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14話

「と言うことがあったの」

  朝、ホームルームが始まる前、俺と市原は屋上で話をしていた。

  柵に寄り掛かり、風を受けながら俺は答える

「落葉のことはあいつにとって1番デリケートだからなぁ」

「その落ち葉ってなんなの?葉っぱになにかお願いしたの?」

「違う、落葉は人の名前だ」

「……え?」

  驚きと後悔が滲んだ表情をする市原。

  俺はその表情を認め、市原に話す。

「戸山落葉。あいつの、桜の双子の姉さんだよ」

「そのお姉さんは今は……?」

  恐る恐るといった感じで問い出す市原。

  俺はその問いに簡単に答え出せずにいた。

 どう答えよう?俺の中でぐるぐると思考が回る。

 迷った末、ストレートに答えることにした。

「もう死んでる」

「そう……」

  悲しみと切ない表情を見せる市原。

「いい機会だ。これからしばらく市原は俺として過ごすんだ、知っておいて欲しい」

「わかったわ」

  これから話すことは決していい話ではない。

  それを話すのは勇気が必要だ。

  すぅー、はぁー。

  深く深呼吸をして俺も話す決心をする。

「桜と落葉は虐待されてたんだ」

「俺は当時、桜と同じアパートで両親と暮らしてた」

「毎日のようにドタ!バタ!と響く音、それに女の子の悲痛な声が聞こえてた」

「あまりに酷かったから両親が桜たちの両親にいつも子どもは大切にって言ってたけど、あの人たちは取り合ってくれなかった」

「ある日、女の子の声が響いた」

「助けて!このままじゃ、お姉ちゃんが!」

「それを聞いた俺の両親は桜宅に走った」

「インターホンを鳴らしても出る気配がなかった。それどころか、女の子の必死に助けを呼ぶ声は響き続ける」

「焦る両親は警察に連絡した」

  チラリと市原を見やるとその表情は今にも涙がこぼれそうだった。

  俺は構わず続ける。

「連絡後、10分くらいで駆けつけた警察により、ドアは開かれ、警察と両親は桜宅に駆けつけた」

「リビングに入ると、頭から出血して、ピクリとも動かない女の子と泣き叫ぶ女の子がいた」

「スプレー缶や布団叩きなどが散乱してて、スプレー缶には血がついていた」

「すぐさま桜の親たちは連行されて、血だらけの女の子は救急車で運ばれた」

「その桜は」

「どうして市原さんがその話を知っているの!?」

  聞きなれた声が俺たちの背後から発せられた。

  そこに居たのは紛れもない、戸山桜だった

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