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戦闘員A(雑魚)、中身は伝説のフィクサー。~洗脳が効かなかったので、無能な幹部を裏から操り、窓際姫を悪の女帝にプロデュースします~  作者: 祝日


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第15話:兵糧攻めの「第7支部」

「……緊急監査だと? 笑わせるな、あの筋肉ダルマが」


 本部の補給局長室。ドラクマは、ヴォルガス将軍が叩きつけた「横領の証拠」を、シュレッダーにかけるまでもなく手の中で握りつぶした。  目の前には、冷や汗を流しながら直立不動で立つモルク査察官がいる。


「モルク。ヴォルガスが持っていたあの出所不明のメモ……あれは、お前のところから漏れたのか?」


「い、いえ! 滅相もございません。査察部としては厳重に管理しておりましたが、何せ軍事局は力ずくで情報を奪う野蛮な連中でして……」


「ふん、まあいい。あのアホを焚きつけた『ネズミ』がどこにいるかは、察しがついている」  ドラクマは、モニターに映し出された第7支部のボロアパートを、忌々しげに睨みつけた。 「アルティナの小娘……。デッドホーンという不良在庫を処分してやった恩も忘れ、分不相応な知恵をつけ始めたか。……身の程を教えてやる」


 その日の午後。第7支部に、本部からの「事務連絡」が届いた。  内容は、原材料高騰および物流ラインの不備を理由とした、第7支部への「全物資・エネルギー供給の無期限停止」。  それは事実上の、死刑宣告だった。


「……電気が消えたわ。ガスも、水道も」  夕闇に包まれたアパートの食堂で、アルティナが力なく呟いた。  先輩戦闘員たちは、空腹と暗闇の中で力なく床に座り込んでいる。本部の「蛇口」を握るドラクマにとって、小生意気な末端支部を潰すなど、事務手続き一つで済む作業なのだ。


「イーッ……(腹減った……。これじゃ戦うどころか、イーッとも鳴けねえよ……)」


 絶望的なムードが漂う中、俺は暗闇の中で懐中電灯を点け、カチカチと電卓を叩いていた。


「(……閣下、ご安心を。相手が『兵糧攻め』を選んだ時点で、この勝負、俺たちの勝ちです)」


「えっ……? でもクロウ、食べ物も、明かりも……」


「(政治の世界じゃ、供給を止めるのは強者の特権ですが、同時に『相手を完全に支配下に置いた』という慢心を生む。……相手がこちらを死に体だと思って油断している今こそ、喉元に刃を突き立てる絶好の機会です)」


 俺は懐から、一冊の古い帳簿を取り出した。  以前、あの寂れた商店街を「再生」させた見返りとして、帳簿の端に隠しておいた裏金。そして、あの時泥臭く築き上げた地元の店主たちとの「貸し借り」のリストだ。


「(本部のエネルギーラインが止まったなら、民間のインフラを引っ張ればいい。本部の配給が止まったなら、地元のスーパーの特売品を買い占めればいい。……ドラクマは、俺たちがアビスのシステムに頼らず、この街の『住民』として根を張っていることを、まだ知らない)」


 俺はボイスチェンジャーの音量を絞り、暗闇の中で冷徹に微笑んだ。あの改造手術の直後、絶望的な沈黙の中で初めてこの「異物」を操作し、無理やり言葉を発した時のことを思い出す。言葉さえあれば、嘘もハッタリも、そして「交渉」も可能だ。


「(さあ、モルクを動かします。ドラクマが『蛇口』を閉めたせいで、本部内に溜まった逆流……その圧力を利用して、あの肥太った局長を破裂させてやりましょう)」


 第7支部の逆襲は、真っ暗なアパートの一室から、静かに、そして泥臭く始まった。

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