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18話

「え?入れ替わった……?え……?え……?」

 頭が追いつかない。だって、明らかに一回りは年上のおっさんだ。

 その相手がまさか女子高生に恋愛感情を抱いていいのだろうか……?

「えっと……。熊谷さん」

「おう、なんだ?」

「市原のこと好きですか?」

「おう」

 何かおかしいことが?と言わんばかりに頭に「?」マークを浮かべている。

 俺は目の前の店長に対して叫んだ。

「犯罪じゃねぇか!」

 自分でもびっくりするくらい声が大きくなり、店内で商品を物色していたほかのお客さんはビクッと肩を揺らしていた。

 俺の主張に熊谷さんが反論してくると身構えていたが、意外や意外、反論してきたのは呆れた表情を浮かべていた市原だった。

「あなたバカね。いい?好きと言っても色々あるの」

「色々ってなんだよ?」

 トン、と人差し指で俺の胸をつつく彼女。

「あなたが私に抱いている恋愛感情。それともうひとつ。大人から見たかわいいという感情よ。クマさんには私やあなたと同い年に娘さんがいるの」

「それが?」

「私がこのお店に通うようになったのは、小学生の頃よ。私の両親は仕事が忙しくて私に構う余裕がほとんどなかったの」

「当時まだ小さかったなぁ」

  昔を思い出しているのか、懐かしむように熊谷さんはつぶやく。

「私はたまたまこのお店を見つけたの。当時プラモデルなんて知らなかったし、ロボットアニメも見たことなかったわ。私はお母さんとお父さんを困らせてやろうと思ったの。食費として用意されたお金を食べ物ではなく、全然違うものに使ってみようと思ったの。まぁ、小さいながらの反抗ね。とにかく両親に構って欲しかった」

 うんうんと頷く店長。

「そしてこのお店に出会った。最初は買うだけで放置しようと思ってた。でも」

「オイラがプラモデルの魅力や楽しさを教えたんだったなぁ」

「そう、クマさんが最初は作りやすいものを進めてくれたの。親じゃないけど私に構ってくれたことが嬉しかったわ。そして私はクマさんが好きになってこのお店の常連になったの。もちろん好きと言っても恋愛感情では無いわ」

「当時はオイラの娘も手がかかってなぁ。でも一姫ちゃんといると素直で、一緒に遊んでたっけなぁ。そうこうしているうちに姉妹のようにこの子のことが好きになったんだ」

 俺は俯いて聞いていた。

「じゃあ、神様が市原と俺や熊谷さんを入れ替えた理由って……」

「好きという感情に反応して力を振るったってことね」

 市原は腕を組み、わかった?と言わんばかりに結論づけた。

 だが俺はひとつ引っかかった。

「そしたらお前はしょっちゅう誰かと入れ替わってたことか?」

 市原はモテる。

 入れ替わる前もよく男子からアプローチを受けていたし、俺に入れ替わったあとも男どもが寄ってくるのだ。

 入れ替わりは1度と2度ではないのでは?

「……あなたが2回目よ」

 なんか頬が赤くなってる気がする。

「え?でもお前を好きな相手はたくさん……」

「あーーーーーーーーー!やっと見つけた!」

 どこからともなく、女の子の叫び声が聞こえた。

 ぜぇぜぇ……!と息を切らしてお店の中にあの子が乱入してきた。

「桜!?」

 神様が乗り移って遠ざけたはずじゃあ……?

「この子が私の中で私の意識を閉じ込めたけど、抜け出して勝がどこにいるか聞いたの」

 そう言って桜の後ろからぷかぷかと浮かぶ女の子が涙を流していた。

「この子怖い……」

 そうつぶやき「うぇーん」と泣いている。

 どうやって神様の力に勝ったんだよ……。

「勝、帰ろ」

 俺の手を掴み帰宅を促してくる。

「先に帰ってなさい」

 市原は俺と桜の方を見ずにそう答えた。

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