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19.本当に傍迷惑

お読みいただきありがとうございます。

(それでも大丈夫よね。あの子たちの主神方は、遊運命神様と同じ選ばし神だもの。愛し子が遊運命様の神器を継いでしまっていたとしても対抗できるわ)


 仮定として、悪神の神器には悪神が対応しなければ難しいという事情があったとしても、フルードが目の前の末の邪神に懇願すれば即応してもらえるだろう。


『いや、ランドルフとルルアージュは誕生直後に俺たちが本腰据えて調べた。神罰がきちんと消えてるかどうか確かめるためにな。その時に内側や魂までしっかり視たが、変なブツを抱えてはいなかったぜ』


 ここで否を唱えたのはフレイムだった。


『そもそもアイツらは、胎児の頃に神罰の因子を燃やされてる。もし神器を受け継いでいたとしても、その時に一緒に焼き尽くされてるはずだ』


 件の神器は元を辿れば、人間であるレシスの末裔用に出力などを調整されて創られた物。激怒した神が容赦なく御稜威を刻む神罰より、遥かに削除や対処が容易だという。


「だったら全員無事ということよね。それもイデナウアー様にお伝えして……」

『それがそうでもないのだよ。血に溶け込んだ神器は神罰と共鳴し、時に分家の血に飛ぶこともあるらしい。つまり、子どもの直接の子孫ではない傍系――エイール、エイリー、サード家の血に潜んでいるかもしれないということだ』


 シレッと告げられた話に、アマーリエの頰がヒクついた。何故そんな、感染症のように飛び火していくのか。悪神の神器は本当に傍迷惑だ。その反応をどう受け取ったのか、ラミルファは軽薄な調子で、ちなみに君は大丈夫だよ、と告げた。


『アマーリエは神罰を継いでいることが分かった時点で、僕とフレイムが徹底的に確認した。君の中に神器は無かった。エイールとエイリー、サード家の面々は適当にしか視ていないから、確かなことは言えないがね』

「では彼らを調べ、もし神器があれば対処が必要ですね。イデナウアー様には、その件に関しては私が協力するのでエアニーヌたちを解放して下さるよう頼んでみようと思います」


 レシスの一族は、ずっと平民として市井で暮らしていた。ゆえにイデナウアーも、末裔が神官になっており協力できる状況にあるとは想定せず、自力で動こうとしたのではないか。


『遊運命神様と連絡が取れれば、神器自体を完全にレシスの血から抹消していただけるようお願いできるのですけれど。ずっと神域から出て来られないようですし」

(とにかく、まずは神器の有無を見極めなくては。フレイムに天界からエイールさんたちを透視してもらえば……いえ、相手は遊運命神様の神器よ。地上で直接確認と処置をした方が良いわ。フルード様やランドルフ君たちにだって事前に説明しておかないと。となると――)


 内心で方針を固めたアマーリエは、すぐさまフレイムとラミルファに助力を請うた。


「フレイム、ラミルファ様。今の件でたってのお願いがあるのです」

『お前が願うことは何でも叶える』

『たってのお願いなら聞いてあげないこともないよ』


 即答したフレイムに続き、ラミルファもふてぶてしく笑う。


「実は――」


 そうして説明を終えた後、応じてくれた皆の力を借りて段取りを終えた時だった。


《アマーリエ様、大変ですわ!》


 神々の元を回ってくれていたリーリアが、焦燥に焼ける声を送って来た。

ありがとうございました。

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