表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

4話

「ぜぇぜぇ……!」

 疲れた……。

 放課後、俺は教室の自席(と言っても市原の席)で机に突っ伏していた。

 今日1日女の子として過ごしたが、着替え・トイレなどですごく体力を使ってしまった。

 着替えは体育の授業。

 女子更衣室で着替えたのだが、周りは当然女子だけ。

 なんの警戒もなく下着を露わにするものだから、目のやり場に困ってしまった……。

 市原も当然女子なので、周りだけでなく市原の下着や綺麗な肌を見ることになってしまって、心臓が爆発するんじゃないかってくらい、ドキドキしていた。

 そしてトイレはおそらく全男子の夢である、女性の秘部を見ることになるので、目をつぶって用を足していた。

「あはは♪だいぶ疲れたね♪」

 当の原因である神様は、俺の周りをぷかぷか浮きながら、他人事のように笑っていた。

 誰のせいだと思ってるんだ……!

「じゃ、さよなら」

 不意に教室の後ろの方で、帰りの挨拶の声がした。

 振り向くと俺(市原)が教室から出ていこうとしていた。

 放課後、屋上で待ってる。

 その言葉を思い出した。

 全然動揺していない市原。なぜ彼女はここまで冷静なのだろう?

 まぁ、それも含めて色々聞きたいことがある。

 俺もぼちぼち向かうかぁ。

 そう思い席を立つ。

「市原さん」

 クラスメイトの女子から声をかけられた。

 話したことない相手のため緊張してしまう。

「何?」

 なるべく市原っぽく対応する。

「今日、良かったら駅前のクレープ食べに行かない?」

「ごめん、いや、ごめんなさい。今日はこの後予定があってな……じゃない、予定があるの」

「そっかー……。じゃあ、また今度ね」

 バイバイ。と手を振って残念そうな表情で去っていく女子生徒。

 その背中を見送って俺も教室を出る。

 教室を出て階段前で俺と言えばいいのか、市原と言えばいいのか、とにかく彼女がとある女子生徒と話をしていた。

 その会話をしている女子生徒の姿を認めて俺は一瞬足を止める。

 話し相手は俺が良く知る相手、幼なじみの戸山桜(とやまさくら)だ。

 やっべー、桜にこの状況どう説明しよう!?

 桜とは同い年だが、クラスが違う。そのため、休み時間や放課後に良く廊下で話をしている。

 いま桜が話してる相手は俺ではなく市原だ。

 2人を凝視していると市原がこちらに気づいたようで、チラリと俺を見る。

(ここはいいから先に屋上行ってて)

 また頭の中で声が響いた。

(俺がいた方が良くないか?)

(話がややこしくなるから、ここは私に任せて)

 若干イラつきが混じった声でそう返答される。

 黙ってその声に従う。

 すれ違いざまに2人に会釈をして屋上に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ