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26話

「勝!」

廊下を足早で進んでいると背後から呼び止められた。

振り返ると桜がお下げ髪を揺らしながらパタパタと走らない程度のスピードで俺に近づいてきた。

「桜、どうしたんだ?」

「声が聞こえたの」

「声?」

「うん、勝と一緒に久保田先生に会ってって」

桜にも聞こえたのか、声の主はますます絞られてくる。

俺たちは既に生活指導室の前にいた。

すぅー、はぁー。

ドアをノックする前に大きく深呼吸をする。

久保田茂雄。

俺達の学校の生活指導の先生で、学校一怖いとされている先生だ。

そんな先生にいきなり市原を助けてくださいと言って力を貸してくれるだろうか?

いや、わけが分からないと追い返されないだろうか?

不安が胸に募る。

ガラッ。

胃を決する前に扉が開いた。

急のことで心臓が飛び出るかってくらいびっくりした。

「誰か来ていると思ったが、何の用だ?」

頭は潔いと言えるくらい髪がない。

その代わり口元は白くなった髭で覆われており、両の眼は、いつも睨んでいるようにキッとしている。

齢60を超えているはずなのに、身体は衰えるどころか、毎日筋トレをしているようで、ゴリゴリな筋肉質とは行かないまでも、締まった肉体をしている。

「ええっと……」

言葉に詰まる。なんて切り出せばいいのだろう。

俺たちの事情は知るはずもないし、神様がどうとか声がどうとか信じるはずもない。

「何の用だ?」訝しむ久保田。

(市原の子を助けるために力を貸して)

また声が聞こえた。

「市原一姫を救うために力を貸してください」

自然と言えた。

まるでこの声に導かれたかのようだった。

「ふむ」

厳格な教師の右目が上がった気がした。

「君も同じか?」

久保田は桜に視線を向ける。

ただ見ているようには見えなかった。

何かを見極めるかのような眼差しだった。

「はい」

彼女は迷いなく答えた。

果たして桜は気づいたのだろうか?

「入りなさい」

「失礼します」

教師は顎に手を置き、一瞬何事か考えたかのようだったが、俺たちを招き入れた。頭を下げて生活指導室に入室する。

茶色い長机がひとつ。

まるで俺たちを待っていたかのように扉側に椅子が2つ。窓側にひとつ椅子が用意されていた。

「座りなさい」

久保田先生が座ることを促す。

ガタッガタッ。

俺たちはそれぞれの椅子に腰をかける。

相手は右肘を付き、手首で頭を支えてから俺たちに問出した。

「市原の娘を救いたいと言ったが、君たちは彼女のことをどこまで知っている?」

「まず彼女が神様の力を使える」

「他は?」

「力を使おすぎて長く生きられないこと」

「なぜ力を使うと寿命が縮むか知っているか?」

「いえ……」

「市原と、そちらの戸山の者の関係を知っているか?」

「えっ!?」

桜を見てそう言った。

えっ!?

市原と桜になにか関係はあるのか!?

このおじいちゃんは何を知っている?

戸惑う俺。

桜は静かに久保田を見据えていた。

「その様子では知らないようだな。教えてやろう。この地の歴史を。市原と戸山の関係を」

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