表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/38

3話

 教室に俺が入ることを確認すると心臓がバクバクしてきた。

 今の俺の魂は市原一姫が入っているのか……?

 もし、他の人間だったら話はどんどんややこしくなる……!

 確かめるには直接話すしかない。

 でもどうやって?

 俺に直接「お前は市原一姫なのか?」

 って聞くのか?

 いや、クラス中から変な視線が注がれるに決まってる……!

 どうする……?

 どうする……?

 俺がこの問題に悩んでいると、直接頭に声が響いた。

(井上くん聞こえる?)

 !?

 今のは俺の声……!?

 後ろを振り向く。

 すると俺は何食わぬ顔で席についていた。

 今のはいったい……!?

(どういうことだ……!?)

 頭の中で疑問を投げかける。

 するとまた声が響いた。

(驚かせてごめんなさい。今一ちゃん、ええっと一神様を介してあなたの心に直接話しかけているの)

(俺の頭に直接……?)

(そう。今回の入れ替わりは一ちゃんの仕業だって聞いた?)

(ああ……)

(一ちゃんはイタズラが好きなの。だから今回のような入れ替わりも初めてじゃないわ)

(神様はなんでこんなことを?)

(さぁ?一ちゃんに聞いてみないと分からないわ。放課後、屋上に来れる?色々ゆっくり話したいから)

(あ、ああ……)

 俺は戸惑いつつも市原の提案を呑んだ。

 当の神様は教室中をふわふわと宇宙空間にでもいるの?って思えるように漂っていた。

 とりあえず、市原は経験者のようだったので、安心した。

 ただ、問題はひとつ。

 今の俺は市原一姫だ。

 彼女は成績優秀だ。

 そんな彼女になりきるのは、骨が折れそうだ。

 しかも、容姿端麗だ。

 頭が良くて可愛い。そんな子はモテて当然だし、彼女には人がたくさん集まって来る。

 コミュ力皆無の俺に普段話さないやつと話さないといけないと考えると、胃がキリキリしてくる。

 正直帰りたい。

 そしてなんと言ってもトイレは女子トイレ、着替えは女子更衣室だ。

 女の子の秘部なんて見たことないし、下着なんてもってのほかだ。

 女の子の裸……。

 考えただけで、胸がドキドキしてくる。

 いやいや、変なことは考えるな。

 やましいことなんて考えるな……!

 自分に言い聞かせる。

 ドキドキ……!ドキドキ……!

 考えると考えるほど、ムラムラしてくるし、考えるなって方が難しいと思う。

 実際に全男子、全女性とこういった経験がない野郎どもに聞く。

 こんな状況で、変なこと考えるなって言う方が無茶だよな!?

 なんと今日の4時限目は体育だ。

 つまり、嫌でも着替えなきゃいけない。

(言っておくけど、今日の体育休まないでね。私の評価が落ちるから)

 唐突に脳内に声が。

 その言葉で俺の顔がカアっと熱を帯び、赤くなるのがわかった……。

 女の子……。下着……。

 俺の頭はぐるぐるとそればかりが、浮かんだと思ったが、意識がそこで途切れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ