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27話

両肘を机につけ、両の手のひらを重ねる。

その上に髭でもじゃもじゃな顎を乗せる久保田先生。

彼はゆっくりと語り始めた。

「昔むかし、この地には2つの神社が建っておった。ひとつは市原神社。そしてもうひとつは戸山神社だ」

「でも今は市原神社しかありませんよね?」

「急かすな、順番に話してやる」

キッと睨まれて縮んでしまう俺。

「それぞれ神様を祀っていた。市原には()の神。戸山には()の神だ。2人の神様はとても仲が良く、同時に市原、戸山の者も良い関係を結んでいた」

「ところがある時市原の方の神がいつまでも生きていたいと考えるようになった」

「神様にも寿命ってあるんですか?」

「持って500年だそうだ」

「500年...」

「500年じゃあ足りない、永遠に近い命が欲しい。そう思うようになったそうだ」

「そこで市原神は人間から力を吸い取ればいいと言う考えに至った」

「なっ.....!?」

絶句する俺を他所に桜は静かに話を聞いている。

「ただ、いたずらにそこらかしこで命を吸い取ってしまってはいつかは人間が絶滅する。知の神はそう説得しようとした。その言葉に耳を傾けはしたが、納得はしていなかったようだ」

「思の神は考えた。自分が力を人間に与える代わりに寿命を吸収してしまえば良いのではと」

「そんなことで人を自由に操れるわけ.....!」

ガタッと机を叩き立ち上がる。

「それがいたのだよ」

「えっ.....!?」

「当時の市原神社の跡取りとなる予定だった当時の長女だ。彼女は神様を心から慕っていた。そんな神様の力になれるならと承諾したのだ」

「最初は任意の相手にテレパシーを送ることで、携帯電話のように一瞬で話ができることに感動していた。しかし、人は力を持つと変わるものだ」

「当時の長女の年齢は10代前半、そんな世間を知らない若者が力を手にするとどうなる?」

「力に溺れる?」

「うむ、最初は同い年位の子をいじめる程度だった。しかし徐々に仲間にテレパシーを送り、窃盗などの犯罪行為をするようになった」

「そして」

「そして.....?」

キンコーンカンコーン。

生活指導の先生は頬杖をとき、左手首につけてある腕時計を確認する。

「むっ。午後の授業の予鈴か」

「あの、続きを...」

「馬鹿者!学生は学生の本分を全うせよ!」

腕を組み貫禄ある顔で、カッ!と漫画であれば集中線が入るような気迫で怒鳴られる。

「は、はい.....!」

「また明日昼休みに来なさい。続きを話してやる」

「放課後じゃあ.....?」

「教師を舐めるな!放課後は忙しいのだ!」

また怒鳴らた。

もうヤダこの人怖い。

「勝」

桜が俺の制服の袖を掴む。

「うん?」

「私は明日も来たい」

「お前も無関係じゃあ無さそうだもんな」

「それ以前に、神様のことを知れば、落葉のこともなにか分かるかもしれない」

真剣そのものの表情だった。

「落葉のこと何か分かればいいな」

「うん、それに私、勝に伝えたから。勝の力になるって」

胸がじーんと暖かくなり、嬉しかった。

こんな子がずっと隣にいてくれたことが。

「話はまとまったな。ほら教室に帰れ!」

目の前の先生が授業に出ることを促す。

テクテクと扉まで歩き、戸を閉める前に

「ありがとうございました!」

と礼をして俺たちは午後の授業に向かうつもりだったが、桜が行く手を遮り上目遣いで懇願した。

「勝、2人きりになりたい」


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