22話
コロコロ
「勝ー」
コロコロ
「勝ー!」
コロコロ
「勝!」
ビクっ!
「おう、どうした?」
学校にて自席の椅子に座り、訳もなく鉛筆を転がしていたら、大声で俺を呼ぶ声がしたため、肩を震わせてしまった。
「どうした?じゃない!もう放課後だよ、帰ろ」
「そう…だな…」
声をかけていたのは桜だった。
俺は歯切れを悪く返す。
あの後の次の日、市原の宣言通り、俺の体は元に戻っていた。
それはいい。
ただ、市原のことが心配だった。
風邪のような症状もだが、あの時の言葉。
『私、死ぬの』
が脳裏に蘇ってしまう。
死ぬのがわかっていてあいつは今まで力を使っていたのか。
それはどんな想いだっただろう?
どれほどの覚悟だったのだろう?
あの力には何度も助けられた。
ただ、自身の命を削っていたとは、つゆ知らず。
神様の力は呪いなのか、聖なる力なのか、俺には分からない。
ただ、あの時のあいつの表情は、全てを諦めた顔だった。
そんなに辛いのなら、そんなに苦しいのなら、なぜ今まで黙っていたのか。
わかっていたら、力なんて使わせなかった。
わかっていたら、そばに寄り添っていたかった。
俺にできることはなんだろう?
思考を巡らせる。
俺に出来ること、それは……。
「悪い桜、先に帰っててくれ!」
「え!?勝!?」
俺は幼なじみを置いて、気がついたら教室をダッシュで退室し、廊下をダッと駆け抜けていた。
「廊下を走るな!」
途中、進路指導担当の久保田が、俺に向けて注意していたが構っている余裕はなかった。
靴を履き替え、再度走る。
向かう先は市原神社だ。




