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コミ症ひきこもり魔女の底辺飯  作者: 大空司あゆむ


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19/20

ひきこもり魔女とほろ苦いチョコレート

 

 今夜はコンビニで好きなだけご馳走買って、嫌な思い出を忘れようと思う。

 いつも笑顔の店長さんが見守る中ぼくはカゴを持って弁当コーナーを覗いた。


 今回はメインに弁当と麺類を買う。

 その中でも一番豪華な弁当を食べるか……だから今回は海苔弁は無しだ。


「ふ〜む……ハンバーグ弁当に焼き肉弁当か……」


 やや高い程度だが、肉がメインだから豪華に見える。ポイントのためにも、もっとお高い弁当を買いたいところだが……。


 どれも手頃な値段だ。


 ぼくはハンバーグ弁当を手に取った。


「肉の塊……旨そう」


 ぼくはハンバーグ弁当をカゴに入れた。

 そう、薄い焼き肉弁当よりハンバーグ弁当に軍馬があがった。


 次に麺類だな。

 ここは迷わずミートソースパスタをカゴに入れた。甘酸っぱいトマトに肉の旨みがするソースが絡んだパスタが最高。一度食べたらリピートしたくなる癖になる味だ。


 続いてスナック菓子コーナーに移動した。

 今回は迷わずガンガンいくつもりだ。

 まずはポテトチップス海苔塩味とコンソメ味をカゴに入れた。それと、黒と緑のパッケージのわさび味なるポテチを手に取った。

 何故、黒と緑なのか知らないけど、未知なる好奇心が興味が湧くきっかけになりカゴに入れた。


 さて次は甘いお菓子が食べたい。

 ぼくは四角い箱のパッケージが並んだ棚に目が止まった。どのパッケージにも、茶色い固形物の絵がプリントされていた。


「茶色……なんだ、これは……」

「お客さんっコレはチョコレートと言うて、発酵させたカカオ言う実と、砂糖を混ぜて作った。少し苦味があって甘いお菓子です」

「なぬっ……」


 驚いたぼくは目を丸くした。

 苦味と言えば毒だ。その苦味があるのに美味しいと勧めるなんて、殺す気か……。


大丈夫です(だんないで)。一度食べたら病みつきになる味ですで」

「…………」


 苦味があるのに病みつきになるって、麻薬でも入っているのかと思った。まぁ店長のオススメなら信じられる。

 しかし、コンビニの食べ物はどれも病みつきになる味ばかりらしい。

 コレは毎日来店させるための罠かっ……。


「どうしたお客さん。目ぇ丸るうして、木彫のフクロウみたいに固まって?」

「お、おおう……」


 また店長からのフクロウイジりだ。そんなにぼくのまん丸お目目がフクロウに似てるのかな……。

 まぁ気にせず買物だ。


 それでしばらく悩んだあと、板のようなチョコとナッツを包んだチョコを選んでカゴに入れた。

 これは板チョコと呼ばれるらしい。


「……もっと食うぞ」


 今夜は違う。

 好きなだけ買って悔しさを忘れる。

 このあとチョコパイなる菓子をカゴに入れ、スイーツコーナーに移動。


 焼きプリン2個と……ショートケーキにチーズケーキなるものを一個ずつ入れて酒コーナーに行って、缶チューハイレモンサワーと生ビールを買うことにした。


 あとはレジ前の揚げ物を選んで終わりだ。

 とりあえずカゴをレジ台に置いて、揚げ物が並ぶガラスケースの前で身を屈めた。


「今回は何にする?」

「えっと、揚げ鳥二つ春巻き二本に……アメリカンドック二本に……そ、そこの肉まんなる物を二つ」

「おおきんな、えっと肉まんですか? ピザマンもどうですか?」

「なぬっ……ピザマンとは美味しいのか?」

「はいっ、中のトマトミートソースに絡んだチーズがとろけて旨い」

「! ならっそれも三つだ!」

「あらまぁ、初めての味を勧めたとは言え三つとは大奮発ですなぁ、せやけどおおきんな。注文は以上でございますか?」

「お、おうっ」

「お弁当にパスタに揚げ物、肉まん温めるか?」

「おうっ、頼む」


 相変わらず店長のぶっきらぼうな接客態度だ。だけどぼくも人のこと言えないから気にしない。


「少々お待ちを」


 店長が弁当を鉄箱の中に入れてボタンを押すだけで、わずか30秒で熱々になって便利だ。

 この箱が家にもあったらな。


『チン!』と温め終了のベルが鳴ったので考えごと終了し、とりあえず支払いだ。


 ハンバーグ弁当銀貨6枚、ミートソースパスタ銀貨5枚、ポテトチップス海苔塩味銀貨3枚、コンソメ味銀貨3枚、わさび味銀貨3枚、板チョコ銀貨3枚、アーモンドナッツチョコ銀貨4枚、チョコパイ銀貨4枚.焼きプリン銀貨2個銀貨6枚、ショートケーキ銀貨4枚、チーズケーキ銀貨4枚、レモンサワー銀貨4枚、生ビール銀貨5枚、揚げ鳥2個銀貨6枚、春巻き二本銀貨4枚、肉まん2個銀貨6枚、ピザマン3個銀貨9枚で合計は銀貨69枚だ。


「おおきんな♬ 今回発生ポイントは690ポイントでございます」

「お、おう……」


 これまで貯めた860ポイントに690ポイントを加算して1550ポイントか……。

 果たして順調に貯まっているのかイマイチ実感が湧かないな。


「え〜と、お客さん。ポイント2300まで貯めれば、レベルアップ可能です」

「おおっ! つ、次はどんな店を召喚出来るのか?」

「それはレベルアップしてからのお楽しみです」

「そ、そうか……それもそうだな」


 サプライズを大事にする店長の気持ちを踏みにじるところだった。そうだ。楽しみはレベルアップしてからだよな。


「うむ、店長また来る」

「おおきんな〜またのご来店を〜♬」


 明るく手を振る店長を背に俺はコンビニをあとにした。


 □ □ □


 ヤドカリハウスに戻ったぼくはまだ昼なのに、早速孤独な一人晩酌を始める。なにせ夕方まで待っていたら、せっかく温めた弁当が冷めるからな。

 これを言い訳に罪悪感無しに早飯にありつける。ぼくは手を合わせて、食材に感謝した。


「今日も一日お疲れ様……では頂きます」


 本当、今日こそお疲れ様と自分に言い聞かせたくなる日は無いな。

 さて、まずは弁当を開けてフォークを使ってハンバーグを一口。


「うむっ!」


 口に含むと肉汁が溢れ、口の中で旨みがジュワッと広がり美味しい。しかも肉が柔らかいから歯が要らないな。

 あと、濃厚なソースがまた美味しい。


 そこから缶ビールを開けて飲む。


「ごくごく…………旨い」


 ビールを半分飲んでからハンバーグ弁当を平らげる。次にミートソースパスタを開けて食べて、ポテチを摘んで揚げ鳥を食べる。


 腹一杯食べてもまだご馳走が残っている。こんなに贅沢してもいいなんて、ぼくは幸せだ。


 レモンサワーをカブ飲みしてから、板チョコを手に取ってみた。包み紙を外すとさらに銀色の紙で包装されている。

 過剰包装かと思ったけど、向いてチョコを触ってみるとすぐに溶けたので、溶かさないための包み紙と理解した。


 とりあえず齧ってみた。


「カプッ…………むっ!」


 ちょっと苦味がきたけどほろ苦く丁度いい甘さだ。しかもコクがあって経過したことのない味だけど、確かに癖になる味のお菓子だ。


 また食べたい。


「苦味けど甘くて美味しい……苦くて……」


 何故か涙を流したぼくは板チョコを味わって完食した。


 いつも一人だった。


 ある日勇気を持ってダンジョンから外に出て、勇者採用試験に挑戦したけど、皆から見向きもされなくて……初めて悔しと思った。


 だけど、ぼくには店長たちが応援してくれる。


 買物してポイント貯めてレベルアップして、いつか必ず勇者を越えてやる。


 そう改めて心に誓ったぼくは、明日から冒険者ギルドでクエストを沢山受けようと思う。


 さて、アーモンドチョコとやらは、非常食に使えそうだから、バックに入れておこう。


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