表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
327/466

12.新たな覚醒

お読みいただきありがとうございます。

「待って正解だったな。無理を押して来て、攻撃性を帯びた選ばれし神の神威を浴びてたら、追加の大ダメージ食らってただろうぜ」


 フルードの額に手をかざしたフレイムの眼差しが、暗さを宿す。それだけで、良くない状況にあると察せられた。


「パパさん、もう体が……」

「限界だ。まもなく天に還ることになるだろう」


 フロースと時空神が小声で囁き合っている。最期の時はもう目の前に迫っているのだ。


「今度はリーリアが襲われたのか」


 ライナスが碧眼を細めて呟く。室内を一瞥したフレイムがフロースを見た。


「なあ泡神様、リーリアたちに結界を張ってたよな。葬邪神様の防御壁は見えなかったが、発動しなかったのか?」

「うん。リーリアも、オーネリアも、アリステルも、誰のものも無反応だった。あんなに害意ビンビンの神威と、殺傷力の高い氷の嵐が迫ってたのに」

「やっぱりか。どうなってやがる。防御壁なのに防御してねえじゃねえか」


 全くだと思うアマーリエだが、葬邪神自身が丹念に不具合がないか確認していた。なのにまた発動しなかったのはどういうことなのだろうか。


「葬邪神様と疫神様に念話し、再襲の事実を伝えます。必要があれば皆様を念話網に加えます」


 アリステルが言い、視線を宙に投げる。


「……はい、こちらは無事です。泡神様がお相手して下さいましたので……そうですか」


 時折眉を曇らせながら相槌を打ち、やがて焦点を結ぶと緩く首を振った。


「疫神様が遊運命神様の神域の前で感覚を研ぎ澄ませてみたところ、確かに覚醒している気配があられたそうです。門を叩いて呼びかけているのですが、未だ反応がないと」


 同格の神の領域に、強引に押し入ることは難しい。疫神は荒ぶる神威を持つ暴れ神だが、同胞のことは深く愛している。力ずくで神域の門を打ち砕くことはしないという。

 アマーリエやフレイムたちには攻撃していたが、あれは被虐趣味だと勘違いしていたためか、自分と同等の力を持つ生来の荒神だと分かっていたからだ。どちらでもない神に対しては、自身の力を振りかざして手荒な真似をすることはない。


「遊運命様は、ご自身の神域から神威を地上に送り込んでいるのだと思います」

「何故そんなことをするんだろう。何とかしてコンタクトが取れれば良いのだけど」


 フロースが困ったように唸り、どうにかならないかと言いたげに時空神を見る。だが、双眸を白く濁らせた時空の神は、黙って首を横に振る。葬邪神と狼神と同等の古き神である彼をしても、有効な手段は思い付かないらしい。


「また、葬邪神様と煉神様が天界の様子を再確認したところ、強硬派の間でも不穏な気配が高まっているとのことです。それから……」


 アリステルが言葉を切った。繊細な麗姿に戸惑いを乗せて言う。


「眠り神の中でまだ目覚めておられなかった神が二柱、新たに起床されたそうです」


 寝起きの良い神々だったので、一瞬でパッチリ起きてくれたため、神威の放出もなかったそうだ。


「どの神が起きたのだい、ヴェーゼ?」

戦神(せんしん)様と闘神(とうしん)様だそうです」

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ