天理五則(てんりごそく) ― そらの きまりごと ほか
新人洞子向け教本「霄穹の礎」より
天理五則 ― そらの きまりごと
ねえ、知ってた? この世界がまだ何もなかったころ、
空にはね、とっても大切な「五つのやくそく」があったんだよ。
それが、「天理五則」っていうの。
なんだか難しそう? 大丈夫、大丈夫!
これはね、空と地といのちが仲よく暮らすためのルール。
ちょっと聞いていってよ。きっと「ふーん、なるほど~」って思えるからさ。
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一、存在の理
いちばん最初、世界には「なにもない」があったの。
でもね、その「なにもない」の中に、「なにかになろうとする気配」がひそんでいたんだよ。
見えなくても、聞こえなくても、「ちゃんとある」って信じたとき、
それはもう、そこに“ある”ことになるの。
> 見えないものにも、ちゃんと意味があるんだよ。
「いる」って決めたら、そこに“いる”んだからさ。
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二、変化の理
草も火も水も、ずっと同じ形じゃいられない。
世界はつねに、くるくる変わってる。
でもね、それでいいの。変わることは自然なことなんだ。
「変わる=悪いこと」なんて、そんなことないよ。
> 変わるってことは、「まだ生きてる」ってことなんだ。
昨日と違う今日を、大切にしようね。
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三、因果の理
何かをしたら、何かが返ってくる。
やさしさは、やさしさを。言葉は、言葉を。
イジワルなことをしたら、それなりのものが返ってくるかもしれない。
だけど、やさしいことをすれば、世界もちょっとやさしくなるかも。
> ちょっとだけでもいいから、思いやりをこめてみよう。
きっと、自分にも返ってくるよ。
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四、循環の理
命は、生まれて、終わって、でもそれで「おしまい」じゃないんだ。
ぐるりとめぐって、また別のかたちで帰ってくる。
水も、風も、時間も、くるくる巡ってる。
命もまた、その大きな流れの中にあるんだよ。
> たとえ会えなくなっても、
きっとどこかで、また出会える。そんなふうに世界はできてるんだ。
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五、誓約の理
「やくそく」って、ただの言葉じゃない。
本気のやくそくは、見えないけど強い絆になる。
でも、それを破っちゃうとね、空がちゃんと見てて、
「おーい、ホントにそれでいいの~?」って言ってくるんだ。
> 大事なやくそくは、大切に守ろう。
忘れないって決めること、それがきっと“強さ”なんだよ。
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おわりに
この五つの「理」はね、目には見えないけど、
空の上で世界を支えてくれてる柱なんだって。
君が迷ったとき、泣いたとき、笑ったとき――
きっとどこかで、そっと「だいじょうぶ」ってささやいてくれてる。
> 天理五則を知るってことは、
世界を大切にすること。じぶんの心も、大切にするってことなんだよ。
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塵常界古代石碑「天理碑文」より
天理五則 記於此
天地之序、萬象之綱也。
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一、存在之理
天地未分、兆孕兆、影孕實。
有依理、無歸理。
無形者、得理成形。
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二、変化之理
萬象不久。
草發芽枯、火燃盡。
相移重連、崩者芽始。
是為変環。
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三、因果之理
無因無果、無果無因。
播種生芽、發言響返。
行成環、念織緣。
是為業軌。
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四、循環之理
命生朽、還宿。
水風時巡、不止。
枯歸根、朽歸土。
是為命環。
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五、誓約之理
言成契、帶力生絆。
誓動天、偽背理。
破誓者、不免理裁。
是真證、理嚴也。
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五則者、天規、道柱也。
違者墜理外、破秩序。
故畏守從以治之。
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霄穹界法典「天理法典」巻一、章三より
天理五則
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一に曰く、存在の理(そんざい の ことわり)
天地いまだ分かれざる遠つ世より、兆しは兆を孕み、影は実を孕む。
在るは理によって在り、無もまた理に帰す。
姿なきもの、理を得て、かたちとなる。
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二に曰く、変化の理(へんげ の ことわり)
万象、久しきにとどまらず。
草は芽吹きて枯れ、火は熾りて尽く。
すべての相、移ろい、重なりて連なれり。
崩れしは芽吹きの始。是れ、変の環なり。
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三に曰く、因果の理(いんが の ことわり)
因なきにして果は無く、果なきにして因も無し。
種を播けば芽生え、言を放てば響き返る。
行いは環を為し、念いは縁を織る。
是れ、業の軌なり。
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四に曰く、循環の理(じゅんかん の ことわり)
命は生れ、朽ち、還りて宿る。
水、風、時のごとく巡りて止まず。
枯れしは根に、朽ちしは土に還る。
是れ、命の環りなり。
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五に曰く、誓約の理(せいやく の ことわり)
言は契と成りて力を帯び、絆を生ず。
誓いは天を動かし、偽りは理に背く。
破りし者、理の裁きを免れず。
是れ、真の証にして、理の厳なり。
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此の五、天の規にして、道の柱なり。
これに違う者、理の外に堕ち、秩序を損なう。
故に、これを畏れ、これを守り、これに従いて治むべし。