってなんだったっけ? ラララララ~ラ~♪」

葵:

「トゥルー ティアーズだな」

アクア:

「……歌えるわよ。歌詞までは流石に覚えていないけれど」

ジン:

「マジか!? 石丸、歌詞わかるか?」

石丸:

「大丈夫っス」


 脱線いちじるしいのだが、黒板に歌詞を書き出し、アクアが読めるようにしばし作業を行った。テレビサイズというのを歌ってもらうことに。


アクア:

「♪♪♪♪♪♪♪~♪ ♪♪♪♪♪♪~♪♪~♪」

ジン:

「ぅぉぉぉぉぉ!(小声)」

ユフィリア:

「綺麗な歌~」


 アクアが歌えばなんだって綺麗な歌になる気がするけれど、それはともかく、そろそろレベル上げに行かなければならない時間だ。


ニキータ:

「あの、リフレクティアってどういう意味なんですか?」

ジン:

「む、……知らねぇな」

葵:

「そーいや、なんだろうね?」

石丸:

「造語っスね。リフレクトとティアを合成したものっス」

ユフィリア:

「じゃあ、ティアってなぁに?」

石丸:

「tierは段や層などの重なりを表す言葉っス」

葵:

「ティアード・スカートとかも同じだね」

ユフィリア:

「そっか。段々になってるってことかな?」

ニキータ:

「ハーモニー、ティア……」

アクア:

「あら、良いんじゃない? それにしたらどう?」

ジン:

「決まったのか?」

ニキータ:

「はい。ハーモニティア、にします」

葵:

「『ハーモニティア』か、うん。いいんじゃないかにゃ?」


 結果、ニキータの能力は強化された。この時点ではまだ何も理解はできていなかった。これが『強化』などという言葉では生温い事件だったことまでは……。







 その後、レベルアップのためのドラゴン戦にやってきたのだが……。


ジン:

「ミニマップっていうのは、飛行機でいうレーダーみたいなもんだ」

ニキータ:

「はい」

ジン:

「〈大災害〉前だと、パイロットが見ていた計測機器がミニマップだったわけだ。でも今の俺たちはパイロットじゃなくて『飛行機』なんだよ。この違いが……」


バーミリヲン:

「なるほど、道理だな」

Zenon:

「なぁ、アレって何を教えてるんだ?」

シュウト:

「えと、ミニマップだと思います」

Zenon:

「いや、そりゃわかるんだけどよ……」


ニキータ:

「この立体が把握できる感覚ですよね? 視覚的じゃないんですけど、全部の方向に目があるような」

ジン:

「そう。そんな感じのヤツな」

ニキータ:

「厳密にはミニマップじゃなかったんですね」


ウヅキ:

「まさか、一発で使えるようになりやがったのか?!」

シュウト:

「たぶん……」


 考えてみればジンの意識構造を宿しているのだから、すぐに出来てもおかしくない。ミニマップも余録としてゲットできるとは思わなかった。……正直、羨ましい。


アクア:

「いい感じね。レベルアップを兼ねて、慣らし運転をしましょう」

ユフィリア:

「それとね、今日から参加してくれることになったの」

タクト:

「タクトです。レイドの経験はありませんが、迷惑をかけないようにがんばります。ご指導、よろしくお願いします」ぺこり


 普通に礼儀正しく振る舞えることにイラっとさせられる。ここのところの態度の悪さはなんだったのか。嫌いだ、コイツ、嫌いだ。


ジン:

「青筋立ててんじゃねーよ」

シュウト:

「……はい」

ジン:

「うし、いくぞぉー!」


 ズンズンと歩き始めるジンに、遅れないように付いて行くしかなかった。


 しばらく行ったところで〈ドラゴントゥースウォリアー〉がモコモコと大地から生み出される。戦闘開始。

 普段は引き気味にしているニキータだったが、今日は慣れさせるためにと前でアタッカーをやることに。


ニキータ:

「〈レゾナンスビート〉!」


 〈エレガントアクト〉で回避率を上昇させた状態で、鮮やかに躱し、次々と攻撃を当てていく。〈レゾナンスビート〉の2撃目をカウンター気味に斬り抜けて炸裂させた。ジンがアタッカーだったらこんな感じだったかも?というような光景が展開されている。敵との能力差が生み出す『無造作』な印象が、際立つ存在感を与えている。

 

ウヅキ:

「マジか。手がつけらんねぇな」

ケイトリン:

「ああ、なんて美しい……」うっとり&ホクホク


 続くドラゴンとの遭遇戦で、ニキータの実力が本物だと証明された。偽物のハズがないのだが、レイシンと互角かそれ以上の戦闘力をもったアタッカーが参戦したことで、巨大なドラゴンをあっという間に劣勢に追い込んでいく。


石丸:

「新技をお披露目するっス」

ジン:

「おっと、そりゃ見逃せねぇな!」


 石丸とドラゴンを結ぶライン上から味方が退避。そのタイミングに合わせて、魔法を発動させる。


石丸:

「ブーステッドスペル〈フラッシュニードル〉!」


 フラッシュニードルは、ドラゴンや巨人と言った大型種、もしくはモブエネミーの防御を貫通する『魔法の針』で攻撃する魔法だ。ドラゴン戦で石丸が多用する定番魔法のひとつだ。

 その『魔法の針』が、無数の巨大な杭へと姿を変えていた。高速で射出され次々と突き刺さると、ドラゴンのHPゲージを瞬く間に削っていく。


バーミリヲン:

「なんという威力だ!」

スターク:

「ナニソレ!? アハハハハ!」

ジン:

「いろいろ聞きたいこともあるが、まずキッチリ仕留めろ!」


 ドラゴンの逃げを封じる〈ヘヴィアンカー・スタンス〉で味方を支援するジン。複数人で特技を叩き込むことで無事に殲滅する。そしてすかさず素材の確保に移る。


ジン:

「っしゃあ! キリキリ毟り取れ! ハイエナの如く!」


 金目の物を欲するギラ付いた目で、ドラゴンの死骸に襲いかかる。ここで一枚でも多くウロコを集めると、その分だけお金が……、否、アキバの街に流通するドラゴンの素材が増えるのだ。

 仲間が増えたことで儲けが圧縮されているので、ドラゴン狩りだけやっていた時よりフトコロに余裕がなかったりする。強力なレイドボスとの戦闘では決戦用装備を使うため、その修繕費もバカにならない。



ジン:

「んで? どうなってんだか聞かせてくれよ」

石丸:

「スペルの言語的な問題を加味して、英命さんに協力をお願いしたっス」

英命:

「相談を受けて少しばかり協力させていただきました」ニコニコ


 かなり前からブースト呪文の話はでていて、開発が滞っていたのだ。ブレイクスルーの理由が一撃で理解できた。納得である。


シュウト:

「……もしかして、障壁も強化した呪文が作れるんですか?」

英命:

「可能とは思いますが、望んでいる形になるかはわかりません」

リディア:

「それは、どういう……?」

英命:

「狙った通りの強化が可能かどうかはわかりません。呪文自体、プログラム的なものではなく、フレーバーテキストのようなものですから」

シュウト:

(物理系のクラスでよかったぁ~……)


 魔法使い系のクラスだったら、今頃、強くなるのを諦めていたかもしれない。


英命:

「私は〈鈴音の障壁〉を強化する方向で研究してみます」

スターク:

「うーん。元になってる言語が違うからな~」

タクト:

「リコも頼んでみたらどうだ?」

リコ:

「私は大丈夫。どちらかといえば、新しい召喚生物と契約したい」

リディア:

「あ、あの……!」

英命:

「ええ、わかっています。一緒に考えてみましょう」


ユフィリア:

「スッゴイ魔法、私も使いたいなぁ」

ジン:

「あれって、口で言うんだろ? 覚えられんの? つか、舌回るのか?」

ユフィリア:

「大丈夫だもん。たぶん。ひとつぐらいなら!」


 自信あるのか無いのか分からない返しだった。


アクア:

「……そういえば、白の聖女なら使えるかも」

クリスティーヌ:

「噂は耳にしていますが、アレは本当なのですか?」

Zenon:

「そっちは何の話だよ。白の聖女だって?」

スターク:

「空を覆う巨大なオーロラヒールだね。……事実だよ」

ジン:

「つーか、本人を見た印象だと、そんな真似、できそうにゃ思えないんだがなー。なんか秘密があるだろ、ぜってー」

シュウト:

「あはははは」


 魔法力が凄いとかいうよりは、アイテムの力だろうと思ってしまう。魔法のアイテムを作成する能力は段違いだった。


Zenon:

「で?」

シュウト:

「で?」

Zenon:

「おい、大事な話だろ。白の聖女っていうのは、美人なのか?」

スターク:

「うん。……凄いよ」きらん☆

タクト:

「凄いのか……?」

リコ:

「ちょっと、タクト!?」

ジン:

「2人組でな、片方は天上の美だったな。分かりやすく言えば、『オッパイのあるユフィリア』って感じだった」

Zenon:

「うおおおお!? それじゃ、無敵じゃねーか!」

ニキータ:

「貴方達、失礼よ!」


 ニキータが怒った。意訳すると、胸囲のサイズを弱点みたいに言うなということだろう。


アクア:

「まったく。その情報は秘密なのよ?」

ジン:

「ん? オッパイが?」

スターク:

「2人組」

ジン:

「ああ……」

ユフィリア:

「ジンさん。あのね、私ね?」

ジン:

「分かってる。レイドが終わったらな」

アクア:

「ええ。レイドが終わってからね」

ユフィリア:

「ホントに? 連れてってね、約束だからね?」


 どうやらオッパイのある自分に会いたいらしい。どういう心境なのやら?という感じだ。


Zenon:

「ところで、明日って、メシはどうするんだ?」

ジン:

「ん? 昼メシ食ってから集合だろ」


 予定では明日レイドボス、ヴァーグネルとの戦闘になる。夜にしか戦えないので、3時頃に集合だろうか。


スターク:

「戦闘開始は夜だよね。夕飯はどうするの?」

アクア:

「長丁場になる可能性もあるわね……」

レイシン:

「ちょっと早めだけど、ご飯食べてから出発する?」

バーミリヲン:

「それはありがたい」


 お昼ご飯を早めにとるなどして、調整することになりそうだ。


ユフィリア:

「んーと、長丁場になるの?」

ジン:

「その辺は俺も聞いておきたいところだな」

アクア:

「いいわよ」

ジン:

「ついでだ。ここで休憩を兼ねて打ち合わせといこうか。葵を呼んでくれ」

ユフィリア:

「うん!」


 付近にモンスターは居ないようなので、道ばたで休憩ということになった。


葵:

『ほい、おまっとさん! あたしが来たからには、無論、敵なしっ!』

ジン:

「それはともかくとして……」

葵:

『流すな、ジンぷー!』

シュウト:

「でも、長丁場になるんだとしたら、葵さんのタイムリミットが問題になりますよね?」


 竜眼の水晶球は使用にMPを使うので、葵のレベルだと1時間は持たない。40分前後だろう。前回のレイドボス、炎爪竜ビートホーフェンとの決戦がその約40分だったので、今回はさらに長くなる可能性は十分にあった。


ジン:

「だからレベルを上げろ、レベルを」

葵:

『やだ。永遠の23歳だぞ?』

ジン:

「EXPポッドのためだろ。いいから29まで上げろよ」

葵:

『それじゃ30歳過ぎって言ってるようなもんじゃん!』

ジン:

「30なんかとっくに越えてんだろうが。イチイチこだわってる場合か。ちったぁ妥協しろ」

葵:

『に、にじゅう、ご?』

ジン:

「28でいいだろ」

葵:

『偶数はダメ。なんか老けてる感じするし』

ジン:

「偶数歳の人に謝れ!」


 27歳……じゃなかった、えー、レベル27までなら上げてもいい、というワガママな結論に。曰く『27歳って色っぽくね?』とのことで満更でもなさそうだ。


葵:

『そろそろ結婚しようかな?とか思ってる感じが、ちょうど腰つきに出る年頃ってゆーの?』

ジン:

「知ったことか!」

リディア:

「ちょっとぉ、いい加減に打ち合わせ……ゴメンナサイ!」


 強気な態度で行こうとしたリディアだったが、途中で心が折れたらしい。(まぁ、しょうがないよね。相手が相手だし)


アクア:

「プレイスタイルは人それぞれだもの。それを他人が強要するのは誉められたことじゃないわ」

Zenon:

「レベルぐらいいいじゃねぇかって思ってたが、そういう意見もあるか」

バーミリヲン:

「だが、話が進まない」

スターク:

「しょうがないなぁ、僕が仕切るよ。じゃあ、長丁場になりそうってことからだね」

アクア:

「単純よ、ワーグナーの曲は4日かけて演奏されるものもあるぐらいだもの」

石丸:

「『ニーベルングの指輪』っスね」


 この段階で知ってることが何もない状態である。


シュウト:

「あの、ワーグナーで有名な曲ってどんなのがあるんですか?」

スターク:

「そこから!?」

ニキータ:

「日本で一番有名なのは、やっぱり『結婚行進曲』でしょうね」

ユフィリア:

「ちゃーん、ちゃーん、ちゃちゃーん?」

ジン:

「うおー、それすげー有名じゃん!」

スターク:

「……頭悪そうだよ、すっごく」やれやれ

ジン:

「うるへーわ、ほっとけ!」

葵:

『ワルキューレもでしょ?』

アクア:

「『ワルキューレの騎行』も、『ニーベルングの指輪』の中で演奏される曲ね。結婚行進曲は、『ローエングリン』の中の曲だったはず」

石丸:

「そうっスね」

ジン:

「むむむ。『ワルキューレの騎行』ってどんな曲? なんか古いファミコンにそんな名前のソフトがあったような……?」

英命:

「映画『地獄の黙示録』で使われたことで有名ですね」

葵:

『戦争映画とかジンぷー見ないだろうしなー。『GATE』ってアニメでその映画のオマージュをやったんよ。戦闘ヘリから大音量の……』

ジン:

「あーっ! アレかぁー! チャンチャラッ、チャーンチャーン~♪」


 口遊(くちずさ)んでもらえると、どこか聞いたことのある曲だと分かる。ここで変にクチバシを突っ込むと、痛い目をみるパターンなので、曖昧な顔をしつつ聞いておくだけにする。


ジン:

「他に俺が知ってそうな曲は?」わくわく

葵:

『ジンぷー、うぜぇ』

石丸:

「ジンさんなら、やはり『ニュルンベルクのマイスタージンガー』っスね」

アクア:

「どうしてその曲を?」

ジン:

「『ブギーポップ』かよ!? ……ヤバい、死神が来る」

葵:

『ジンぷーは『世界の敵』だし、始末してもらえば?』

ジン:

「返り討ちにしてくれるわ! って、そういうことかー。あー、なるほどなー」

シュウト:

「何か、分かったんですか?」

ジン:

「まぁ、たぶんな。今度の敵は……」

 

 


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