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最終話

「それじゃあ勝、落葉をお願いね」

「おう、ゆっくり旦那さんと温泉楽しんでこい」

おかあさんはそういい、ぼくを勝おじさんにあずけて、アパートのかいだんをくだるまで、ぼくにニコニコと手をふってくれました。

「さて落葉、もう桜は行ったから普段通りにしていいぞ」

「神様の時の記憶が無いふりするの疲れるね」

そう、僕は生まれ変わった。今で言う転生だ。

あの後、僕も1から人生を歩みたいと、全知全能の神様にお願いした。

桜は僕の記憶がある無いに関わらず、落葉と名ずけたかったそう。

ちなみに旦那さんは桜が高校卒業後、就職した務め先の取引会社さんの社員だ。

桜に一目惚れし、勢いに押され、交流を深めるうちに惚れたらしい。

らしいというのは、僕が桜のお腹から産まれて、4歳頃になった今でも惚気話をするからである。

ちなみに勝君の奥さんはと言うと。

「勝……くん。洗濯物干すの手伝って」

「一姫、今行く。じゃあ落葉は一架(いちか)の相手をしててくれ」

まだ名前呼びに慣れていない市原一姫ちゃん、今は井上一姫ちゃんか。

あの後、市原神社に飛び込み、一姫ちゃんの元へ駆け込んで行った。

一姫ちゃんは自分が無事に生きていたこと、そして勝君への想いを伝え、今に至る。

ちなみに一架というのは……。

とりあえず、靴を脱ぎ、廊下を数歩歩いて左手のドアをガラッと開ける。

むっすぅとした顔で、テレビの画面とにらめっこして両手で握っているゲームのコントローラーをカチャカチャと動かしている女の子がいた。

「こんにちは、いちかちゃん」

「私の前では、年相応の振りしなくていいわよ」

井上一架、勘のいい皆さんはお気づきかと思うけど、元一神様だ。

「全く、何がたとえ一神様の生まれ変わりだとしたら、前世の罪を1から背負って生きていけ、よ。せっかくならもっと可愛い名前にしなさいよ。それによりにもよってあの二人の子供になるなんて思わなかったわ」

まるで神のイタズラである。

「まるで、ではありません」

あ、はい。だそうです。

どこからともなく声。過保護だなぁ。

ちなみに一架も両親には神様の生まれ変わりでない振りをしている。

本人曰く、あの2人に知られたくないそう。

僕?僕は、知らせない方が面白そうだから。

ちなみに僕は女の子です。はい。

髪は短めで一人称が僕だからよく男の子に間違われるのが癪である。

じゃあ、伸ばせ?それは面倒だから嫌だ。

「はぁ……」

「どうしたの?」

ゲームの画面に顔を向けたまま、ため息をつき始めた一架。

「イチャイチャしながら洗濯物干てるの」

「あの二人が?」

「そう」

なぜわかるかと言うと、自分の周囲100m以内なら心を読み取れるのだ。

神様が一架に授けた最後の能力。しかもON、off可能である。

ちなみに僕にもなにか能力授けると仰って頂いたけど、丁重にお断りさせて頂きました。

だって能力ない方が人生楽しそうじゃない?

前みたいに体を入れ替えたり、テレパシーはできない。ただ心を読むだけ。本人はそれが出来ないと落ち着かないだそう。

「誰に解説してるの?」

「誰かに」

一架が神様の時と雰囲気違う?

今までは猫を被っていただけで、こっちが素です。

それからしばらく黙って一架はゲームをして、僕はそれを眺めていた。

「ねぇ」

「うん?」

「あの人も転生してるかな?」

「さぁ?神様に聞いてみたら?」

「呼びかけても答えてくれないのよ」

あの人。500年前、一架が恋心を抱いていた相手だ。

僕たちは肺炎になり、命を落とし神様になったあとも彼女はあの人のことを想い続けていた。

この子が恋に執着する理由である。

あと一姫ちゃんとその想い人に体を入れ替えていたのも、正直になれない彼女を想ってのことだった。

「違うわよ」

違うらしいです。

完全な照れ隠しです。

「さっきから誰に語ってるか分からないけど、あんまり勝手なこと言うと、これで殴るわよ?」

そういい、いつの間にか傍らにあった新聞紙ブレードを手に取る。

僕も1本受けとり

「よろしい、ならば戦争だ」

こうして2人で新聞紙をぶつけ合う。

騒いでる僕たちに彼らが気づくまでそれは続いた。

これからも僕たちの人生は続く。

楽しいことも苦しいこともあるだろう。

けど、生きている。それが一番幸せなのかもしれない。

短編へ続く

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