引き篭もり魔女と二次試験
勇者補助冒険者採用試験いわゆる二次試験が始まった。
試験に挑むのはぼくを含めてひいふう、みい……まっ、まぁ数百人ってとこだろう。(人数を数えていたが、途中から面倒くさくなってやめた)
遅れて来た自称アイドル五人の実力が気になるが、魔法使い枠は確実かと……。
こうして二次試験が始まった。
一度落ちたとはいえ、皆試験菅の前で自身満々に特技を披露して盛りあがっていた。ちなみにぼくの順番は350番でほぼケツだ。まぁ目立たないぼくらしい順番だな。
順当に試験が始まり、遂にアイドルグループの一人目の試験が始まった。
「次、152番」
「はいっ!」
試験官の呼び掛けに、黒髪短髪のアイドルグループのリーダー的剣士の男が手をあげた。彼が前に出ると会場がザワめく。
確かに見た目は実力者風で決まっている。
「試験No.152番小泉矢雲。職業は剣士か」
「はいっ!」
「ふむ、では力を披露したまえ」
試験官は錬金術師で大人サイズの土ゴーレムを精製した。要はゴーレムにありったけの技をぶつけ実力を示すやり方だ。
「はあっ!」
小泉が斜め斬りしてゴーレムを倒した。実力はあるほうに見えるが、掛け声がまだまだ若いな。
「うむ、やるな」
「「おおっーースゲーーッ!』」
試験官が褒めると試験者たちが盛りあげる。しかし何故彼らがアイドルを応援するのか理解不能。だってアイドルの代わりに落とされるんだからね。
だからぼくは理解不能だよ。
んで残り4人の試験も始まり会場が大盛りあがりだ。その中でぼくだけついていけず、ポツンとカカシ状態だ。
さて、遂に出番がきた。ぼくは緊張しながら右手をあげ前に出る。
「え〜っと……試験者ピピス・プシーか……職業は魔法使いだな。では始めろ」
「おっ、おおうっ」
目の前に土ゴーレムが立ち塞がる。ぼくはロッドを構えて巨体火球魔法でゴーレムを焼いた。
「……よろしい。次っ351番っ」
「…………」
かなり上位魔法を披露したにも関わらず試験官は褒めもせず、淡々と採点シートに記し次の試験者を呼んだ。
しかもぼくには皆無反応だった。どう見てもアイドル五人より実力が上なのに、何故か真剣に見てくれない……。
こうして二次試験が終わり合格者発表された。採用枠は五つでアイドル五人が合格した。
会場はパーティーのように大盛りあがりだ。しかし蓋を開けて見れば、内容はまるで出来レースだな。
ぼくは決して彼らの実力が劣っているとは思わない。だけど落ちた。
結局異世界召喚者と言う話題性に負け、まともに実力を評価してもらえなかったんだと実感した。
このあと参加者全員を招いたパーティーが始まったが、皆合格者の元に集まり楽しく酒を飲んでいた。一方ぼくは端っこの席で誰にも相手されずに酒を飲んでいた。
「生温いエールだ……」
だぼくは飲み欠けのジョッキを放置して、一人盛りあがる会場を出て行った。
結局話題性が重要で、いくら実力があってもまともに評価してくれないことが分かった。
◇ ◇ ◇
城下町の公園にたどり着いたぼくは袖で目頭を擦るとコンビニ召喚した。
「おいでなして〜〜♬」
店長が明るく出むかえてくれた。
「お、おうっ」
「おや、お客さん目ぇ赤くしてなっとした?」
「…………試験に落ちた。それに……誰もぼくを見てくれなかった……」
「やろうなぁ……」
「!?」
「そんなフクロウみたいな目ぇ丸くしてショックやった? まぁ結果はお見通しやったけど、いっぺん体験しやんとお客さん意地でも聞きません」
「……そ、そうか」
店長は痛いところを濁さず言ってくれるからタメになる。そう、黙っているよりありがたい。
しかし今回の試験は自身満々挑んだのに、結果はアレで凹んだな。
ぼくが肩を落としていると店長がカゴを手渡してくれた。
「言うたやろ? まずは買い物しまくって、コンビニ召喚スキルをあげてからが本番や」
「……お、おおうっ」
要は買い物していけってことらしい。
だから今日のぼくはいつも以上に買い物することにした。




